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魔女たち

「困りましたねえ」


何度目になるか分からない店からの追い出しをくらいアデスはぼやいた。


「全滅です。武器屋防具屋に道具屋に食品屋に本屋まで全部『南海の魔女』の傘下だったとは」


アデスはバツマークだらけの地図を取り出すとさらにマークを増やしてから折り畳んだ。


「果物ナイフはおろかリンゴすら買えなかったな……」


十二羅針じゅうにらしんを四天の魔女は嫌っているという噂は知ってましたが

ここまで締め出されてしまうとどうしようも無いですね。

傘下じゃない店が見つかると良いんですが……」


黒羽は一緒にキョロキョロと店を探しながらアデスに質問した。


「四天の魔女って凄い規模が大きいんだな。だからキャラ様は会いたがってたのか」


「ええ、十二羅針に対抗出来るだろう勢力は魔女だけです。

ここで言う魔女というのは近年魔術革新によって勢力を伸ばした魔法学校の女生徒たちの略称ですね。

魔法術学専門女学院で魔女学の魔女たちです」


「学生なんだ……!?」


黒羽は驚いた。が、しかしアデスは首を横に振った。


「正確に言えばもう卒業生ですけどね。魔女学は下は6歳から入学で16で卒業です。

四天の魔女たちはその学校の後押しと優れた魔法学の研究を極めています

その研究で確か……13歳くらいで南海の魔女は入った商会を世界一の商会にしたとか」


「13歳……!?すごい化け物みたいな経歴なんだな……どんだけすごい婆さんなんだろ」


大きな椅子に座った老婆を黒羽は頭に描く。


「おや会長で魔女と聞いてお婆さんを思い浮かべたんですか?南海の魔女はたしか現在17歳のはずです」


「俺と同い年……!?」


黒羽一葉くろばかずは高校三年生 17歳


「……私も17歳ですが」


「俺と同い年……!?」


アデス 元・十二羅針じゅうにらしん 17歳


などと言っているうちに新しい店を見つけた。街の片隅にこじんまりとある武器屋だった。


「地図に載ってる武器屋はもう全滅しましたが街人にたずねて聞いた店のここが最後の一個ですね」


「売ってくれるかな……」


黒羽とアデスは店の中に入った。


「意外と中は広いんですね」


「でも人が見当たらないな……あのー!誰か居ませんかー!」


返答は無く沈黙した……がしばらくすると返事が聞こえた。


「ちょっと待ってねー」


店員の声が聞こえたのでしばらく二人は並べてある武器を眺めた。何も喋らない。黒羽は飾ってある黒い剣がちょっと気になった。


やがて店員らしき人が出てきた。フードを深々と被っていて顔は全く見えない。

フードの店員が軽い会釈して話しかけてきた。


「おまたせしました……ああ…君は十二羅針のアデスだったかな?」


即バレた。


「はい終了!帰りましょう我らが勇者」


「次は別の街にでも行くのか?」


「それも選択肢ですね」


黒羽とアデスは後ろを振り向いて帰る。


「ちょっとちょっと…ボクは武器売らないとは言ってないよ」


その言葉に二人は足を止めて振り返った。


「それにこのあたりに南海なんかい魔女まじょ傘下じゃない武器屋は存在しないよ?

ボクの店で買っていくのが一番理想的じゃないかなぁ?」


アデスは胸を撫で下ろした。なんだかんだ売ってくれない状況は苦しかったらしい。

二人の顔に笑顔が戻る。


「どうやら売ってくれるようですね」


「良かったなアデス」


「我らが勇者の武器も買うんですよ?」


どこかアデスの言動も楽しげだ。


「うんうんボクの店で買ってくれるみたいだね」


フードの店員が指をパチンと鳴らすと商品の一部分が変わった。具体的に言うと値札部分の数字が増えた。


「悪いけど今からちょうど3割値上げなんだ。よろしくね」


足元見てボッタクリする店だった。

アデスと黒羽の顔から笑顔は消えた。

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