天界からの処罰
その翌日。いよいよ祝宴も最終日となり、昨日の事件を忘れさせるべく華やかな趣向が凝らされた催しが、宴の間でつづくなか。
旺諒は、ふたたび玉皇から謁見の間に呼びだされていた。
天宮での、他ならぬ玉皇の祝宴の最中における、二度にわたる彼のけしからぬ振る舞いへの沙汰が、とうとう決められたのである。
謁見の間で旺諒が口上と謝罪を終えると、華やかな朱の袍をまとった玉皇が、大傅たちを退がらせる。
人払いをした後、天界の主が玉座から直接彼に宣告を下した。
これから三月のあいだ旺諒は、罰として天界で下働きをさせられることになったという。
仮にも龍界の王子が下男の仕事をさせられるとは、たしかに恥ではある。それでも危惧していたよりはるかに軽い処分で、内心安堵していた彼に、彼女が教えた。
「そなたの行いに、天界の重臣達は皆、相当腹を立てておっての。本来ならば即刻奈落送りにされるところであったが、月華が割って入ったのじゃ」
「月華殿が……?!」
「左様。彼女が彼らに、宴の間の件でそなたを奈落に行かせるならば、今後は行方不明の神具の番いを製作するのをやめる、と脅しをかけての。まったく、たいした面の皮じゃ」
なかなかの見物であったぞ。そう言って、玉皇がいかにも愉快そうに笑う。
例の神鐘の番いを見たかぎりでは、たとえ月華が対になる神具をつくったところで、他の誰にも使い方がわからないのならば、結局その番いは存在しないも同然なのではないだろうか。
一瞬だけそんな考えが、旺諒の頭をよぎる。
だがそれよりも、月華がまたしても自分の知らないところで助けてくれていたと聞いて、彼の胸がじんわりと暖かくなった。
彼女が推測した通り、夜伯はやはり完全な『天界の記憶持ち』だった。
彼は、先代の女性の玉皇大帝に身分ちがいの恋をしたあげく、彼女につきまといつづけて天界を追放された男の、生まれ変わりだったらしい。
身分が低いために天界から虐げられたと逆恨みしていたそうだが、旺諒にしてみれば、その陰湿な性格を何とかしてから出直してこいと、尻でも蹴飛ばしてやりたいところだ。
それでも、前世では絶望のあまりに自らの命を絶ったという彼の身の上を聞いてしまうと、(つぎこそは幸せな人生を全うしろよな……)と祈らずにはいられない。
ちなみに、殉死(?)しかけた不運な衛士の操は、かろうじて無事だった。
夜伯のその後の処分は冥界に任されることになり一件落着だが、行方不明の神鐘は、結局見つからないままだという。
「天界の寛大な処置に感謝いたします。ところで、私はいつから、どこで働きだせばよろしいのでしょうか」
彼の問いに玉皇が、ひときわ愉しげに鮮やかな微笑みをうかべた。
「そなたも一度は龍界に帰る必要があろうの。では、下働きは十日後にまた天界に戻ってきてから始めるがよい。そなたの勤め先は…………」
旺諒が、信じられないといった表情で、彼女の玉顔をぶしつけなまでに凝視した。




