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オトナの記憶ですか!?

 美優ちゃんには裏の顔があった。

 

 『大人気Vtuber』


 売名行為を目的にメモリーの息子であるボッチとなった僕に近づくと、恋人のフリをして実況放送していたのだ。

 この話を父さんと母さんに相談し、その筋を通して映像は削除されたものの僕の心に大きな傷痕を残す結果となった。


「お金が絡むと人は変わる。まだ幼稚な子供の僕には理解できないけど」

「なんだヒロ坊、早くオトナになりたいのか?」

「うーん正直僕にはまだ早いかな」

「隠すな隠すな。この間も拾った猫に欲情してたではないか。よし!わたしで良ければ相手になってやろう」

「ぶっ!?初耳なんですけど?しかもオトナになりたいとか僕は一言も言ってないし!大原さんだってまだ…その……」

「ふふふ、愚問だな。あっち系の話なら私も予習済みだから心配するな。メモリー先生の血筋を残せるならわたしの初体験ぐらいどうってことない」

「!?」


 ああ…この人悪気はないんだろうなー。

 良い意味で純粋だから。

 きっと間違えた知識をどこかで植えつけられたに違いない。


「あ、あのさ?」

「なんだヒロ坊?」


 僕は大原さんに耳打ちしていろいろと説明する。

 大原さんも友達は僕だけだって言ってたし、これは友人として一般常識を教える僕の責務だ。

 セクハラに捉えないでもらいたい。

 

 すると、余裕の表情だった大原さんの顔が一気に青ざめたかと思えば、熟したトマトのように真っ赤になってしまった。


「!?」

「なっ!?」

「ふぇっ!?」


 最後には「あう、あう…」と意味不明な言葉を呟き口をパクパクさせてしまった。


「ちなみになにで予習したの?」

「メモリー先生と奥さんの特集記事で……」

「……」


 僕の両親のせいかよ!!

 

「異性と信頼関係を築けば自ずと子供は自然にできる……みたいな表現を奥さんが語って….。メモリー先生も記事の中で言葉少なに気づいたら子供が出来てたって仰ってたからわたしはてっきりイチャイチャするだけで子供はできるもんなのかと」


 ……聞かなきゃ良かった。

 夫婦の上下関係が想像できてしまうじゃないか!僕の出生の秘密が今ここに……


 ん?ちょっと待て。

 すると大原さんは僕とイチャイチャする気だったとか?

 

 ……まさかな。


 いまだ大原さんはフリーズしたままピクリとも動かない。


「ちょっといつまで彼女を放置する気?」


 あ、まだいたのか。しつこいなぁ。


「僕に彼女はいないと説明したはずですが」


 もう怯える必要もないし相手にするのも時間の無駄だ。

 なんたって僕は記憶喪失なんだから!(フリ)

 トラウマの今日でおさらばさ。


「さっき話してた女性は誰?浮気じゃない?」

「あの女の人を見てたでしょ」

「今日買ってたお洋服、似合うと思うよ」


 僕は知らない人達に私生活をずっと見られて恐怖を感じていた。

 あんな想いはもうこりごりだ。


「記憶喪失で忘れてるだけだよ」

「記憶喪失だろうとなかろうと僕はあなたを好きにはなれない」

「え?うそ……」


 ……やっとハッキリ言えた。


 最近からこうするべきだったんだ。

 僕は弱かった。ひとりぼっちが怖かった。

 

「理由はどうあれ好かれたから好きになるんじゃない。好きだから好かれたい」


 そして僕は自分から彼女を好きだったことは一度もない。


「ごめんね」

「……」


 美優ちゃんはなにも言わず走り去っていった。


「ヒロ坊ぉぉぉー。それ、いい。凄くいい台詞だよぉぉぉ」

「へ?」


 台詞ってなに?なんで涙ぐんでんの?


「んで?どの本に載ってるんだその台詞は」

「は、ははは。あーっはっは!」


 やっぱりこの人……最高の友達だ。



いつも読んで頂きありがとうございます。


話の都合上、暗い展開が多かったと思いますが、ここからは明るく楽しくいきたいと思います。


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