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百の通知が鳴る夜に  作者: 葛城ログ
第一章 現代テクノ怪
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第8話 スマホライトが照らすもの

 Jは夜道を歩くとき、スマホのライトを懐中電灯代わりにしていた。


 ある晩、帰宅途中の細い路地で、ふと違和感を覚えた。まっすぐ前方を照らしているはずなのに、足元に**“誰かの影”**がかぶさっていた。自分の影ではない。肩幅が広く、首の角度が奇妙に傾いている。


 (前から来てる?……いや、誰もいない)


 周囲には誰もおらず、ライトの先には何も映っていない。なのに、足元にはもうひとつの影が、ぴたりと張りついていた。


 まるで——背後から照らされたかのように。


 自宅に戻ったJは、スマホを確認してさらに震えた。ライトが点灯していたとき、カメラも勝手に作動していたらしく、“反対方向”の写真が連写されていたのだ。


 そこには、Jの背後、つまり“誰かがJを撮っていた”かのような視点からの写真が並んでいた。


 最後の1枚。Jの肩越しに、白い顔がこちらを覗き込んでいた。


 次の日、Jはライトを使わずに帰宅した。だが深夜、机の上に置いたスマホがひとりでに光り始めた。


 背後の壁に、今度は自分のものではない影が、はっきりと浮かび上がっていた。


 影は、ゆっくりとJの影に重なっていった。

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