キスで性別が変わる呪いを受けた王女に転生した元社畜おじさん、転生先が寝取り托卵上等のクズばかりの国だったので改革したいと頑張るます
連載書いてる途中にふっとおもいついたので短編として投稿しました。
皆さんの暇つぶしにクスっと笑って貰えたらと思います。
俺の前世の名前は何だったか思い出せない。ただ、毎日に疲れた社畜のおっさんだったのは覚えている。道路に飛び出した子供を助けようとして命を落とした結果、女神様とやらに連れられて異世界へ転生した。…まぁそれはいい。
問題は転生した先は一国の姫であったことと、その身体にかけられた呪いである。
「リフレイム王子姫はキスをされると性別が変わる。18歳の誕生日までに真実の愛をみつけることができれば己の愛するものと寄り添える者として生きながらえることが出来る。だが、さもなくば18歳の誕生日で命を落とすだろう」
なんだよその呪い、ややこしすぎるだろう。そう思って乳母になぜ自分がそんな呪いをかけたのかと問えば、俺の母親は元々幼馴染の婚約者がいたがその男を裏切って当時王子だった俺の父親と恋仲になってしまい、長年にわたってのネトラレを知った恋人の男は悲観し自刃。不幸な事にその男は妖精の女王の寵愛を受ける身であり、想い人の男の死を知った妖精の女王は涙し、そして俺の両親に怒りこんな呪いをかけたらしい。
―――完全に両親がクズじゃん!
乳母は国王様も王妃さまもお可哀想に…とさめざめ泣いていたが、すまん。同情出来んわ。
俺はついつい自分の事を「俺」と言ってしまうが、それも呪いのせいと好意的に解釈されて不問にされたのはありがたいやらなにやら。
父も母も俺を愛してくれていて父は執政者としては有能、母も王の配偶者としては完璧なんて言われてるけど寝取り男と浮気女じゃん…倫理的にいいのかよと思ってしまう。
俺が産まれた後もラブラブなのはいいことだがお前ら婚約者の男に悪いと思わないのかよと、内心冷ややかな目で見てしまう。…というか一連の話を聞くと自刃した婚約者が可哀想すぎてそっちに同情したくなる。
そもそもこの名前も、元婚約者の名前が炎に纏わる名前だったからそれを悼んでリフレイムだそうだ。お前浮気して捨てたあげくに自刃した幼馴染の婚約者にちなんだ名前つけるのってどうなの?!と思わんでもないが美談として語られてるらしい。…いやいや、ないわー。
誰かこいつらにざまぁしたの?しないの?そっかー、ノーざまぁだったかぁ…。
そもそもそんなクズ両親が許されるのってどうなの?いいの?と疑問になるが
――――力があるならオッケーです!!
この国にはそんな風潮があった。ちなみに今更だけど国の名前はネトールランド。…終わってるよこの国。いやもう終わりだよ。むしろ終われ。寝取りは国技だとか、婚約者や配偶者がいてももっとランク高い男となら寝てもオッケーなんなら托卵するべきみたいな謎の風潮がある。それを知ったときは、…いやいやダメだろそんなの。ねーよ!倫理感が裸足で逃げ出してるよ!とため息をついたものだ。こんな国滅びた方が世のためでは?と真剣に悩みながらもとりあえず生きてるうちは真面目に頑張ってみようと勉強も剣も魔法も真面目にやった。この命そのものに罪はないからね。
呪いのせいであまり他人の目には触れなかったが、真面目に教師たちに師事していたので皆のおぼえはよかった。そういう所は前世の社畜経験が生きてるのかも。知らんけど。
そして成長と共に、そんな腐り切った文化に頭が痛くなる思いを感じながら俺は15歳の誕生日を迎えることになった。
「“灰色”の王子姫、リフレイム様。ご入学おめでとうございます」
そう言って跪くのは、禿頭に好々爺といった姿のお爺さん。俺がこれから3年間通う王立魔導学園の校長その人である。
ここは白いレンガ造りの巨大な城。一つの歳を丸ごと内包したこの場所こそが、他国にもない大陸随一の学園都市でもある。魔導学園と銘打ってはいるが、剣も魔法も、商業も、様々な事を学ぶ学科がある。そのため他国からの留学生も多く、また有力貴族や王族が将来の配偶者を見つけることを狙っている場所でもあるのだ。
この学園で3年間を過ごすのは王族の義務との事で、例にもれず俺もそれにならうことになった。今まで王城にこもりきりで、呪いの事もあって社交界にもあまりでなかったから重臣とその家族や上級貴族ぐらいしか交流がないので、こんなに沢山人がいる所は実はちょっとわくわくしてたりもする。
灰色の王子姫―――父の黒髪と母の銀髪を足して割った俺は、灰色の王子姫と呼ばれている。あぁその実際は異性にキスをされると性別が変わる、黒でも白でもない性別だからってのもあるだろうけどまぁいい。うちの両親はそんな揶揄に気づいてないか気にしてないか。国の運営と政治的な能力ははた目から見ても有能だが、そういったところが鈍感なのが、あの国王だから。
まぁ俺自身はそんな事は気にしないし、18歳で死ぬ事になってもそれまでは精一杯生きてみようと思う。真実の愛とやらをみつけようにもまずこの国根本的に終わってるしな。いや、まともな感性持った人ももちろんいるけど力がある階級の奴は総じてクズと下種がいっぱいだからね。悲しい。
「うおおおおおおおおおー!」「わああああああ!」
歓声が聞こえる。なんだ?
「おお、リフレイム様にも聞こえましたか。これは学生同士の格付勝負ですな。誰かが勝負を始めるようです。ご覧になられますかな?」
校長の言葉に好奇心を刺激された俺は頷き、校長についていく。
校舎をしばらく歩いた先、円形闘技場のようにな場所があった。観客は闘技場をみろせるようになっており、眼下の闘技場では2人の生徒が戦っていた。
「クソッ!クソッ!お前なんかに妹を渡せるか!!」
そう言って、赤髪の少年が両手から火球を飛ばす魔法を飛ばしている。片手から魔法を出すだけでも結構な魔力を使うのに、あの年齢で両手から連射できるなんて相当な腕前だろうに。
「フン、そんな豆鉄砲ごときで、このステゴ・ディクタスがやられるかよぉ!」
相対しているのは、長身で遠目に見ても鍛えられた身体の美少年だ。長い金髪を後頭部で結び、遠目に見ても凛々しく整った顔立ちをしている。
ステゴと名乗ったその少年は長柄の槍斧を軽々と振るい、回転させたハルバートで火球を全てはじきとばしながら突進し、赤髪の少年が斬られる。
「ぐあっ…!」
初手の斬撃をなんとか紙一重で交わした少年だが、その斬撃の軌跡に、遅れて雷が発生していた。上手い、2段構えの攻撃だ。
「爆ぜろ雷撃!」
至近距離で放たれた雷を回避することはできず、雷魔法をモロに喰らって赤髪の少年は崩れ落ちた。
「兄さん!!」
勝負を見ていたものの中の一人、少年と同じ赤髪を肩まで伸ばした少女が、涙をこぼしながら崩れおちた少年に駆け寄っている。察するに少年の妹だろうか。
「フン、口ほどにもないなぁオペラ。愉しむ間もなかったじゃねえか」
ステゴは、倒れている少年をオペラと呼びながらその頭を踏みつけ、―――いや、グリグリと踏みにじっている。オペラは地面に顔面を押し付けられ、苦しそうにしていた。
「や、やめてくださいステゴ様!」
そう言ってステゴの足を止めようとするのは、オペラに縋り付いていた妹だ。
「その手をどけろスピニー。この勝負で俺はコイツから奪った“元本”の勝負点はこれまでと合わせて合計100点。これでお前は俺の物になるんだからな」
そういって酷薄な笑みを浮かべるステゴ。…ただならない雰囲気だぞ。
「この学園都市では生活するすべての生徒が勝負をすることがあります。入学したときに持つのは100点。それを奪い合い、一人から100点奪い切った者はその100点と引き換えに相手の持つものを1つ、我がものとすることが出来るのです。あのオペラとスピニーは双子の兄妹。オペラはステゴに目を着けられ、何度も戦って全ての点を奪われた。ゆえにスピニーを奪われるのです。いや、スピニーを奪うためにオペラは狙われたのか。力なきものは奪われる、この国の習わしですな」
…なんだよそれ。人をそんな物みたいに?!冗談じゃないぞ、腐ってる!…くさってたわこの国。むしろ問答無用で略奪しないだけ良心的かもしれない。あ、学生だから問答無用でそう言うことしないようにこういうルール付けしてるのかな?…うわぁ…深く考えたくない。
「兄さん…!いやっ、離してください」
「フンッ、ルールはルール。これでお前は俺の妾いきだって事だよ」
そういってスピニーちゃんの髪を掴んで立たせようとするステゴ。なんだあいつ女の子を何だと思ってるんだ。
気に入らないと思ったときは声をあげてしまっていた。
「おいそこの馬鹿ァ!やめろ!」
俺の声に闘技上にいた生徒たちが俺の方を向く。あ、しまったついうっかり。
「なんだぁ?誰が馬鹿だ貴様ァ!降りて来い!」
スピニーちゃんを離し、俺を指さし怒鳴るステゴ。…ええい、ままよ。
俺は階段を駆け下りていって、闘技場へと飛び降りた。
「とうっ!着地」
ステゴはハルバートを肩に担ぎながら俺を睥睨している。まぁステゴはどうでもいいので、オペラとスピニーちゃんにかけよった。
「君、大丈夫だった?女の髪を掴むなんてひどい奴だな。お兄さんも…息はしているみたいだね」
「あ、あの、貴女は…?」
突然の闖入者にスピニーちゃんは目をぱちぱちさせてる。可愛いねー。
「今ちょっと正義の味方ぶりたい転入生」
そう言ってウインクすると、顔を赤くするスピニーちゃん。
「何だ女ァ、どこの家のモンだ?俺はディクタス王国の王族だぞ。それを馬鹿といったんだ、相応の覚悟はできてるんだろうな」
「しつこいぞ馬鹿。女の子に優しくできない奴はひとくくりで馬鹿でいいだろこのイキリノッポ」
そんな俺の言葉に顔を真っ赤にしている馬鹿。
「イ…イキリだとぉ?!て…てめえ!女だろうと俺は平等に顔面を殴るぞ!」
「出来るものならやってみなよ」
そう言ってクイクイとジェスチャーする。
「なー校長。さっきの勝負って俺がやってもいいんだよな」
そういって禿頭のお爺ちゃん…校長に声をかけると「えェッー?!」と驚いている。
「い、いやいやいやそんな駄目ですお父上に聞かねば」
「父さんは俺の言う事なら何でもいいっていうからいいだろそれじゃあ」
…という事にしておく。
「フン、どこの甘ったれた身の程知らずか知らんが、泣いて謝るまで痛い目見せてやるぜ」
そういってやる気満々のステゴ。
「オッケー、それじゃやろうか。俺は100点全部ベットしてこのこの身柄が欲しいんだけどどうかな」
「ハァ?!正気かよ…その言葉、取り消せねえからな。おい、勝負をするぞ!サイレンス、お前が戦いの証人をしろ!」
そう言ってステゴが観客席の一点―――青髪の編み込みにに黒ぶち眼鏡をかけたイケメン―――サイレンスと呼んだ少年にはなしかけている。
「ハァ…2回も立て続けとは君もよくやるよ。面倒くさいけど…しょうがないか。いいよ、僕が勝負の証人だ」
溜息を零しながら了承している青髪眼鏡。
「もう取り消せねえからな。俺が勝ったららお前も俺のものだ、二度と舐めた口きけねえようにボコボコにしてしつけてやるからな」
「そういうのは勝ってから言わないと小物に見えるよ。捕らぬ狸の皮算用って知ってるか?」
「こ…このアマァ…!!」
ビキビキッと血管を浮き上がらせてブチ切れているステゴ。
事の成り行きを見守っていたスピニーちゃんに、お兄ちゃんつれて退いててとジェスチャーする。ずるずるとオペラを引きずっていくスピニーちゃん。
「フン、お優しい事で。…あの2人も観客席に戻っていったな。それじゃあはじめるか」
そう言ってハルバートを構えるステゴ。
俺も屈伸したりストレッチして準備する。
「お前獲物はなんだ?好きなものを使わせてやる。貸し出しのももあるぞ」
「お前位なら素手で充分」
そういうと顔面真っ赤になるステゴ。やだ…煽り耐性なさすぎぃ?!
「実力の差をわからせてやる。先に打たせてやるからかかってきな!」
そういって片手でクイクイとジェスチャーするステゴ。
「了解。それじゃ―――よっと」
次の瞬間には、俺はステゴの懐に入り込んでいた。
「な――――?!」
恐らくなに、と言おうとしたんだろうが言い終わるよりも俺の方が早い。
魔力を込めたマジカル震脚で一気に懐に飛び込み、ステゴの腹をワンパンする。
「秘拳・マジカル発勁!」
メキメキという音を立ててステゴの腹に拳がめり込み、そのまま闘技場の壁までぶっ飛んでいって壁にめり込むステゴ。死なない程度に手加減したから生きてると思う。
闘技場を見ていたギャラリーも、校長も、見ればスピニーちゃんも呆然としていた。
転生前の俺が嗜んでいた中国拳法に、この世界で習った強化魔法を合わせた俺だけの特技、名付けてマジカル拳法である。本当は武器がない洋の技で、全力だときちんと武器を使うのだが、こいつ相手ならこれで十分だった。
「…えっと…俺の勝ちー?イエーイ!」
そう言ってピースサインをすると、遅れて「ワアアアアアアッ」と歓声が上がった。
「す、凄い!どこのどなたか存じ上げませんが、ありがとうございます!」
そう言って駆け寄り、抱き着いてくるスピニーちゃん。
「何、気にしなくていいよ」
スピニーちゃんを抱き留めていると、感極まったのかスピニーちゃんがキスをしてきた。
「んぷっ…!?ちょ、スピニーちゃん?」
「お礼です。…はじめてのキスですけど、女の子同士だし平気ですよ…ね…あれ?」
まずい、と思ったが手遅れだ。スピニーちゃんにキスをされたことで女だった俺の身体が男に変わる。さっきまではすらっとした女子の体躯にあわせたスカート姿だったが、いまはしっかりひきしまった男のボディになってしまったので変態もっこりスカート野郎に泣てしまっている。
「え…あれ…?!あれれ?」驚いているスピニーちゃんをおろす。
「あー、その、ごめん。驚かせちゃったね。俺、こういう体質でさ」
声まで変わった俺にスピニーちゃんが絶句しているが、事の成り行きを見守っていた眼鏡君のサイレンスが声を上げた。
「灰色の御髪に接吻で男女が切り替わる呪い…まさか貴方は…灰色の王子姫、リフレイム皇女殿下か―――!!」
メガネをクイッとしながら驚いているイケメン。そのサイレンスの声にまたワァッと声を上げる闘技場のギャラリー達。
「初めてお姿をみましたわ!リフレイム様凄い!」「かっこいー」「可愛い!」「あのクソ生意気なステゴをワンパンとかスカッとしたぜー!」「とりあえず絵面ヤバいから着替えてきてくださーい」「わはは」
確かにヤバい格好だなと思ったので、はずかしくなって股間を抑えつつ走り去る。
「こ、校長!俺の部屋!着替えに行くから!」
「いやぁ…驚きました。リフレイム様があれほどの実力をお持ちとは―――」
校長に駆け寄ったが悠長な事を言っているので、校長を急かして俺の部屋まで案内してもらった。
「リフレイム、様…♡」
スピニーちゃんに名前を呼ばれた気がするが、―――今はそんな事を言っている場合ではないので俺は急いで退散することにした。
去り際に壁にめりこみんぐしているステゴをみたが、気絶しながらピクピク痙攣していた。生きてるから大丈夫そうだ。頑丈だなアイツ。
着替えなおして、部屋を出ると、スピニーちゃんとオペラが部屋の外で待っていた。オペラも回復魔法をかけてもらったようで割と元気そうで良かった。
「リフレイム様、この度は助けていただきありがとうございました」
「妹の身を助けていただき、感謝の言葉もありません。ありがとうございます」
2人でそう言って頭を下げる。
「ああ、俺が好きでやったことだから気にしないでくれ。兄妹仲良くな」
そう言うと再び頭を下げるオペラと、顔を赤くするスピニー。
「…そのことでお話があります。どうか妹を侍女として御傍においてはいただけないでしょうか」
そういって深々と頭をさげるオペラ。
「えぇ、何でまた。折角あのイキリノッポから解放されたのに」
「…僕はもう勝負の点数のない“点無し(ルーザー)”です。妹を護る事はかないません。そして今リフレイム様は、ご自身の100点に加えてステゴから得た100点があります。僕の元にいるよりも余程安全です。王族のリフレイム様にこのような事を申し出るなどと重々承知でございます。それでもどうか…、妹は貴族の作法は一通り身に着けて御座います。聞けばリフレイム様は身の回りのお世話をする侍女をお連れにならなかったとの事。ならば是非、どうか、我が妹スピニーを御傍に…何卒!」
そういって土下座しようとするオペラを止める。
「うーん…その方が安全っていう事なら俺は構わないけどさ、俺王子姫おとかいわれてて今はこの通り男なんだけど。そんなのの傍に妹を憶のって不安じゃないの?」
「どちらでも全然もんだいありませんわ♡」
食い気味に言うのはスピニー。…びっくりしたなぁ。
「…本人がいいっていうなら俺としても助かるけど。あ、その代わりにオペラには俺からもお願いしていいかな」
「何でもいたします!」
「この学園のルールとか、あのさっきの勝負の仕組みとかもまた詳しく教えてよ。ここで生活していく分にはあの点数の撮り合いは避けて通れなさそうだしな」
「承知しました。誠心誠意ご案内させていただきます」
「いや、あんまり畏まってもらわなくてもいいよ。」
「そういう訳には…」
そんな様子を見守っていた校長が、オペラもスピニーも今は役職からは退いていますが王家に代々仕えたハウス家の子供たちです。きっとリフレイム様のお役に立つでしょうと頷いていた。
では今日はゆっくりお休みくださいと言って去って行った校長の背中を見ていると、オペラが話しかけてきた。
「王家の方は代々この学校に通う習わしと伺っております。リフレイム様も通われるのですね」
「ああ。…それに俺はここでやりたいことがあるしな」
そんな俺の様子に、そろって小首をかしげるオペラとスピニー。こういうところ兄妹って感じで面白いな。
「この国のNTR上等ビッチ最高みたいな価値観を変えてやるのさ」
そんな俺の言葉に、驚くオペラとスピニー。
「倫理感がイカれすぎてる。もっとこう、貞操観念とか人としてあるべき姿とかもっとあるだろうと思うんだよなぁ。だから…この国のクズでゲスい風潮を俺の代で変えてやる!…あと3年しか生きられないかもしれないどな」
そんな俺の言葉を静かに聞いていたオペラは、バッと跪いた。
「…なんと…ご立派なお志と感じ入りました。どうか僕…いえ、私にもそのお手伝いをさせてください。どうか私の忠義をお受け取り下さい」
そう言って頭を下げるオペラ。
「お、おお、一緒に協力してくれる仲間が増えるのはありがたいが…」
「勿論私もお手伝いさせていただきます!私はリフレイム様の侍女ですので♪」
「ああ、スピニーもありがとう」
かくして俺はこれから3年間をこの学園で過ごしながら、根本的に腐ってる(と思う)この国の風潮を変えるべく頑張るぞ、と決意を新たにするのであった。
「あ、オペラ。俺女に変わるときは誰か男とチューしないといけないから、その時はよろしくな」
「…えっ?!えっ?!」
途端にキョドるオペラ。ごめんなー、でも男に切り替わったのはスピニーにキスされたからなのでそこはひとつお兄ちゃんがフォローしてくれ。というか同性のキスで切り替わるってなかなか業が深いよな、今更だけど。
*
そして俺は転入のあいさつで、「俺が王位を継いだら寝取りとか浮気とかは当然厳罰に処すから。愛した人と添い遂げる気持ちで伴侶を愛するようにと。それが嫌なら誰でも挑戦を受けるぞ」とぶちまけたので色々な生徒が挑んでくる生活が待っていた。
“元本”と呼ばれる最初に与えられた分の点数を誰かに100点奪われたら俺はそいつのものになってしまうのでハラハラしていたが、挑んでくる奴を返り討ちにすることで奪った点数は増えていく。ベットするときは奪った点数からベットできるので、戦うほどに自己防衛にもつながるわけだ。成程うまくできているなぁと変なところで感心してしまった。闘わなければ生き残れない、という事か。
当然、中には一筋縄ではいかない奴らも挑んでくる。
「俺ともう一度勝負しろ!リフレイム・ネトールランドォ!!」
そう言って付きまとってくるステゴ。何度ぶちのめしてやってもゾンビみたいに甦ってくるよしぶといね。
「貴方のその特異な体質には大いに興味をそそられます。私のものになってもらいましょう」
そう言いながら勝負を挑んできたのはサイレンス。こいつは大商家サンディの跡取りらしい。眼鏡をクイクイするインテリイケメン。結構ねちっこい。
「うふふ、男の子にも女の子にも慣れるなんて面白いじゃない。私の伴侶にいいじゃない」
そう言って迫るのはホワイト公国の姫であり魔性の美少女ラモーヌ。
俺の身柄を確保したい意図も垣間見えるが、多分何とかなるだろ。
「あー…真実の愛ってどこにあるんだろうなぁ。俺のタイムリミットまでに見つかるといいんだけど」
「―――大丈夫ですよ、リフレイム様♡」
「―――我が忠義は生涯貴女だけに」
「ん?何か言ったか?」
「「言え何も」」
時々この兄妹から熱い視線を感じるけどよくわからないな。
そう思いながらの朝だ。ああ、今日も忙しい毎日が始まる。
パンッとスカートの裾を払って伸びをする。
「んーーっ見てろよ!俺がこの国の寝取り浮気をぶっ潰してやるぜー!」
そんな、元気いっぱいの俺の声が今日も響くのであった、まる。
という感じの単発ネタでした。
これからリフレイムくんちゃんは仲間を増やしながら学園都市で夢想しながら色々なきな臭い陰謀に立ち向かったりしながら真実の愛を探したり、頑張る姿を見せて寝取り・浮気はダメ絶対という風潮を作っていくのでしょう。あと両親の国王と王妃はやってることがぐう畜なのでちょっとざまぁされた方がいいと思います。そこら辺のざまぁのネタも脳内にはありますが短編ではそこまでいけないので、とりあえず俺たちの戦いはこれからだエンドになりました。
そんな、普段書かないタイプの短編を気分転換の筆休めに。
こういうのもかけたらいいなぁ書きたいなぁ、そんな感じです。ではでは。