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犯罪者の記憶ですか!?

「稲田の正体は昔父さんたちに酷いことをした大沢財閥の元取締役の息子?」

「ああそうだ」


 父さんの説明はこうだ。


 稲田は大沢財閥で働いていた重役の息子らしい。

 首謀者が大沢一族だとしてもそれを黙認、協力した役員たちもまた刑務所へ送られていた。

 父親が出所したのちに稲田が生まれるが、元犯罪者が以前のような高給取りになれるはずもなく家庭は崩壊。

 母子家庭で育った稲田は家庭を崩壊させた原因が僕の父さんにあると逆恨みしている。

 そして稲田はある男と接触している所を目撃されてるとのこと。


「ある男って誰なのさ?その時に捕まえちゃえば良かったのに」

「法律を破っていない人を理由もなく捕まえられないよ」


 ……たしかに。

 僕は本当の幼馴染が心配で頭が混乱してるようだ。

 なぜ父さんたちはこんなにも冷静でいられるんだろうか?


「私も若い頃は散々感情にふりまわされた。一時期なんて感情まで失っていたんだ。しかし感情だけで人を憎んではいけない。やられたからやり返す。それでは自分はもちろん相手も救うことはできない。もちろん犯罪を放置する気は毛頭ないが。これは若い頃に私が大沢の関係者に恨みを買うようなことをしてしまった結果なんだ」

「父さんは悪くない!そいつらの自業自得じゃんだろ!」

「だけど稲田くんに罪はなかった。少なくても喜路来たちに酷いことをするまではね。私は大沢を捕まえればすべて終わりだと思っていた。周りの人のことなんかこれっぽちも考えてなかったんだよ」

「だけど……」


 父さんの言ってることを頭では理解できる。でも、そんなんじゃいっこうに悪いやつは減るわけがない。

 今さらなんでこんな話をするんだ?早く百花をを助けに行きたいのに。


「父さんがなぜお前に記憶喪失のフリをしろって言ったかを落ち着いたらでいいからゆっくりと考えてみてくれ」

「はい」

「じゃああとは頼んだよ」

「へ?助けてくれるんじゃないの?」

「もちろん大人の処理はこちらでしておく。子供の問題は自分達で解決するんだ」


 こっちは記憶までいじられてるのにそれだけ?警察に届けなくていいの?

 今さらだけどうちの親はなにを考えてるかわからないな。そのおかげでだいぶ落ち着いてきたけど。

 これだけの事件だしとりあえず作戦をたてて行動することにしよう。


 * * *


「はぁ……すげー話だなおい。頭をいじられるってキロ坊サイボーグかよ」

「頭じゃなくて中身をいじられてるの!」

「でもすごいですね。氷河くんもお父さんも」


 僕が相談したのは瑠奈と蛯原さんのふたり。

 単純にあまり人数を増やして気付かれたくなかったのと、この二人なら周りから見て不自然じゃないと思ったから。

 さすがに完全記憶能力の話はしていないけど、記憶喪失のフリについては白状した。

 瑠奈は最初から知ってるけど。

 だけど二人はそれについて一切触れてこない。


「いきなり稲田を問い詰めても解決しないと思うんだけど」

「そうだね。それに元幼馴染と元カノが稲田くんの仲間である可能性も高いから油断できないしね」

「やけに元を強調するねー。恋かぁ……若いってすげーな」

「瑠奈茶化さないで。それと蛯原さん、僕のことは喜路来でいいよ」

「じゃ、じゃあ喜路来くんって呼ばせてもらうね。えへへ。私のことは優菜ゆうなって呼んで」


 ……可愛いなおい。


 これだよこれ。これが僕の望んでいた楽しい学園生活。青春。

 頭をいじられてなければだけど。


「かぁー!二人ともみてらんねーな。酒がまずくなる」

「いや、それただのカシスソーダだから。オッサン化しないでくれる?瑠奈ちゃん」

「ばっ、ばっ、ばっか、なに人の名前をちゃん付けで呼んでんだよ!ウチは不良少女なんだからな」


 顔を真っ赤にしてジタバタしてる瑠奈。

 もう優菜も瑠奈を不良少女だと全然思ってないから笑ってるし。

 そういえば瑠奈がなんで『不良少女のフリ』をしてるのか?いろいろ解決したら聞いてみるか。


「明日から作戦決行するよ。恋人役をよろしくね」


 黙って頷く瑠奈と優菜だった。

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