春香(元幼馴染)の記憶ですか!?①
【高校入学当時】
わたしの名前は佐野春香。
同じ高校へ入学した喜路来は仲のいい幼馴染よ。
喜路来は中学の時からわたしにぞっこんだったみたい。
でもごめん!喜路来は親が有名なだけでなんか頼りないから恋愛対象にはならないかな。
それに比べて私は顔に自信があります!!
中学の頃から美少女って言われて人気があったんだよねー。
最近ではでるとこもでてきたし私って最強かも。
そんなわけで喜路来との付き合いは入学して最初のうちだけにするつもりよ。
だってカッコいい男が惚れてきたら幼馴染は邪魔なだけだしね。
* * *
「俺と付き合ってください」
「ごめんなさい。いまは恋愛に興味がないの」
恋愛じゃなくて冴えないあなたに興味がないのだけど。
「あの人がずっと側にいるからですか?」
「あの人って?」
「ほら、親がこの学校の卒業生だかで有名作家の息子の」
ああ、喜路来のことね。
「喜路来はただの幼馴染よ」
「そうなんですね。付き合ってるって噂がちらほらあったので」
「!?」
なによそれ!いつ?どこで?誰が流したのよ!
……おかしいと思ったのよ。
入学してからたくさん告白されたけど、いい男が全然いなかったから。
彼氏持ちに告白して振られるリスクを陽キャがするわけない。いい笑い者になるからね。
「全部……喜路来のせいだったのね」
毎日一緒に通学したり、昼食も一緒に食べたり、雨で傘を忘れた時は2人で相合傘したり。
よくよく考えてみたら恋人同士に見えなくもないわ。
さっさと縁を切るつもりがダラダラと先延ばしにしてたらこのざまよ。
喜路来の価値なんて所詮はご飯を奢ってもらったり、クリスマスや誕生日にアクセサリーをプレゼントしてもらうだけだもんね。
「そろそろ縁を切っても問題ないっしょ♪」
私は喜路来との幼馴染解消を決めた。
* * *
「え?幼馴染やめるってどういうことだよ?」
「ほら、わたし自分で言うのもなんだけどモテるでしょ?あなたはなんて言うか……お父様と違って地味だし一緒にいるだけで笑いのネタにされるのよ」
「自分がなに言ってるかわかってる?後で戻りたくなっても2度と元には戻れなくなるんだよ?」
「はぁー?戻りたくなんかなんないし。なにその偉そうな言い方?超ムカつく!もう金輪際口もきかないから!」
ふふふ、喜路来ったら必死になっちゃって。私への愛情が駄々洩れじゃない。
でもこの言い方かなりムカつくわね。
幼馴染なんて所詮は子供の思い出に過ぎないわ。
戻りたくなるなんて絶対ないんだから!
喜路来の分際で上から目線でわたしのマウントとるなんて十年早いのよ。
そうだ!調子に乗ってる悪い子にはちょっとお仕置きが必要ね。
私との噂も否定できて、喜路来も懲らしめるようなお仕置きが。
これで私に素敵な彼氏ができるの間違いなし!
たとえすぐに彼氏ができなくてもお荷物はいなくなるからカーストトップの座はもらったわ。
噂じゃ3組の樋渡美優って子もかなりの美少女だって話だし。
喜路来との幼馴染解消をした私は急いで3組に偵察にきた。
「な、なにあの子!?」
教室を覗いてひと目でわかる圧倒的な存在感。
あの子の周りだけ光り輝いてない!?
そこにいたのはたくさんの友達に囲まれ天使のような笑顔を浮かべる【樋渡美優】だった。
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