プロローグ
3日間『記憶喪失』になっている間に彼女も奪われ、世間の信用も奪われたので記憶が戻らないフリをしてスローライフを満喫する。ただ……小悪魔だけが妙にウザイ!?
の続編です。
これからよろしくお願いします!
「理由を聞いてもいいか?」
「階段から突き落とされました」
『息子さんが救急車で病院へ運ばれました』と学校から連絡が入り急いで病院へ駆けつけた。
幸い私の時と違い、数時間気を失っていただけで後遺症もないとのこと。
現在は息子に事故の経緯を聞いているところだ。
「そうじゃなくて突き落とされた原因を教えて欲しいんだ」
「僕が……有名作家メモリーの息子だから」
「……そうか。わたしのせいでお前に苦労をかけてすまない」
「こんなに曖昧な答えで納得されるんですか?もっと詳しく聞こうと思わないんですか?心配じゃないんですか?」
捲し立てるように喋る息子の目には、うっすらと涙がたまっていた。その理由は本人しかわからない何かがあるのだろう。
「もちろん心配だよ。だけど俺も母さんもお前を信じてるからね」
「親が有名なだけで何の才能もない平凡な息子をですか?」
「どこが平凡なんだ?素直で優しくて成績優秀な自慢の息子だよ」
「少し覚えがいいだけです。みんなには親の七光りだって言われるただの凡人です」
「凡人ねえ」
私が有名になりすぎたせいで妬みから嫌がらせを受けてしまったか。いつの時代も変わらないものだ。
「それで?お前はどうしたいんだ?」
「転校したいです。あの学校は父さんの伝説が今でも残っていて正直辛いです」
「学校が変わっても俺の息子だというレッテルはずっとつきまとうぞ」
「それはそうですが……」
「学校じゃなくお前が変わればいい。お前が学校を変えてみたらどうだ?」
「できるわけないじゃないですか!なんの力もない僕が……」
ここまでネガティブな人間に息子を追い込むとは、ちょっと我が母校にお灸を据える必要があるな。
どうやらようやく全てを伝える時がやってきたようだ。
「もし能力があると言ったら、お前が特別だったらどうする?普通には戻れない…その覚悟はあるか?」
「ご冗談を。そんな非現実的なことがあるわけありません。もし、もし悪魔に魂を売って力が手に入るのなら喜んで地獄に落ちます。そしてみんなを見返してやりたい」
いや、悪魔に魂売ったり地獄に落ちるのは普通にダメでしょ。
時々母さんの血が騒ぐのかおかしな発言するんだよな。
「わかった。そこまで言うなら俺たち家族の秘密を打ち明けよう。家族以外には絶対話さないと誓えるか?」
「は、はい!誓います!」
「よし。では『完全記憶能力』の説明からするとしよう」
「か、完全記憶能力……」
「お前はその能力者だ」
「!?」
「そして能力の鍛え方、最初の作戦を授けよう。あとは自分の力でなんとかしてみなさい」
「はい!」
アイツにこの話を聞かれるとあとが面倒だからな。黙っておこう。
喜路来の奴、目を輝かせやがって。くくく。
子の喧嘩に親はでるもんじゃないからな。
お前の力を思い知らせてやれ。
さあこれから面白くなるぞ!
こうして新たな物語はここから始まる―――
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