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Chapter01

VRMMORPGモノのSSです。

携帯電話やインターネットが大々的に普及1990年代後半から2000年代前半


その時勢に乗るかの様に大きく流行始めたものがある。


ネットゲーム。


不特定多数の顔も見れない人間と同時に共同でプレイするゲームだ。


そのジャンルは様々で簡単なオセロや将棋の様なものもあればスポーツゲームや


カードゲームの類もある。


しかし一番流行ったといえば、MMORPGと呼ばれる


自身のアバターを作り共同で同じプレイヤーと一緒に戦うRPG形式のものだろう。


自宅でプレイしながら、他人と接せる手軽さ。


成長のさせ方の違いで出てくる個性。


自分のプレイの成果が直接他人に見せられるシステム。


共同で巨大な敵と戦ったり、プレイヤー同士で競い合える。


NPCでは無く生きた人が相手という事実は斬新な事だった。


人より強ければ羨望の眼差しを受け


人の持ってないレアアイテムを持っていればそれを誇れる。


プレイヤーがプレイヤーに物を売りも出来ればそれが需要と供給を作る。


単純に会話をするだけでも楽しく、コミュニティを作ればそれらは更に広がる。


0と1の集合体の箱庭とはいえ、それは正しく小さな社会を形成していた。


その箱庭を飛び出し、ゲームで知り合った人達と現実で集まって会うオフ会など


1TVゲームの枠を越えた楽しみ方も催された。


また、ゲームである以上努力をすればそれはデータとしてその分だけ確実に実るのが


現実と違い大きな魅力となっている。


それらが相成り、高い中毒性を誇り全国へ爆発的に浸透した。


インターネットが普及しきる前は狭い海外ユーザーか


コアユーザーのみのものであり狭き門であったがインターネットの大々的普及により


TVゲームに興味の無い一般人へまでも受け入れられていった。


様々なタイトルが乱立し、漫画やアニメ、通常のTVゲームにも


ネットゲームを題材としたものが出される程だった。


しかし、このMMORPGも隆盛も最初の頃は熱狂的に迎えられたが


その隆盛はそこまで長くは続かなかった。


中毒性の高さにより、いい年の社会人が会社を休んでまでプレイし


現実を疎かにしたり学生が引き篭もりになったりと大きな問題になった。


ユーザー層が広くなった事により、精神的未熟者、子供も多くなり顔の見えない


匿名性によりゲーム内でのモラルの低下などが目立った。


更に現金とゲーム内通貨の交換する事業社が蔓延したり


ゲームのデータと現金の交換を利用しての詐欺なども起こる。


オフ会などで現実とゲームの区別の出来ない人が問題事を起こしたり


そういった場での出会いから女性へのストーカー事件に発展した事例も存在する。


極一部では出会い系サイトの変わりに使われていたりもした様だ。


他にも様々な弊害が生まれ、社会問題としてニュースや新聞で取り扱われたり


学生の教科書に載る事態となり


当初の熱狂性は冷め、次第とユーザーはMMORPGから遠ざかっていくのであった。


ユーザー離れはMMORPG自体の負の部分だけが問題ではなく


携帯ゲーム機の進化もその後押しをしている。


多人数プレイという問題を携帯機を持ち寄る事により解消し


2~4人で協力して又は対戦してプレイ出来る様にしている。


此方はゲーム機を持ち寄る都合上、社会人にはやや厳しいが


学生にはむしろ優しく見知った友達とプレイする事により


誰とも分らない人間とプレイする事によって起きる問題の発生を防いでいた。


ゲームというツールを解して普段はあまり接しない人とも


新たにコミュニケーションを取る機会も作った。


そういった成果が怪獣を多人数で狩る某狩猟ゲームの


売り上げに繋がったのは想像に難しくない。


その様な事情の中、純粋なMMORPGは当初の影を見る事が出来ない程


下火な状態であり各社の運営陣は大いに困る事となった。


大御所の確りとしたMMORPGは今でも引き続き運営されているが


時代の波に乗って勢いで作られたMMORPGは軒並み運営停止となっている。


未だ潰れていないMMORPGでも確りと黒字が確保されているかといえば


非常に怪しいところも多い。


一月だけプレイ料金を無料にしたり


基本料金を無料にしゲーム内の一部アイテムを有料にする事で


ユーザーの回帰を施すも芳しくない。


そんな中、200X年…


ゲーム会社として大きな三社が一大プロジェクトを立ち上げる。


MMORPGとしての面白さもも多人数プレイの醍醐味も


普遍的に埋もれてしまった今、新たに斬新な物でユーザーを再び振り向かせようと


ヘッドディスプレイの開発を企画したのだ。


直接顔にセットする事でさも其処に本当に行ったかの様に錯覚させるかの如く


リアリティを持ったVR空間によるMMORPGの作成に着手し始めたのだ。


当初は各雑誌マスコミ等から現在の技術力では無理があると散々叩かれたが


それは本当に完成し世間の日の目に浴びる事となった。


このプロジェクトに参加したのは


国内の老舗RPGであるラスト・ストーリー(以下RS)シリーズを擁し


その11作目を大型3DMMORPGへと仕上げた大企業トライアングル社


2DMMORPGの最大手であり今尚アップデートを続ける


ハルマゲドン・オンライン(以下HO)を運営する闘魂社


本来は3DダンジョンRPGのサンサーラ・ヴィーナス(以下SV)シリーズがメインだが


同名の作品のMMOも運営し、MMORPGを題材として漫画・アニメ・DVDと


様々な分野に広がったソフトソウル・ハック(以下SH)を作ったジャイアント社


三社の不眠不休の続く血の汗滲む地獄の様な数年間の努力と苦労の末201X年


VRMMORPGという新たな分野の立ち上げに成功した。


ヘッドディスプレイだけで10万弱とただの玩具としては


非常に高い額と相成ってしまったことと


最新鋭技術の塊であるのと史上初の代物であることで


意見は賛否両論に割れていた。


また10万弱という金額は学生がバイトをし数ヶ月溜めれば手が届く額であり


社会人的には一度のボーナスで購入可能な額という事で


高額である事を必要以上に叩かれる事はなかった。


パソコンや家庭用のゲーム機各種の両方にも対応していた事


支払いが電子マネー限定でなく銀行振込みによる現金でも良かった事も大きい。


掌を返した様に賞賛し騒ぎ立てるマスコミに対し開発人陣は


「今までに無い新たな感動の提供を確約します


 またヘッドディスプレイだけでなく他にも様々な最新鋭技術を取り入れていますので


 お楽しみにしていて下さい」


とのコメントを残している。


201X年…かくして史上初のVRMMORPG


サウザン・ナイツ・オンライン(以下SNO)の発売、運営が開始されたのである。






ファーストフード店でバイトして苦節半年。


休日に無断欠勤出たから代わりに出てくれと頻繁に引っ張り出される思えば


今日は客来少ないから速く上がってくれと追い出されたり


タイムカードを上がり時間数分前に切らされたり


実労働時間三時間だけの時もあれば九時間オーバーの時もあったり


14時~17時と半端なシフトの時もあれば


昼のピークに入りピーク終わりに数時間休憩


夕方からクローズさせられたりと


なんだか大学生だからと非常に都合のいい様に使われた割には


諭吉さんのは入りが悪い挙句


趣味も話も会う奴が店の中に誰一人居ず、居場所を作れず金が溜まらず


ストレスだけが溜まっていく職場だったが、その苦悩もこれで終わりだ。


全てはこの時の為にあった、史上初と謳われるそのヘッドディスプレイで、私を報いてくれ。


という訳で月末にバイトを辞めて翌月の今日5日に入った給料を使い


何とか発売日に買えたSNOのインストールタイムだぁ~!!


オレこと山田二郎は一般的なヲタ大学生である。


山田二郎?


偽名でも、もう少しまともに名前を考えろ?非情に同感であるが悲しい事に本名だ。


この名前のせいで小中高とネタにからかわれる事が多かった。


山田二郎とは現世に忍ぶ仮の名だ、ダイゴウジ・ガイこそがソウルネーム!!


とは言わないがあまり本名では呼ばれたくなく仲の良い人間にはHNで呼ばせる様にしている。


が一向に名前で皆呼びやがる、ちくせぅ。


自分はゲームならコンシューマ、携帯機、ゲーセン、カードゲーム


ネトゲ、エロゲ何でも広く浅く手を出すオールマイティな人間だ。


両親が海外旅行へ行き新築したばかりの家に独りだけという状態


になりこれ何てエロゲ?


な状態になったが連れ込む相手もおらず結局バイトと大学の講義時間以外は


引き篭もってミックミクになっていたのは秘密だぞ?


ふっ、三次元になんて興味は無いさ…二次元こそが理想郷なのだよ!!


と断言できる程に手遅れだったらいっそ幸せだったかも知れないが


そこまでは堕ちきってない自分が逆に切ないぜ。


ゼミが男だけって訳じゃないから女性との縁が全く無い訳では無いが


そういった方面には全く希望の持てないのは気にしたら負けだ。


だってゼミの女の子は全員お手つきだからなぁ。


ともあれ、ゼミ内でも期待の高まっていたSNOだ。


単位は足りてるとは言えないが今期の講義は大半が試験ではなくレポート提出。


レポートはネットでそれらしい物をコピペ、多少の改変をすればいいし


試験は論文形式で1~2問なのだから出たトコ勝負ででっちあげればいい。


暫くは大学をサボってネトゲ三昧確定である。


インストール中に説明書を読み始める。


個人的にゲームは説明書を読まずに始めてやりながら覚えて行いく派だ。


習うより慣れろとは名言だと思う。


が、しかしMMOは得てして膨大な情報量と操作性がある為


この辺を無視ると序盤で盛大に無駄をしたり後で泣きを見る事が多い。


インストールが完了し、IDを入力し、パスワードを決めていよいよゲームスタートだ。


オレの冒険がいよいよ始まる。

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