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友達の記憶ですか!?

「ずっと前から好きでした」

「マジか!?」

「あの……」

「私と付き合ってください!」

「それは無理だな」

「ちょっと……」

「理由をお聞きしても?」

「それはだなぁ……」

「瑠奈が僕の代わりに話を進めてるからだよ!」


 ラブレターをくれた子へ、返事をしに屋上までやってきたのだが。


「そもそもなんで瑠奈がいるの?」

「いやなに、むこうも3人だし数的不利を埋めようかと」

「喧嘩するわけじゃないから!しかも僕の変わりに答えちゃってるし!」

「じゃあ付き合うのか?」

「いいから黙ってて」


 付き合うつもりはまったくない。なぜ告白されるのか理由が知りたいだけなのだ。

 もしかして嘘告白の罠かと疑いもしたけど、相手の反応をみる限りその線は薄そうだ。


「それで氷河くんの答えは……」

「その前に確認したいんだけどいいかな?」

「はい」

「前から好きだったと急に言われても僕らに接点はないよね?」

「実は……入学した時からずっと好きだったんです。一目惚れしました。ただ……その……」

「遠慮なく言って。ちょっとやそっとじゃ驚かないから」


 何度確認しても告白してきた子と話した記憶すらない。不自然なまでにないのだ。


「暗黙ルールがあったんです。氷河喜路来くんには絶対近づいちゃダメだって。カースト上位グループの命令とかで。だから私達みたいな普通の子達は逆らえなくてそれで……」


 学校で下手にカースト上位グループを敵にまわせばイジメにあったり、無視されて孤立することも多い。

 それはわかるけど……元幼馴染と元カノの仕業か?


「僕を孤立させるためだったのかな?」

「詳しい理由はわかりませんが、モテるからだと思います」

「は?」

「は?」


 なんで瑠奈まで一緒に驚くんだよ。さすがにムカっとくるな。

 僕がモテる?どうせ親の七光りだと思われてるんだろうけど。


「親のおかげかな」

「違います!!氷河くんは氷河くんであって有名人の息子だとか私には関係ありません!あっ、つい興奮してしまってごめんなさい!」


 この子は素直ですごくいい子なのだろう。

 それなら尚のこと、僕が孤立してた時になぜ……


「私達がいけないの!優ちゃんが告白しようとしてたのに止めてしまったから。あのままだと優ちゃんは仲間外れにされるだろうし私達のグループも目をつけられるからやめてって引き留めちゃって」

「そうなの!優ちゃんは友達の私達を守るために自分の気持ちをずっと押し殺して……ごめんなさい」


 ……なんだかホッとした自分がいた。


 モテるとかそんなんじゃなく、まだこの学校も捨てたもんじゃないと思えたから。


「それにしても有名人の息子って以外にモテる要素が見つからないんだけど?」

「試しに好きなところ全部言ってみ」


 もちろん僕が聞いたわけじゃないからな。

 瑠奈はなにがしたいんだよ。


「顔が綺麗でかわいいところとか」


 か、かわいい?

 男としてどうなんだよ。


「成績が良くて頭がいいところとか」


 完全記憶能力ってチートスキルがあるからな。


「すごく優しいところとか」


 なにか俺やってあげたのかな?

 当たり前のことだと意識してないからわからない。

 かなり恥ずかしくなってきた……


「ムッツリスケベでマザコンなとことか」

「え?」

「え?わたしじゃないですよ」

「るーなー」


 バチン!


「いってーなコラ!」

「瑠奈悪ノリしすぎ」

「くすくす、わたしもそう思います」


 まったく瑠奈の奴は……不器用すぎるだろ。


 彼女が本気で僕を好きなのか教えるためなのと、場を和ませようとわざわざ悪ノリのフリをするとは。


「いっやーまだ早いって!もっとこう悶えるようなの求む!マジ楽しいわ」

「……」


 ……フリだよな。楽しんでるようにしか見えんが!?


「と、とにかく気持ちは伝わってきたよ。こんな僕にありがとう」

「ありがとうだなんてそんな……。でも結果はわかってますから」

「そうだね。まだ君のことをあまり知らないから……」

「大丈夫です。一度でも話せて良かったです。もう話しかけたりしませ---」

「まずは友達としてお付き合いしてください」

「へっ?」


 え?友達になる時の返事って『へっ?』が主流なの?


 んなわけあるか!!


「僕を見ててくれたこと、本当に嬉しかったんだ。でも噂で聞いたりしてるかもしれないけど僕は恋愛がまだ怖い。だから……友達からお願いします」

「はい!」

「やったー!!優ちゃん良かったね。ほんと、良か…良かったよ……うえ〜ん」


 友達のために泣ける友達か。

 なんか……いいな。友情って。


 今の僕にとって一番大事ななにかを記憶した。

 きっと一生忘れないなにかを。


 

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