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101 収奪

『注意』仮想通貨の取引には、非常に高いリスクが伴います。

 慎重に判断して、投資を行ってください。

 兆利人への道は遠い、まあ、こういうものですから。

 (ワン)ワールドトレードセンター以外の高層ビルから、収容した人々は既に一生分の恐怖を絞り出された後の虚脱感で皆一様に弛緩した表情をしている。

「あれは、何?」

 鋼鉄の箱の内側に、(ワン)ワールドトレードセンターから走り出した最新鋭の兵員輸送車両が捕獲される様子が映し出されていた。

「おい、あれは上院議員たちだぞ。最上級の眺めを独占してパーティーなんてやってたから逃げられなかったんだろうな。それも軍の高そうな車両で自分たちだけ安全な所に逃げようなんて。ようし決めた、次の選挙は絶対あいつらに投票しないぞ」

「ふーん、六年も覚えていられるかしら?」

「まあ、そのくらいは覚えてるよ、きっと・・・・・・」


 紅蓮の炎を一人の女性が泣きながら吹かされていた。

「もう、いいでしょ。これくらいでもう、許して」

「ふふ、その程度じゃ私の手助けをしたことにはならないわ。ちゃんと、手伝ってくれたら無事に帰してあげるから。ほら、がんばりなさい!」

 泣き言を言いながら、若い女性は炎を何も無い中空に吊るされた議員たちに向けて吹きかけていく。

「うおー、熱い止めてくれ」

(もう、だめ。許してよ)


 自由の女神像の右手にある純金製のたいまつの炎腰かけた紅いドレスの女性が、高層ビル群に向かって風を手のひらを反すだけの優雅な仕種で送っていく。風は瞬く間に加速し高層ビル周辺の火炎を消火していく。超巨大竜巻クラスの風がビル群をなぎ倒しながら。

 数多の高層ビル群が超巨大竜巻になぎ倒される中、(ワン)ワールドトレードセンターを覆った巨大な物体、正三角形の面を四面持つ正四面体であったが、は影響を受けていなかった。

 巨大な正四面体は出現当初は、黒っぽい色だったが、今は桃色からだんだん濃い赤色に変化していた。

 ビルの中に閉じ込められている議員や富豪たちが自分の命を守るために殺し合った結果により表面の色が赤に近付いて変化しているようにも見える。

 既に空中にビル内の殺し合いの様子が投影されており、その驚きの映像をテレビ各局が全米に放送している。また、スマフォで撮影された映像はTV中継に先駆けてネットを通じて全世界に発信されていた。

 

 スカーレットは、自由の女神像のたいまつに腰かけて歌うように言葉を発し北アメリカの大地に魔導の力を送った。その力は、(ザラーム)土の精(トゥールバ)の絶妙な制御を受けて恐るべき力をふるい強固な地殻を粉砕し北米大陸を海に沈めていった。

 この信じられない大陸沈没の様子は、不思議なことに世界各地の空に投影されたため全世界が凄まじい恐怖の海に叩き込まれた。

『ふうーすっきりした。それに霊子(レイス)も大分集まったみたいね』


 スカーレットが生み出した鋼鉄の箱は、大西洋の波間に浮かんでいた。その中には彼女が善良だと判断した無力な市民たちとその当座の食料が積載されていた。


「ええ、スカーレット!やりすぎだろう、大陸一つ沈めるとか。どうするんだよう?!」「まあ、起きてしまったことを今さら悔やんでも仕方のないことよ、竜さん」

 俺は、ネコさんの研究室でコーヒーを飲みながら今後の対応に頭を悩ませることと祈ることしかできなかった。なんで、こうなった?


2020.4.29 誤記修正

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