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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

グッバイ、ベイビー。

作者: 鳳終院狂夢
掲載日:2024/02/23


 自分でいうのもなんだが、僕はそれなりのモテ男だ。

 女性というものには、これまで一度も困ったことがない。

 正直にいってしまうが、僕はそれなりに女性に酷いこともしている。

 いわゆるヤリ捨てのようなことは何度もしたし、泣かせたこともある。

 妊娠させた女に中絶するように言ったこともある。

 ひどいときには、殴ったり、動画を撮ってばらまいたりもした。

 女遊びはさんざんやった。

 正直クズといわれてもしょうがない。

 けど、それくらい別にいいだろう?

 だって僕は男前で、求められるし、強いオスだ。

 だからこのくらい許される。

 女性だってそれなりに僕に抱かれて喜んでいた。

 僕がちょっと顔がいいからって、すぐに遊ばれる軽い女ばっかだ。

 そんな女たちには微塵も恋愛感情を感じない。

 いつも身体をかりて性欲を処理するだけだ。

 他人なんか、僕が気持ちよくなればどうでもいい。

 そう思って生きてきた。

 だけど僕は34のとき、運命の人に出会った。

 僕は恋に落ちて、結婚した。

 結婚したからには、僕もまともになろうと決めた。

 誠実になって、浮気はしないし、真面目に働いて、彼女を守ろうと誓った。

 これまでの僕は死んだんだ。

 僕は反省し、真人間になった。

 そして僕たちには可愛いい可愛い娘が出来た。

 娘はすくすく育って、大人になった。

 そして娘は20歳になり、ある日家に男を連れてきた。

 紹介したい人がいるのだという。

 そうか、娘ももうそんな歳か。

 しかし娘が連れてきたのは、娘よりも10は上の男だった。

 しかも肌黒で、金髪、いい歳して奇抜なファッションをしている。

 とてもじゃないがまともな大人には見えなかった。

 もちろん僕は反対した。

 このような男と娘が結婚するなんて、ゆるせるずがない。

 僕は直感的にその男がクズだと理解した。

 なぜなら若いころの僕も彼のような男だったからだ。

 とりあえず、この男には灸をすえる必要がある。

 僕は男と二人で話がしたいと言った。

 男は乗り気だった。

 男と二人きりになると、急に男は笑いだした。

 なにがおかしい。

「いえね、娘はお前なんかにやらんなんて、どの口がいうのかと思って」

「なに?」

「あんただって、若いころはさんざん遊んでいたくせに」

「なぜそれを知っている」

「あんた、みゆきって覚えてるか?」

「誰だ?知らないな……」

「あきれたな……昔あんたが妊娠させて捨てた女だよ」

「そんなの……覚えてない」

「俺はその息子なのさ……!」

「なに……!?」

「俺は、あんたに復讐しにきたんだ」

「残念だが、娘は絶対にやらんぞ。復讐なんかできない」

「残念だが、復讐はすでに完了している」

「どういうことだ?」

「あんたの娘、とんでもないビッチだぞ」

「は……?」

 そんなはずはない。

 娘には悪い男がよりつかないようになによりも大切に育ててきた。

 僕のようなクズ男にひっかからないよう、しっかり教育したつもりだ。

 娘には婚前交渉はするなといってあるし、それを守っているはずだ。

 学校だってすべて女子校だし、グレることなくまっすぐ育った。

「これを見ろ」

「これは……」

 男はスマホの画面を見せてきた。

 そこには男とまぐわう娘の姿が映っていた。

 しかも動画は何本もあって、どれも過激な内容ばかりだった。

「あんたの娘は、今や喜んで俺のケツ穴をなめるような変態だ。俺が全部調教した。あんたの娘は俺にぞっこんだ。あんたがいくら結婚に反対しようが、かけおちか、もしくはそれができなきゃ心中する勢いだ。どうだ、あんたの最愛の娘は、この俺のものだ」

「おええええええええええええええええええええええ」

 僕はその場に盛大に嘔吐した。

 気持ち悪い。絶対に許せない。

 こんなカスみたいな男に、これまで大切に育ててきた娘を篭絡されてなるものか。

 僕の大事な娘を傷ものにしやがって。

 僕は許せなかった。

 こんなクズ男が、娘の大事な純潔を奪い、汚したなんて。

 なによりもの屈辱だ。

「このやろう! ころしてやる!」

 僕は彼に殴りかかった。

「やめてお父さん!」

 娘が止めに来る。

 でもかまわずに僕は男をボコボコにした。

 男は後日僕を訴え、僕は傷害罪で逮捕された。

 僕が逮捕されているうちに、男は娘を連れてどこかにいってしまった。

 今頃娘はなにをされているのだろうか。

 そう思うと夜も眠れない。

 僕は激しい心の痛みに耐えた。

 そして思ったのだ。

 かつて僕が女性たちにしてきたことを。

 僕が捨ててきた、傷物にしてきた娘たちにも、同じように親がいたのではないかと。

 僕は激しく自己嫌悪した。

 後悔した。

 ああ、僕はなんということをしてしまったのだろう。

 親になって初めてわかった。

 僕はひどいことをしてきた。

 ひどい人間だ。

 僕はようやく、自分のしてきたことの愚かさを認識した。

 女性をもののように扱った過去の自分を恥じた。

 僕はしょせん、あの男と同じく、ただのクズ男の一人にすぎない。

 モテるからといっていい気になって、すべてを手に入れようとした。

 その末路がこれだ。

 僕が犯した過ちのせいで、娘は奪われてしまった。

 娘はもう帰ってこないのだろうか。

 なぜこんなことになったんだ。

「ええい、こんなもの!」

 僕は出所後、自分のペニスを自分で切り落とした。

 



 

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