0、プロローグ
えーっと、私なんでこんなことになってるんだっけ?
――――
統括執事さんからホールの掃除をするように仰せつかったのよね。
そんでもって、『今日もメイドのお仕事ができるなんて幸せ!』
とか思いながら張り切って雑巾掛けをしてたらミハイル様がやってきて――――。
確か、ミハイル様が落ち込んでたから励ましてたような気がするんだけど……。
「アリシア……」
そう呟きながらミハイル様は私の手を握り、さも愛おしそうにもう片方の手で私の頬にそっと触れている。
蜂蜜色に輝く金髪とこちらを覗き込む熱っぽい金色の瞳。
王国で一二を争う美青年だと言われる程の美貌の持ち主。
幼い頃から積み重ねてきた剣術で鍛えられた逞しい身体。
容姿端麗で地位も権力も全てを兼ね備えた御伽話に出てきそうな、まるで絵に描いたような王子様。
そんな人がなんで私の手を握って、こんなに甘い瞳で見つめてくるの……?!
間近で仰ぎ見る美しいミハイル様の優しい表情に思わず見惚れてしまう。
憧れの王子様がまさか私に求愛を……?!
……って。
だ、駄目ダメ!
こんなの絶対にダメだよ!
ここでときめいたりなんかしたら、私の人生また終わっちゃうんだってば!!!