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世界が変わった理由

俺たち家族はその日、普通に日常生活を営んでいた。

窓の外には猫がいて、オス猫が盛っているのかメス猫を追い掛け回している。塀の上でのやり取りと同様に道路にはカップルがイチャイチャと学校へ行く様子がうかがえる。そんな風景もいつもどおりで、俺は冷ややかな目で見つめながら「リア充死ね!」と強く念じた。

そうすると、翌日。窓から見える景色が一変した。昨日までいたカップルの女という女が消えていたのだ。俺は首をかしげ、その事実を兄と姉に話した。がしかし、二人は俺のことを“中二病”と称してケラケラ笑うだけで、相手にしてもらえなかった。

あまりにも簡単に受け流されるものだから、俺も単なる気のせいか…。もしくは、女が揃って病気にでもなったんだろうと無理やり片付けた。


女がいなくなって数日。動物の性なのかなんなのか、男同士のカップルが今度は増え始め、俺の部屋の窓際で姉がハァハァしだした。


「ハァハァ、いいねぇ~、いいよぉ~!そこだ!そこでキスするんだ!!姉さんは見守っているぞ!!」

「あ~も~!うっせーな!!」


俺は再びBLカップルが消えるように念じた。ただでさえ姉の考えた物語を絵に起こす事に嫌気が差しているというのに、目の前でハァハァされ続けたのでは精神的にもたない…。

すると、翌日。男同士イチャイチャしていた者たちが消えていた。


「……マジかよ」

「!!!なんで?!なんでいなくなってんの!??私のパラダイスは?!!」

「うっせー…。この前言ったろ?念じたらカップルの女が消えたって。昨日俺が消えろって念じたから…」

「なんでそんな殺生なことすんのよ!!!この鬼!悪魔!!」


俺の襟首を掴んでブンブン俺を振り回したあと、泣き叫びながら俺の部屋を出て行った。


「はぁ…、これで静かに過ごせる…」


ふとため息をついたのも束の間、今度は兄が勢いよく部屋に入ってきた。


「弟よ!!おなごがおらん!!」

「知らねぇよ!」

「なぜだぁあああああぁぁぁぁぁぁああああ!!!」


再び叫びながら出て行った。まったくうるさい双子だ…。

俺にも全く意図しない状況にびびりつつ、上二人の叫びがこだまする家で目を閉じた。


ー翌日ー

目が覚めると窓から日が差していて、知らぬ間に寝ていたのかと起き上がって窓の外を見た。昨日となんら変わりのない風景。男も女もイチャイチャする者はいなくなっていた。


「なんか、これもこれで異常だよな…」


俺がつぶやくと、下を通っていた女が一人、こちらに振り向いた。俺がびっくりして固まっていると、女はにっこり笑って口パクでこう言った。


“あまり、不用意にものを考えないほうがいいわよ”

「は?」


俺は意味も分からず首をかしげたが、女は俺を無視してそのまま歩いて行ってしまった。これが世界が変わった最初の事象だ。

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