第二通目 ユメ郵便局来たる
こんにちは。
今日から、梅雨の中休みらしいですね。
貴重な使い方をしたいものですね
ただいま。
誰もいないその部屋に挨拶をする。
どちらかというと、すっきりした部屋だと思う。
物を置くのが好きではないため、自室の部屋はオーディオとベッドと、ソファにアジアンを意識したカーペットのみ。
…それと、ランプだ。
部屋の蛍光灯を消し、ランプに灯りをともす。
ほっとさせる、マイルスディヴィスのBGMにオレンジ色したこの温もり。
たしか、杉…さんとかいうガラス細工作家さんの作品であるグラスに8年もののワイルドターキーを注ぎ、氷を入れる。
人間、美しいものに囲まれていなければ、老ける。
とは、誰かがよくぞ言ってくれたものだ。
いい音楽も、
いい灯りも、
いいお酒もすべてが美しい。
大自然も好きだけれど、
アートも大好きな私。
ほろ酔いになりながら、くつろぐ私の部屋を何者かが訪問してきたようだ。オートロックのマンションなので、こちらが許可しないと部屋には来れないことになっている。
インターフォンで応答をする。
「どちら様でしょうか」
時計は21時を指そうとしている。
こんな夜に何の用事だろう。
男の声がする。
だが、画面には歪んだ何かが写るだけで、よく見えない。
わたしも、酔っぱらってしまったのか?
「里州あやささんのお宅ですか?」
「そうですが。どちら様でしょうか」
「こちらユメ郵便局の、イワシです。」
私は、インターフォンの受話器を落とす。
来た。
この瞬間が。
心の何処かが、懐かしい気持ちに震える。
この後の、あやさの心の変化にお付き合い下さいましたら幸いです!