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ダメ教師の記憶ですか!?

【過去】


 俺は数学教師の金澤。

 母校のこの学校に勤めてもう10年になる。


 在学中の嫌なことも忘れようやく平穏な日々を送っていたところにアイツが入学してきた。


 『氷河喜路来』


 一目見て()()()の息子だと気づいた、いや、気付いてしまった。


 あの屈辱の高校時代を嫌でも思い出しちまう。


 『復讐してしまえ!』


 頭の中で囁き声が何度もこだましている。

 教師という立場の私がそんな事を考えていいのか?


 ……問題ねーだろ。


 『ハゲ、臭い、デブ、キモイ』と散々な言われようの私だ。

 いまさら聖職者面しても好かれるわけじゃない。


 悲惨な学園生活を送らせてやるから楽しみにしてろよ。


【現在】


 この新しいカツラで今日も髪型はばっちりだな。

 どうだ?これでもうハゲとは言わせないぞ。

 こんな気分のいい日は氷河をイジメるに限るな。



 ど、どうなってるんだ!

 なんで氷河の周りに友達がいる!?記憶喪失じゃなかったのか?

 しかも全員女子だと?ふざけるな!これじゃアイツと同じじゃないか!


「もっと痛い目を見せなきゃならんようだな」


 * * *


「よーし、少し早いが授業はここまでだ。ここからは来週からのテストにでるとこを解説するからしっかり勉強しろよ!ん?しまった。課題のレポートの枚数が足りんな。枚数が多いから氷河のグループ全員でコピーして持ってきてくれるか?」

「……授業中ですよ?後で配ればいいじゃないですか」


 この野郎……


 大原と友達になってから随分と生意気になりやがって。アイツにちょっと似てきたか?


「それだと他のクラスより不利になっちまうだろ。お前はクラスメイト達のことも考えてやれんのか?」

「……わかりました。みんなごめんいいかな?」

「しゃーねーなー。ハゲの言うことを聞くのも癪に障るが授業をさぼれるならいいぞ」

「私達も友達だし気にしないで」

「ありがとうみんな。じゃあそこのレポート持っていきますね」


 私はもうハゲじゃない!

 まあそんなのどうでもいいさ。せいぜい友達ごっこでもするんだな。



「おう、戻ってきたか。どうやら俺の勘違いで枚数は足りてたようだ。それは他のクラスで使わせてもらうわ」


 くっくっく。

 不満そうな顔してやがる。ざまあみろ。

 しかもお前らがコピーしてる間にテストに出るところは伝え終わったからな。

 友達みんなで仲良く赤点でも取るんだな。


 * * *


 ガラガラ!


「ひ、氷河はどこだ!どこにいる!」

「どうしたんですか先生。まだ授業中ですよ?」

「うるさい!それどころじゃない!この間お前達に頼んだレポートのコピーが大変なことになって---」

「金澤先生ここにいらっしゃいましたか。ちょっとこの件についてお話がありますので校長室まで至急来てください」

「が、学年主任…それは誤解です!そのレポートはそこの氷河達がコピーしてきたもので……」

「氷河くんそれは間違いないですか?」

「はい。先生直々に頼まれました。それを他のクラスに配るとも」

「……こんな如何わしいものを堂々と生徒に頼むとは……」

「だから誤解ですって!それはわたしの個人的な……あっ」


 わたしはなぜ自分から白状してるんだ!

 なぜ大原が腹を抱えて笑ってる!


「それは聞き捨てなりませんね。あなたは授業中に『佐々木は顔はイマイチだが胸がでかい』とか『山田は尻がデカくてエロい』とメモされてるんですか?」


「「「!!!!!!」」」


 お、俺を見るな!

 クラス中の生徒が俺を睨んできやがって!

 汗が止まらなくなるだろ!


「先生……」

「なんだ氷河!」

「カツラで汗拭くのやめた方がいいですよ」

「!?」


 ああああああ!!!!!!!

 

「とにかく校長室へ来てください」

「くそ!氷河覚えてろよ!」

「早く来なさい!」

「はい……」


 やっぱりアイツら親子のせいで俺の人生はめちゃくちゃだ!

 



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