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131 天使の闘い2

夜空に闇を見るのも、朝日を見るのも自由だ。

兆利人なるとは、そういうものよ ・・・・・・

 圧倒的なまでに無様を晒したネコは、肩身の狭い様子でテーブルの隅っこで丸くなっていた。炬燵猫の様な可愛らしいものでは決してない。

 それとは対照的に、漸く見せ場が廻って来たと意気軒高なのが姉さんだ。


「ふっふっ。観客の皆さんにお目汚しをご覧に入れてしまい申し訳なかったわね。でも、私が来たからにはもう安心ね」

「姉さん、別に俺たちが積極的に何かするわけじゃなくて・・・・・・」

「リュラーン、もう心配性ねえ。月の女王の威力をほんの少し見せてやればいいだけの、簡単なお仕事よ!」

 姉さんは、相手陣営で勝ち誇るベイビ(愛の結晶)を睨みつけながら微笑むという難解な芸当を披露してくれた。

 そうこうしている内に、前回同様金のリングを頭に乗せた白い翼の天使が運び込んだ保育器(インキュベータ)の表示ランプが全て緑に変り、無音で蓋が開いた。

(ほお、気体制御で圧力を調整したか?まさか空間転移ではあるまいな?中々に期待させるではないか、さすがリュラーンとの・・・・・・ う、うん、混ざりものもいるが)


 現れたのは、光沢のある黒のドレスを纏ったショートヘアーの少女だった。髪の毛の色は艶のある白色だ。

(俺の要素は何処にあるんだ?すごく影が薄いなあ・・・・・・)

『お父様、お母様方、お初にお目に掛かります。ε(イプシロン)でございます、期待に沿えるよう励みたいと存じますわ』

「まあ、がんばれ」

「ふふ、期待してるわよ。ε」

『 ・・・・・・ ムガット』

 俺、姉さん、ムガットの声援を受けてεは中央へ向かい、Ωに向き合う。

『準備が出来たようですね、では、模擬試合(エキビション・マッチ)開始!』


 鋭い咆哮を放つと虎の跳躍力をもってΩ(オメガ)が一息にεとの距離を詰め、前脚で軽量の彼女を叩き潰す。

 が、紙一重で攻撃を躱すとεは左足で流れる虎の胴を蹴り飛ばした。

 観客が、華奢な少女の健闘に歓声を上げる。

 

 虎が威圧を込めて咆哮を放つ、最前の失態のごとくεもΔ(デルタ)同様に身を竦ませて棒立ちの隙を晒す。虎の尻尾から毒液を放って牽制しながら、Ωが突進してくる。

 毒液がεに当たる瞬間、金色の煌めきが跳ね返す。虎は委細構わず、その巨体で少女を蹂躙するように圧し掛かっていく。

 バシュッ!

 金の劔(マネーソード)がΩの右目を貫いていた。


(なるほど、俺の力をある程度使えるのか。ならば、勝ったな)

「ふふ、可愛いわね。リュラーンと私のベイビは」


 あとは、ワンサイド・ゲームだった。速度に優るεがΩの攻撃を躱し、すれ違いざまに金の劔で虎の身体を切り付けていた。

 最後はあっけなく、だが華麗に決めてくれた。εが高く跳躍(ジャンプ)して二体に分身、捻りを加えた高速回転により凄まじい威力を加えたキックとパンチを同時にΩの頭部と心臓に叩き込んだのだ。

 Ωは、諦念の咆哮を放つと光の粒子となって消えていった。


『おぅーと、白熱の勝負も大決着!勝者、イプシローン!』

「やったわね、εちゃん!」

「ふっ、当然だな」

『・・・・・・ ムガット』


『お見苦しいものをお見せしました』


(ふっ、詐欺(スキャム)で勝負を着けたか。

 観客はおろか、有り得ない攻撃によって対戦相手の戦闘継続の意思を刈り取る共に、模擬試合の審判を務めるこの惑星の量子コンピュータが下す判定をも矯正したのだ)


 俺たちは、勝利の余韻に酔いながらεと、束の間の食事を楽しんだ。


 

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