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死にたくないから普通になります  作者: 春波流音
第一章
3/3

02

(私のステータスってどのくらいなんだ?)

 ベッドに腰を掛けながら記憶の整理をしていたシーカはふと考えた。


 アルネの記憶と自分の記憶を照らし合わせて見ると、この世界【アース】の能力の基準は【アラルシア】より少し高く【アラルシア】の5級冒険者の基準は【アース】の3級ハンターの基準とほぼ同じだった。

(......そ、そのステータスで5級かぁ......。て、てことは1級ハンターとかのステータスって......)

 想像すると寒気がする。きっとメチャクチャ強いのだろう。ハッキリと数字が分かっていたら発狂していたかもしれない。

(アルネの知恵に1級ハンターの基準ステータスが無くて良かったぁぁぁぁ!!!)

 と思うシーカであった。

 この世界のステータスの基準を知ると同時に、自分のステータスがどのくらいなのか、気になり始めた。

 冒頭に戻る。


(もしかしたら私はこの世界では普通の力しか持ってないかもしれない。普通を演じなくてもいいかもしれない)という期待があった。同時に(自分は誰よりも弱いかもしれない)という不安もあった。

 正直自分のステータスを確認することは怖かったが、自分のステータスが分からなければ普通に合わせることは出来ないため、今見なかったとしても近い内に見なければならないことは分かっていた。

(どうせ見るなら早い方がいいな)

 と思い、シーカは腰を掛けていたベッドから降りて部屋を見渡した。ステータスカードはすぐに見つけることが出来た。当たり前だ。アルネの記憶を見たんだから。

 そして、すぐにステータスカードをタンスの上から取り、勢い良く開けた。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━

アルネ 女 5歳

筋力:22600

体力:24980

耐久:29230

生命:31500

器用:25410

敏捷:28740

知識:708

知恵:5

魔力:29120

幸運:2

━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「はぁぁぁぁぁ!?」

 この世界においての2級冒険者の基準が全ステータスは平均2000だ。そして、2級の上には1級と特級しかない。いくら特級が強いとはいえ2級に10倍以上ステータスを離すのは流石に無理がある。せいぜい5倍、すなわち平均5000が限界だろう。

 つまり、この国に5人も居ないと言われている特級冒険者の約4倍の力をシーカは持っているということになる。

 普通になりたいシーカにとって、このステータスは悪夢でしかなかった。

(ていうか、知恵と幸運無さすぎだろッ!?)

 ステータスカードを眺めていたシーカは心の中で突っ込んだ。

 因みに本人は気づいていないが、知識700はアルネの元々持っていたステータスだ。シーカだけの知識は8しかなかった。

 その後、シーカは何度もステータスカードを見渡したが結局知恵も幸運も上がることはなかった。


 ステータスカードを閉じたシーカが次に興味を示したのは魔物図鑑だった。シーカはアルネの記憶を頼りに本棚から1冊の辞書のような本【魔物図鑑】を取り出した。

 シーカはベッドに転がりながら、魔物図鑑を読み始めた。

 1ページ目は魔物の種族について書いてあった。どうやら【アース】の魔物の種族は5種類あるらしい。順番は強い順に並べてあり、上から【龍族ドラゴン】【悪魔族デーモン】【獣族ビースト】【海獣族シーモンスター】【妖魔族スライム】【植物族プラント】となっていた。

 と、ここまで呼んだところで眠気が限界に近づいていたシーカはコテンと眠りに落ちた。



「う~ん...むにゃむにゃ....もう食べられないよ.....」

 シーカは夢の国に居た。夢の国でパーティーをしていた。


 ドスドスドスドス。遠くで足音が聞こえる。きっとパーティーの招待客のものだろう。

 ガチャッ。ドアが開いたような音が聞こえた。きっと招待客がパーティー会場に入ってきたんだろう。


「おい、アルネ!朝だぞ、起きなさい!!」


 はっ!?シーカは夢の国から現実へ強制送還された。いつの間にか寝ていたみたいだ。

 シーカが目を開けると目の前には眼鏡を掛けた人間のオッサンが立っていた。

(ん?こいつ誰?何で人間がこんなところにいるんだ?ていうか、ここは何処なんだ?)

 そこまで考えたところでシーカは今朝起きた不思議な出来事【転生】の事を思い出した。

(そっか、私転生したんだったな)

 昨日の出来事を思い出したシーカは、もう1度、目の前のオッサンを見つめた。シーカは見たことが無かったが、アルネの記憶によるとコイツは...アルネの父さんらしい。


「やぁ、父さんおはよう」

「へ?父さん?」


 シーカが言うと何故か眼鏡のオッサン(父)は顔を歪ませた。

(え?こいつ、アルネの父さんだよな?なにか間違えたこと言ったか?)

「私何か間違ったこと言った?父さん?」

 考えても分からなかったので素直に聞くことにした。こういうのは本人に聞くのが1番だろう。

 すると気を取り直した眼鏡のオッサン(父)は笑いながら答えてくれた

「いや、昨日までアルネは俺のこと『パパ』って呼んでいただろ?だから『父さん』と言われて驚いたんだよ」

(なるほどね。そりゃ一晩でいきなり呼び方が変わったらビックリするよな)

 と、シーカは納得したが呼び方を直そうとは微塵も思わなかった。

(『パパ』とか恥ずかくて言えるかッ!)


「まぁ、取り敢えず布団片付けるから先にリビングに行って朝御飯を食べなさい。朝御飯いつも通りの所にあるからな。」

「えっ?私まだ眠......」

「行きなさい!!!」

「はっ、はいッ!」

 迫力に気圧されたシーカは即座にベッドから降りて父さんの言葉通りリビングに向かった。

◇ステータスについて◇

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━━━━━━━━━━


筋力:腕力や脚力などの純粋な力を表す

体力:持久力を表す

耐久:頑丈さを表す

生命:いわゆるHPを表す

器用:手先の器用さを表す

敏捷:脚の速さを表す

知識:知識の量を表す

知恵:閃き力を表す

魔力:魔素の保有量を表す

幸運:運を表す


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