居酒屋みゆき
もう7月なんですね。ビアガーデンが待ち遠しい。
「ひっ!」山野は思わず声を出した。割烹着姿の角刈りのみゆきちゃんに。「ちょっとひっ!って何?!あまりの美人に驚いたのよね?そうよね?!!」選択肢のない2択問題に山野は、はいと答えた。
横でケタケタ笑ってる倉科が彼女?を紹介する。「こちら小料理屋深雪の女将さん兼料理長のみゆきさんだよ。」「どーも❤︎みゆきです❤︎」といって名刺を渡してきた。
天使深雪キラキラして顔写真まで入った自己主張の強い名刺。とても小料理屋の名刺とは思えない。覗き込んだ倉科が「相変わらず派手だねーキャバクラみたい(笑)語尾にハートつけるのやめて気持ち悪い。」
辛辣で的確なツッコミが倉科から入る。時間も時間だからかお客さんも他にいないようで、腰を据えて飲もうという倉科と、そろそろ閉めようと思ってたであろう、女将?さんが対照的に映る。
ため息つきながら「何?ここに男連れてくるなんて初めてじゃ無い?えっ彼氏?・・・は無いな。で誰なの?あなた割といい男ね❤︎」ギラついた天使の瞳に少し身震いした。
「や、山野浩司です。」
「で、このブスの何なの?」
「もうブスっていうなよー。拾ったのそこでっ!コンビニの前で!」
「拾ったってあんた犬や猫じゃ無いんだから・・・」「あんただって私のこと拾ったでしょ?(笑)もういいから飲ませてよ。ビール2つ!あっビールでよかった?」
「はいっ」遮って倉科がオーダーすると。「まぁいいわ。あんた早めに帰りなさいよ。もう閉めようと思ってたんだから!」といいながら天使はのれんを下ろしてきて、看板の電気を消した。
カンパーイ、3つのビールグラスが鳴り、お通しが出てくる。何の変哲の無い煮物なのに「うまっ!」思わず声が出た。
天使がニマッとしている。やはり料理を褒められるのが好きなんだろう。先程よりトーンの高い声で、「んで、今日はどうしたの?」と聞いてくる。「第2回不幸自慢大会かな?」と倉科が冗談ぽく言った。
「私も2年くらい前に落ち込んでたら、そこのおかまに拾われたんだ。それでおいしい料理とお酒と、話して元気出たからね。」しみじみ倉科が言う。すぐに天使から「おかまじゃねえって言ってるだろ!簀巻きにして沈めるぞ!」どすの利いた声で合いの手?が入る。
いつのまにそんな大会に参加していたんだろう?山野が呆けていると、倉科は構わず話し始めた。




