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気になることが次から次へと

 


「あのー……早速先生に質問があるんですけどいいですか?」


「おー先生呼びは慣れなくてちょっと照れるな……じゃなくて。もちろん何でも聞いてくれたまえ」


 照れてるユミル先生は可愛かったが、一旦それは置いておいて俺が魔力枯渇で倒れた時のことを説明し、なぜ水差しの魔法を倒れるまで使い続けてしまったのか、途中で止めることができなかったのかを質問した。


「ああ君が使った魔法には条件を満たすまでその魔法を使い続けるという文字が含まれていたんだ。そしてその条件というのが容器ーーつまり想定としては水差しを、決まった量まで満たすというものだった」


 あー、つまり水差しが無い状態だったからずっとその条件が満たせずに使い続けてしまったと。

 ……魔法危なすぎじゃない?


「まあある程度魔法が使えるようになるとそういうのを無視して強制的に魔法を中断できるようになるんだが」


「ある程度ってどのくらいですか?」


「十文字以上の魔法を使えるようになれば、だね。ただこれは安全マージンも含めてだから、実際には8、9文字の魔法が使えれば大丈夫かな」


 なるほど。流石にそこらへんはちゃんと調べられてるんだな。

 それにしてもここまでの話を聞いて思ったんだが、文字魔法ってなんかプログラムみたいだな。

 魔法を止める条件の文字を組み合わせたりするのとか、それが良く言えば決めた通りに動くが悪く言えば融通が効かないようなところとか。

 そして今回俺がやったような例外的な使われ方を想定して、セイフティというか例外の処理を用意してないと問題が起きることとかも何となく似てる感じがする。


「それにしても容器が存在しないから魔法が不発に終わるとかじゃないんですね……」


 俺がそう言うとユミル先生は一瞬目を見開いた後、ふふっと上品に笑った。


「ああ。君が使った時、魔法では空間そのものを容器として認識していたのだろう。それが水差しの形状の空間なのか、それとも器の外殻が無かったからこの世界そのものを器として指定してしまっていたのかはわからないが」


「空間を容器として指定……ですか?」


「そうだ。君は魔道具を作るために必要なものを知っているかい?」


「魔道具を作るために必要なもの……魔法文字を刻む物体のことですか? 確か決まった物質を使う必要があるんだとか」


 最初魔法を使おうとした時は魔道具を再現しようとしたんだがその制限のために断念したんだよな。


「その通りだよ。正しくは物質によって体積あたりの魔法文字を刻める容量が決まっているんだ。だから実はどんな物質でも大きさを気にしなければ魔道具の素材になり得るんだけどね」


 ユミル先生はうんうんと頷きながらそう説明してくれた。

 体積あたりの魔法文字許容量か。

 密度みたいな感じで物質ごとに固有のものってことか。

 というか空間の話からこの話に繋げたってことは……もしかして魔法使いが空中に魔法文字を書いているのってそういうこと?


「魔法使いは、空間を魔法文字の許容量がでかい物質として扱っている?」


 俺が考察を呟くと、ユミル先生は今度ははっきりと驚いた顔になった。


「わお。今の話からそこまでわかっちゃう? 正解だよ。魔法では空間をある種の、概念的な物質として扱うことができる。そして物質としての空間は今のところ測定できないほどの魔法文字許容量を持っている。魔法使いはそれを利用して空間に文字を刻み、魔法を使用しているわけだ」


 魔道具の魔法と魔法使いの魔法はそういう関係なのか。

 水差しの魔法の話に戻すと、あの魔法は「魔法文字が刻まれた物質」を器として指定していたとかかな。

 そして俺は空間という物質に魔法文字を書いたから空間が水で満たされることがなく延々と水が出続けたってわけだ。


 抱えていたもやもやが無くなりスッキリした俺は、今の話から思いついた別の質問もしてみる。


「空間を物質として指定できるなら、例えば物を燃やす魔法で空間そのものを燃やすとかもできるんですか?」


 それに対してユミル先生は楽しそうに答えてくれた。


「良い質問だねえ。そしてその質問の答えは、理論上は可能、だ。魔法の種類と対象の物質には相性があってそれによって必要な魔力の量も変化するんだ。火の魔法で、乾いた木を燃やすのと湿った木を燃やすのとでは後者の方が必要な魔力が多くなるのはわかりやすい例だろう。そして火の魔法で空間を対象として指定するには必要魔力量の観点からは実質的に不可能とも言える」


「なるほど。魔法って面白いですね」


 俺がそう言って一旦質問を終わらせる雰囲気でいると、水差しの魔法のことはもう良いのかと聞かれたので、先ほどの俺の考察を伝えてみた。


「おお。ちゃんとそこまでわかっていたんだねえ。それにしても君と話していると子供と話している気がしないよ。大学の友人と魔法談義している気分になってくる」


 ユミル先生は興味深そうな目で俺を見ながらそう言うと、今日は顔合わせとしてこのくらいで切り上げよう、とそのままお暇していった。


 また明日以降本格的に魔法を教えてくれるそうなので非常に楽しみだ。



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