表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/24

共依存〜ペットじゃないからセーフだよね?〜

第1部になるんですかね?とりあえずひと段落です。まだ終わらないんで続きも見ていただけると嬉しいです。

何日かあけて、また戻りますので普段は絶対自分から言うの嫌なんですが、続きを見てもいいと思ってくれるかたは、ブックマークしてくれると嬉しいです。


「私が当選したあかつきには~。」雀も鶏もなきあ終わった昼下がり、選挙演説で倉科麻里は目を覚ました。(あー、頭痛い!ここどこだ?うちかー。)


何だろうベッドに自分以外の温もりがある、記憶は所々ない。服は下着だけ。倉科は勢いよく目覚めたそして温もりの方を見た。イケメンだ。


息を大きく吐いた。「なんだあんたかー。」胸をなでおろした目線の先には、婚約破棄当初に悪友が買ってくれた、ジャ◯ーズ系な抱き枕だ。


実の所こいつにはお世話になった。彼の頭の部分をなで、(あの子どうしたかなー?頭痛い。とりあえずコーヒー、んーインスタント味噌汁あったかな?)なんて考えながらスウェットを着てリビングに向かう。


「あっ、おはようございます。コーヒーにします。味噌汁もできてますよ」「おはよう。ありがとう味噌汁ちょうだい・・・んっ!」頭は痛いままだったが倉科の目ははっきりと覚めた。


詳しく聞く前に、倉科は昨日の記憶を手繰り寄せる。朝方に「あんた行くとこないならうち泊まって良いわよ。」と酔った天使が言う。あれは寝技の神の目だ。


「いいんですかー。」なんて、無警戒なことを山野が言うから「ちょっと、振られたくらいで、男の道に行くのはまだ早いよ。あれは獲物を狩る獣の目よ 笑 うちに来な。」


天使が舌打ちしている。あの人は本当に酔っていたのか疑問になる。山野はその一言で軽く酔いが覚めた様で、倉科についていった。


途中で「味噌汁が飲みたい」って言ったのも私だしコンビニで材料買ったのも私だし、もしかして作れって言ったのも私か。


「あーごめんっ!」と倉科が手を合わせて謝ると山野が?ってなって「あーいいんですよ、あいつに比べればこんなの我儘にもはいりません。さっ、どうぞ。」


そう言って味噌汁を出してくれた。(おいしい。二日酔いなのもあるけど、料理漫画なら2ページは引っ張れる美味しさだ。)


「おいしい、あんたこれどうしたの?」山野が少し得意げに「家にあるもの好きに使っていいって言われたんで、鰹節でしっかり出汁をとって作りました。料理好きなんですよ。」


味噌汁を飲んで一息つく。部屋を見渡すと何かおかしい。綺麗すぎる!フローリングの床はゴミ一つ落ちてなくワックスでもかけた光沢、脱ぎ散らかしてあった服たちは全て一箇所に畳まれている。


(なにこれ?)ハッとして他の部屋へ、トイレへ風呂へいく全てが完璧な綺麗さ。しかも下着などは触れずデリカシーのある掃除。


山野が申し訳無さそうに、「すいません早く起きちゃったんで一食一晩の、お礼と言いうか・・・ご迷惑ですよね?」


人によっては気持ち悪いと受け取られるこの行為は、仕事にかまけて片付けられない女になりつつあった倉科にとっては最高のお礼だった。


一息ついて、山野が入れたコーヒーを飲む。(これも美味い。会社のビンゴかなんかで当てて埃かぶってたコーヒーセットで、こんな味が・・・)


「じゃあ、僕はこれで。」これで「うん」と、頷いてしまえばこの奇妙な現状もすぐに終わるんだが、人間魔がさすことがある。


それが今だ。朝起きておはようって相手がいて、おいしいゴハンに迎えられて一息つく時には美味しいコーヒー。もちろんそれにつられたのでは無いと自分には言い聞かせるのだろうが結局そんなもんだ。


人の大多数は誰かと一緒がいいと思う。独りで平気、と1人が好き、この2つの言葉は似ているようで大きな違いがある。


「これからどこ行くの?親と半絶縁、電話帳もメンヘラな同棲相手(元カノ)に自分と会社の番号だけ残して消されたんでしょう?そのせいで元カノ?優先で友達とも疎遠にって言ってたよね?」


山野は苦笑いをして、「なんとかなります。給料も出たばかりだったんで取り敢えずはなんとか。お世話になりました。」


暗い顔して出て行こうとする山野に倉科が考える(昔そんなドラマあったなーでもペットじゃないからセーフだよね。私どちらかといえば年上派だし、歳下を愛玩する趣味も無いし、・・・あっ!)

思いついた様に倉科が「ねぇ、キミ料理も出来そうだよね?」と聞く。


山野が怪訝そうな顔で答える「まぁ、それなりに。家事全般してたんで。」

「じゃあさ、うちで家政夫しない?住み込みで。

幸い部屋は余ってるし。子供が生まれても大丈夫な様に買った家だったからさぁ。」


倉科が自虐交じりに乾いた笑いで話す。そして始まる説得。山野が何かを言おうとするのを遮る。昨日と同じパターンだ。


「条件は家賃、食費、私が払うから、家事全般ははあなた。期限は1人暮らしに、充分なお金を貯めるまで。それとあんたが今の私みたいに過去の不幸を笑い話に出来るまでかな。後、私に恋人が出来たらその時はすぐ出てってね(笑)」


ニヤっと笑う倉科の提案に山野は悩んだ。「正直怪しいし昨日会ったばかりの人に同棲を進めるのは可笑しいですよ。それに僕にメリットがあり過ぎます。」山野がそういった一方、今の自分にはかなり助かる話なのも事実。


少し考えている山野に倉科は二マリと「私、人を見る目には自信があるんだ。婚約者は見抜けなかったけどね。」これ以上悩むと本気とも冗談とも取れない、倉科の自虐が痛々しい。


そして意識してかしていないかは別として、彼も今は独りでいたくないのだ。


「本当にいいんですか?」迷いながら聞くと更ににまーっとして、「よし決まりね!改めまして、倉科カナ30歳、OLやってます。浩二君貴方は?」山野のグラつく意思を倉科が鷲掴みする。


「えっと、山野浩二22歳です。広告代理店で契約社員やってます。」


倉科がビクッとなった!広告と聞いた時だろうか?はたまた、彼が予想以上に若かったからか?倉科はのちに気付く。ドラマみたいな偶然は実際にあるものだと。


(まさかね・・・)彼女は懸念を振り払い右手を差し出し、よろしくねって握手をしようとする。

山野も照れながら自分の服で手をゴシゴシ拭いてから手を差し出す。それを見て倉科が少し吹き出す。がっちりと握手して、奇妙な2人の共同生活が始まった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ