1/6
プロローグ
閲覧ありがとうございます。
さくっと終わる中編です。ほのぼのです。たぶん。
母が風をひいた。
大したことないようだけど、一応お粥を作ろうとしたらおじやがいいと言うので、めんつゆを使ってささっと作った。
味はまあまあ。
さて、母の部屋へ持っていこうとおじやの入った土鍋を手に、足を踏み出した時だ。
足下が突然光り、眩しさに目を閉じる。
そして、次に目を開けた時にはもう、私はどことも知れぬ雑然とした部屋にいた。
「え?」
訳がわからず立ち尽くす私。
部屋はそう広くなく、本やよくわからない道具があちこちに置かれている。
そんな部屋の真ん中あたりに、なんと紫色をした髪を腰の辺りまで伸ばした男がいた。
「あーー」
男は硬直したままの私を見て、ひと言。
「失敗した」
おじやを放り投げなかった私はえらいと思う。