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お題シリーズ3

なぜか好きだった人

作者: リィズ・ブランディシュカ



 なぜか好きだった人がいる。


 がさつで、うるさくて、デリカシーがない。


 人間的な魅力に乏しいのに、どうしてか私はその男性の事が好きだった。


 仲が良かったわけじゃない、むしろ悪かった。


 顔を見るたびに喧嘩していた。


 けれど、それなのになんでか好きだった。


 何でだろう。


 どうして好きになったんだっけ。


 私はそいつのお墓の前で考えていた。


 墓がある。


 と言う事は、そう。


 そいつは死んだ。


 ちょっとした事で、命を落とした。


 見知らぬ他人を守ろうとして、だ。


 馬鹿げている。


 その理由を聞いた時、「やっぱりな」、とあと「あいつならいつかやると思っていた」と考えた。


 あいつは、自分の命を大切にしない。


 人の命ばかりに気を使っていて、これっぽっちも自分の事を考えやしなかった。


 それで、いつも「いい加減にしろ」とか「周りの人間が悲しむ」とかお説教して、喧嘩になってた。


 あいつは自分の命をとうとう大切にできなかったのか。


 最後まで。


 なぜか、目が潤んできた。


 あいつは子供の頃から、色々な人に助けられてきたらしい。


 自分の無力をこれでもないくらい痛感していたらしい。


 だから、少しでも周りに恩を返したくてやりすぎてしまう。


 周りはきっと恩を返してほしくて、親切にしたわけじゃない。


 幸せに生きて欲しくて、手助けしていたはずなのに。


 ああ、ほんとなんで好きになったんだろうな。


 こんな勝手に死んでいくようなヤツ。


 死んだら普通以上に悲しいじゃないか。



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