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覇者ロード

歯が痛くて起きて、気分は沈んでたのですが、パソコンを開くとブックマーク者が増えていて、痛さは消し飛びました。


最高にうれしい目覚めだったので、勢いよく執筆です

7時には次を上げられるようにしますのでお付き合いいただければと思います。

「まさかこんな日が来ようとはな……」


オリジナルの記憶。それはロードにとって遠い夢のようであった。

他人事のようにも感じるが、今のロードを作り上げているものであることは間違いない。

記憶の中の自分は、実に退屈そうだった


若き日のオリジナルは世に不満しかなく、ひたすらに何かを変えたい、成したいと胸を焦がし続けていた。

親にも、世間にも反抗し続けていた。


だから、武器を取り、旗を立てたのは必然だったのだろう。

幸運にもオリジナルには力があった、そしてそれを支える知恵もあった


力を信奉する鬼は次々にオリジナルの軍門に下り、圧倒的な力で多種族を下し、彼は覇者になったのだ


自分で一から作り上げた絶世の景色


だがその先には退屈しかなかった


彼が手にした世界は、彼自身に退屈を強いてきた。

安定、平穏、調和……


それらは決して彼が求めたものではなかった。

彼は常に変化を欲していた、根っからの闘争者だったのだから


積極的に争いの種を探した。

しかし誰も彼もが彼の力を恐れ、刃向かうことはしなかった。

反逆を期待し、沢山の子も設けたが、彼にとってその子供らは期待外れの存在でしかなかった


地獄を作りたいわけではなかった。だから覇道を成すことと、統治をすることとでは、別なる思考が必要になるのも重々わかっていた。

退屈ながらも、良き世とやらを作ったと後世で評価される確信があった


だがどれだけ良い国を作ろうが、彼の魂が常に変化を、争いを、血沸き肉躍る闘争を欲していた。


ここにきて自分の知性に嫌気がさした。


頭で考えず、心の赴くままに全てを決定出来たら、どれほど幸せだっただったろうか


(まぁその場合は覇道を成す前に呆気なく散ったであろうがな)


傍目に見ても、無駄に思えた生の後半

何とも退屈そうな日々


だが、それでも決して腐らず、力を増し、知恵を蓄え、ひとつひとつ積み上げてくれたオリジナル


その歩みは決して楽なものではなかった


(だからこそ、余がその日々に報いてやろう)


オリジナが腐ることなく、一歩一歩確実に進んできてくれたからこそ、今のボーナスステージのような出会いがるのだ


(お前の人生は無駄ではなかったと証明してやろう)


ロードは、つい先ほど自分に啖呵をきり、その名を授けた、あまりにも小さすぎる王を思い出す


「まさかまた覇道を歩む日がこようとは、それも己の覇道ではない。弱き者の覇道だ」


自分自身の覇道を歩めれば愉快かもしれないが、それでは全く同じ結果を生み出す予感があった

だからこそ、自分よりもはるかに弱い力を持つものが成す覇道の行く末を見てみたくなった

飽くなき闘争の予感がそこにはあった


ロードは己の胸に手を当てる


(共に行こうではないか、新たなる闘争の世界へ)


思わずロードの口から笑い声がこぼれ、ケルが驚く

ロードはごまかすようにケルの頭を乱暴に撫でた




ケルは己の首がもげるかと思った

しかし決して嫌ではなかった


ケルにも過去の思い出があった

その中でケルはいつも孤独だったのだ


群れ成す者とは違い、他者を寄せ付けぬ炎をまき散らす呪われた身体

近づく者は皆その炎を恐れ逃げていった


だからこの世界に呼び出されたときに、魂に刻まれた不思議なラインを感じた時に、ケルは生まれて初めて他者との繋がりを感じ、とてつもない幸福感に包まれた


ケルの名をもらった時には、嬉しすぎて爆炎をまき散らしてしまったが、主人となった人は逃げずにまた自分の頭を撫でてくれた

自分に触れてくれる存在がどれほど自分を幸せにしてくれるのか、ケルは知ったのだ


だから自分の炎なんて気にも留めずに乱暴に触れてくるロードの事も大好きになった


「グゥゥゥワンっ!」

「グハハハっ、突然どうした犬っころ」


ただ、狼である自分を犬呼ばわりするのには納得がいっていないため抗議の爆炎をまき散らす

それでもグハハハと笑いながら体を撫でる太い指


1鬼と1匹は、幸せだった



しばらく森を進みはしたが、その歩みは平和そのものだった

自分たちに襲い掛かってくるものは居ない

そう判断したロードは、問題ないとひ弱な王に伝えに戻ろうと踵を返した


「グルルルゥゥゥゥッ」


その時ケルが吠えた

辺りを見渡し、しきりに鼻を動かしている

どうやら何者かの縄張りに入ったらしい


ロードは集中し耳を澄ませる

何でもないところで油断し、命を落とした愚か者は多く見てきた

ロードは記念すべき覇道の初日につまらぬ汚点を残さぬよう、細心の注意をはらっていた



ズルズル




ズルズルズル




と、何かをこするような音がする


「来るぞ犬っころ!」

「ゥゥガゥッ!」


ロードとケルの視線の先から現れたのは双頭の大蛇だった

身体の大きさこそアピサルより小さいが、それでもケルくらいであれば余裕で一飲みにできそうである

チロチロと下を出し入れする双頭、それぞれがケルとロードをとらえ、臨戦態勢に入っている


「ふむ」


これから戦いが始まるというときにロードは構えを解いた

「ギャウッ!?」と驚きの声を出すケル

バトルアックスを肩に担ぎあげながらロードはケルの頭をなでた


「あれは違う」


ケルは首をかしげながらロードを見つめた


「あれは小さき者とは違う、我等との力量差を知ってかかってくる勇者の類ではない、力量差を読めずに向かってくる痴れ者よ」


ロードは慢心する愚かさを知っている。だがそれと同時に小物を過大評価してしまうことも同じくらい愚かであることを知っている。知恵ある者はそこを巧みに突いてくる。


ロードは油断したのではない、至極冷静に現状を見極め、力の入れ具合を調整したのだった。


双頭の大蛇は構えを解いたロードに対し強い警戒心を抱いているようで慎重に近づいてくる


その動きに再度ため息を一つついたロードは、終わらせるためにバトルアックスを再度振り上げた


「グルルルルルゥゥゥッ!」


しかし、そのロードの攻撃を遮るかのように、ケルが前にでて双頭の大蛇と向き合う


「やめておけ犬っころ、あれと貴様とでは相性が悪い」


大きな体はそれだけで強い。それに固くしなやかな鱗は攻撃を受け流しやすい。

圧倒的に鋭利な攻撃か、受け流しようのない面での攻撃が必要になる


いかにケルの攻撃力が強くとも、小さな手足でつけられる傷はたかが知れている

爆炎による瞬間的な火力があろうとも、サイズ差のある二つの頭を同時に撃退できるとも思えない

片方を相手にしている時にもう片方から攻撃をもらってしまうだろう


そこまで瞬時に見抜いたロードは、ケルが傷つくことで王がどんな顔をするかを想像し、改めてケルに声をかける


「つまらぬ怪我を負う必要もない、おとなしく余に任せ、余に守られる幸運に感謝しているがよい」


そう言って前に出ようとするが


「ワォォォォォォンッッ」


ケルが爆炎を出しその動きを止めた

そしてその身体から炎をこれでもかと吹き上がらせる


ケルは力量差を理解して尚、闘争を選んだのだ


ロードには、そのケルの姿が、なぜか己の小さな王の姿にダブって見えた


「グハハハッ!そうかそうか、小童程度でも啖呵を切ったのだ。その飼い犬が吠えぬわけにもゆかぬか!グハハハハハッ」


ロードは笑う

元の世界と比べ、此の世で出会う者たちは何と愉快なことか


「良かろう!お主の雄としての勝負、この余が見届けてやろうではないか!」

「ッガウッッ!!」


ロードが高らかに宣言し

ケルが吠える


異世界での初戦闘が今始まろうとしていた。

バトルスタートッ!


感想や評価いただけましたら励みになります

というか感想をもらってみたいです!(笑)

どなたかお願いしますっ!m(__)m

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