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共同作業の記憶ですか!?

 春香と美優ちゃんは繋がってるのか?


 図書室で春香の姿を見てからそればかり考えている。

 入学当初から2人は美少女と噂されていた。

 ただ一緒にいるところを一度も見たことないんだよな。


「じゃあ1組はこっちの列で2組はあっちの列をお願いします」


 おっと、いまは図書委員の仕事をするか。

 美香のやついい加減な性格だと思ってたけど仕事はしっかりするタイプなのか?意外だな。


 この返却済の本を棚に戻す仕事だっけ?

 なんでも全ての本は置く場所が決まっているらしい。

 完全記憶能力がある僕には楽勝だ。


「えー?そんなめんどくせえことできっかよ」


 春香の指示に対し稲田くんがぼやいて何処かへ行ってしまった。

 やはり本来は図書委員じゃないのかな。

 まあ、うちの大原さんも幽霊委員だし僕なんか委員ですらないんだけどね。

 ここで大事なのは仕事を嫌がるなら稲田くんはなぜわざわざ図書室に来たのか。

 なにか企んでいる!?


「しょうがない稲田くんと大原さんは戦力外だからうちらだけでやろっか?」


 え?そんなの嫌に決まってるじゃん。

 僕を陥れた元幼馴染だぞ?


「僕は2組だし大原さんの分まであっちで頑張るよ」

「えー!邪魔者もいないし2人でやろ♡」」


 なんだその媚び売るような仕草は?

 か、かわいいじゃんか……じゃない!


 幼馴染を一方的に解消されたのに仲良くできるわけねーだろ。

 何考えてんだこの女は?


「別々で大丈夫だよ。それにさ、僕なんかと一緒に仕事してたら彼氏に誤解されるよ?」


 早く稲田を引き戻してよろしくやれっての。

 そりゃあ中学の時は好きだったけど、あんなことしたおまえにもう興味ないんだよ。


「誤解されてもいーもん、彼氏なんていないし。昔から私と喜路来は幼馴染で仲良しなんだよ?それも記憶喪失で忘れちゃった?」


 ……ふざけんな。


 「幼馴染はお前が解消しただろ!」って叫んでやりたかった。

 まさかお前がなにもなかったフリをしてくるとはな。狙いはなんだ?

 昨日の金の話もしてこないし。


「本当にそうなの?昨日はお金の取り立て屋かと思ったよ」

「やだなぁー。実はあれ試したんだ」


 え?突然なに言ってんだコイツ。

 まさか記憶喪失を疑ってる?もしかして気づいてるのか?


「稲田くんが私を好きなのか」


 違ったー!!


「やっぱり最初からお金と体が目的だったみたい。金が手に入らねーじゃねーかって激高してたし」

「そうなの?」


 俺にはそんな話どうでもいいけどな。


「うん。それに稲田くんなんてどうでもいいの。わたしさ、幼馴染だけど……喜路来のことが……」


 や、やめろ。

 またそうやって誘惑してきて人の心を弄ぶ気だろ。

 僕が笑いのネタになるんじゃない。

 春香が僕を笑い者にして優越感に浸りたいだけなんだ。


「ヒロ坊、見つけたぞ!メモリー先生の初版!」

「え、大原……さん?」


 ひょこ!っと本棚の陰から顔をだし近づいてくる大原さん。

 その手には父さんの小説が大事そうに―――


「!?」


 なんかヤバい!!


「大原さんごめん!!」


 ドスーーン!!!!!


「大原さん大丈夫!?ケガはない!?」

「あ、ああ……」


 後ろを振り返るとさっきまで僕らがいた場所には大きな本棚が倒れこみ、無数の本が散らばっていた。

 あんなのの下敷きになっていたら今頃僕らは……考えただけでもゾッとする。


 ガラガラ!


「どうしたの?」

「大丈夫ですか!」


 大きな音と振動に驚き駆けつけてきたのだろう。数人の生徒と教師が図書室へ入ってきた。

 しかし、その中にも図書室内にも春香と稲田の姿はなかった。



 

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