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いじられた記憶ですか!?

「お取込み中ちょっといいですか?」

「あ、うん」


 僕と父さんが幼馴染について話していると蛯原さんが遠慮がちに声をかけてきた。


「百花ちゃんてひょっとして4組の皆川百花みながわももかちゃんのことですか?」

「そうそう皆川百花ちゃん。喜路来と少し前まで一緒に登校してた子だよ」

「え?僕が一緒に学校へ通っていたのは春香だよ。蛯原さんはなんでその皆川百花さん?だって思ったの?」

「もう告白したから白状しますけど……一緒に毎日登校していた皆川さんが羨ましくてずっと見てたんです」

「え?春香……佐野春香でしょ?僕の知る限り皆川さんて人の記憶はないけど」

「そんなはずないです。元彼女さんの樋渡さんと入学してから仲良くなったみたいですから」


 美優ちゃん?

 美優ちゃんの仲いい友達っていつも一緒にいるあの……あの……あの子は誰だ?


「うっ……」

「キロ坊どうした!大丈夫かよ!」

「あ、頭が痛くて」


 ジ…ジィジィ


『喜路来たすけて!』


 誰かが助けを求めてる。女の子の声みたいだけど。

 でも…あ、これダメなやつだ。意識が遠のいてきた。


 * * *


「うわあああ!」

「喜路来!」

「はぁはぁはぁ」

「喜路来大丈夫か?」

「僕はいったいどうしたの?ここはどこ?」


 おそらく意識を失ったまでは想像がつく。

 問題はこの景色に見覚えがないこと。

 病院かとも思ったけど無数のコンピューターやらモニター画面やらが並んでいる。

 病院というよりここは―――


「お父さんとお母さんの知り合いの研究室よ。悪いけどみんなには帰ってもらって急いでここに連れてきたの」


 母さんが心配そうに僕を見つめている。

 どうやら手術台のようなものに寝かされていたらしい。


「目が覚めたようですね。予想通りの結果が出ましたよ」

「エリカさんもありがとうございます。なんてお礼を言ったらいいか」

「うふふ、それじゃあ今度ご飯でもご馳走してもらおうかしら」

「だめー!絶対だめー!行くならわたしも一緒に行くから。白鳥先輩もメモリー先輩を揶揄わないでください!むふー」

「ごめんごめん。それより夫婦なんだからいい加減メモリー先輩呼びはどうかと思うわよ」

「いいんですー!生涯メモリー先輩でいいんですー!」


 母さん完全に幼児化してるな。

 家でもしょっちゅう父さんとのやり取りで見かけるけどここまでではない。

 それより母さんと話してるこの綺麗な人は―――


「あの、うちの学校の理事長さんですよね?」

「そうよ喜路来くん、白鳥エリカ。メモリー様の愛人よ」

「ちょ、ちょっとエリカさん!?息子に変なことを吹き込むのはやめてよ」

「冗談冗談。高校の時から仲良くしてもらってる友達よ。小さな時は会ったことあるのにお姉さん寂しいな。記憶を探れば見れるはずよ」


 父さんの友達はなんでこんな人ばかりなんだろ?

 母さんが年齢を感じさせない小悪魔的な可愛さだとしたら、この人の綺麗さは魔女。

 それより気になるのは―――


「エリカさんは完全記憶能力を知ってるんだよ。喜路来はまだ能力を使いこなせてないから許してやってほしい。それよりさっき言ってた―――」

「記憶領域に細工をされた痕跡が見つかったわ。もちろん修復したから記憶は元通りよ」

「ならもう安心だね、助かったよ。喜路来、エリカさんは完全記憶能力のことを知ってるから問題ないよ。白鳥グループとはいろいろ縁があってね」

「わかりました。それよりさっきの話からすると僕はなにかされて……あっ!」


 意識を失う前の記憶が鮮明に蘇った。


「稲田と佐野が百花を連れ去ったんだ!僕は助けに向かってそれで……え?」

「どうした喜路来?まだ記憶に―――」

「そうじゃないよ父さん。僕を階段から突き落とした犯人と百花を連れ去った奴らが同一人物なのを思い出したんだ。稲田、佐野、そして元カノの……美優だ!!きっと百花も記憶をいじられてるに違いない!!」


 僕の言葉に顔を見合わせて父さんがゆっくりと語りだす。


「すまない喜路来。お前に学園生活を楽しませてやりたかったんだが巻き込んでしまったようだ」

「どういうこと?」

「全部父さんのせいだ」


 神妙な面持ちの父さん。

 過去の記憶と照らし合わせても見たことのない表情だった。


 まさか……父さん……


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相変わらずスローライフと縁のない氷河一家です。

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