表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百の通知が鳴る夜に  作者: 葛城ログ
第一章 現代テクノ怪
7/53

第7話 タッチ決済の異常履歴

 Gは通勤用のICカードをスマホに登録しており、日々の交通費管理に便利に使っていた。


 ある日、何気なく履歴を確認すると、知らない駅名が並んでいた。


 「風切かざきり」「無月むづき」「夜返よがえし」——いずれも聞いたことのない名前。しかも入場・出場ともに“完了”している。


 Googleマップにも、鉄道マップにも載っていない。


 不審に思ったGは決済履歴をPCから確認してみたが、スマホでは表示されていたそれらの駅名がすべて「非表示」になっていた。まるで、最初から存在しなかったかのように。


 数日後、深夜の帰宅途中、いつもの駅で改札を通した瞬間、スマホの画面が真っ暗になった。再起動すると、なぜか通知が1件届いていた。


 「無月駅へのアクセスが完了しました。おつかれさまでした」


 改札の表示も一瞬だけ「夜返駅」となっていたと、後ろにいた乗客が教えてくれた。


 Gがスマホを確認すると、「オフライン使用中」のタッチ決済機能がずっと作動しっぱなしになっていた。そして、利用履歴にはこう書かれていた。


 > “次の行き先:きさらぎ”

 > “片道のみ:返却不可”


 次の日から、Gのスマホでは地図アプリも乗換案内も「最寄駅」を正しく認識しなくなった。

 アプリは常に、見知らぬ“深夜しか使えない駅”を案内し続けている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ