「金髪ロールと鰹節」
サマンサ.ホーミー(ID718896)さんとお題企画!
5時投稿の約束なのに遅れてスミマセン<(_ _)>
私は今、金髪ゴスロリの神様とスマホをいじっている。
なぜか、誘拐されて。
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事の始まりは、私の自宅だった。
私が朝、ゴミを捨てようと玄関の扉を開けたら全身黒づくめの連中に目口を塞がれて暗転。
気づいたらトラックの荷台らしきこの場所にいた。
なんか温かいな、と思って辺りを見たら、私の隣にゴスゴスロリロリした格好の縦ロール少女を発見。
ついでなので起こしたら、お礼も言わずにいきなり自己紹介を始めて。
聞くと神様というので、
じゃあどうにかして出れないの、
と言ったら、少し考える素振りを見せてから、
「じゃあ……、異世界に行ってみる?」
と小さな声で聞かれた。
詳しく聞くと、彼女は天界からロシアに派遣されて、ホテルから出ようと扉を開けたときに私と同じ目にあったらしい。
………………どんだけ広範囲で誘拐してるんだ、犯人。
そして本来は、彼女の気に入った人間を一人、異世界に連れて行くことになっていたそうだ。
つまり、
私は誘拐から逃げたい。
彼女は人間を連れて行かないと帰れない。
じゃあ、彼女が私を連れて行ったら万事解決………?
と思ったらしい。
まあ、誘拐から逃げ出せるならそうしたいけど、生活できるか不安なのは困る、
ということを伝えると、彼女は断らないでというような目で、
「大丈夫!チートは付けるよ!」
と、眼前まで迫ってきた。
驚きながらも、
「…………ちいとってなにか分からないけど、困ってるならそれでもいいかな」
と言うと、彼女は嬉しそうに、
「やった!じゃあこれから、スキルを選んでもらうね!」
とスマホのようなものを渡してきた。
どうやらこの機械でスキル、というものを選ぶのが決まりらしい。
ならやるしかないか……、
と思い、渡されたスマホをいじり始めた。
そして冒頭に至る。
隣にはに12才くらいの自称神様。
ホントにこんな小さな娘が神様なのだろうか…………、
そんな疑問を抱きながら、スキル一覧、と書いてあるフォルダを開くと、沢山の文字が並んでいた。
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SP:1000(+100)
Nスキル:50000種
Rスキル:1000種
Uスキル:100種
スキル名
:
:
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「ねえ、これなに?どれをとれば良いわけ?」
そう聞くと、彼女は嬉しそうな顔で、
「ん?」
と言いながら近寄ってきた。
これなんだけど、
とスマホを見せると彼女は目を見開いて固まった。
そのまま待ち続けたがいつまでたっても返事がないので、声を掛けようかと思った瞬間、彼女は口を開いた。
「………………………………なんで!」
「え?」
「なんでそんなにSPが多いの!?」
SP?
そういえば、一覧の最初に書いてあったけど……。
「なんかヘン?」
「思いっきりヘンよ!……冗談やめてよね!」
彼女が言うには普通は大体、10から20ちょっとらしい。
「で、SPってなに?」
「SPっていうのはスキルポイント、スキルを取ったりスキルLvを上げたりするのに使うポイントのこと………」
…………なんか疲れてるみたいだけど放っとこう。
にしてもSPか………。
沢山あって良かった。
スキル一覧を見ていると、面白いページを見つけた。
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Lスキル一覧
※複合スキルの場合、他のスキルを上書きすることがあります。
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Lスキル?
レジェンド………伝説……………………、
………面白そう。
そう思って一覧を開くと、そこは興味深い名前のスキルだらけだった。
【暗黒神】というスキルや、【サバイバルセット】、中には【人外のススメ】なんてネタの様なスキルまであった。
そんな中から特に面白そうなスキルを何個か取った。
その結果、こうなった。
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取得スキル一覧
Lスキル
【サバイバルセット】LvEX
【弩級鍛冶師の卵】Lv1
【融合分解】Lv1
【超料理人】Lv1
【永久の歌姫】Lv1
【神速のススメ】Lv1
残りSP:250(+100)
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なんか中二病じみた名前のスキルばかりに見えるけど、生活に必要なものはしっかり取ってある。
仕事のスキルを四つも取ったから仕事に困ることはないはず。
…………人間居ればだけど。
「これどうやって終わるの?」
「右端に終了ってあるでしょ、それ押して」
彼女に言われたとおりに右端をみると、確かに終了の文字があった。
押してみると画面が白くなったので、とりあえず彼女に渡した。
「もういい?」
と、彼女が聞いてきたので無言で頷くと、
「わかった、じゃあいくよ!」
と彼女は言った。
すると、いきなり場所がトラックの荷台から白い空間になった。
「手続きが終わるまで待ってね!」
と彼女が言うので、私はまた頷いた。
そのまま待つ。
ただ待つ。
いつまでも待つ。
………………………………。
「これいつまで待つの?」
「あ、もう行っていいって」
そっか、もう行っていいのか…。
「災難だったろうけど、頑張ってね…………………応援してるよ!」
「うん…」
「どうせだから保存食出すスキルあげるね」
「………ありがと」
「まあ、いつかあえるよ!…………もういく?」
私はまた頷いた。
「そっか、じゃあまたね」
彼女がそう言ったと同時に私の意識はフェードアウトしていく…………。
「あ!私の名前はリリだからね!覚えてて!」
その声が聞こえてきたとき、意識は完全に落ちた。
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目がさめると、そこは広い草原だった。
「…………おなかすいたな」
スキル一覧には保存食の文字が見える。
「スキル【保存食】」
無意識にそう唱えると、出てきた。
鰹節が。
ん?鰹節?
驚いて目を擦るけど、そこにあったのは、紛れもなく削って豆腐などに乗せて食べるあの鰹節だった。
………………どうやって食べよう?
サマンサさんもよろしく!まことにありがとうございます。