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かつてシリーズ

かつてでくのぼうだった少年は、虐げられたお姫様のために復讐の道を突き進む

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2022/01/10



 その少年は騎士だった。


 騎士とは勇気を示して、敵の前に立たなければならないもの。


 しかし、少年はいつも他の仲間の後ろにいた。


 臆病で怖がりだったため、任務ではまったく役に立たなかったのだ。


 だから「でくのぼう」と呼ばれ、馬鹿にされていた。


 けれどそんな少年には、好きな人がいた。


 それは騎士である少年が守らなけれなならない存在、国のお姫様だった。


 お姫様は誰にでも分け隔てなく、優しく接する人間だった。


 だから少年は、どうにかしてお姫様の力になりたいと思っていた。


 どうにかして、奮い立とうとしていたのだった。


 しかし、戦争をしかけてきた敵国に少年がいた国が敗北した。


 そして、お姫様は囚われの身になってしまった。


 無事は分からず、何をしているのか分からないまま数週間が過ぎた。


 少年はその時になってようやく、自分自身を叱咤して、立ちあがる。


 立ち止まっていた時間をとりもどすかのように、一心不乱に修行に励んだ。


 少年は、弱い自分に別れをつげ、毎日過酷な修行をこなしていく。


 やがて少年は、右に出る者はいないと言われるくらい強くなった。


 だから、少年はお姫様を助けに行くことにした。


 しかし、それは残念ながら。


 間に合わない。


 少年が助けに行った時にはすでに、お姫様の心は壊れていたからだ。


 過酷な拷問を受けた捕虜は、そうなる運命だった。


 少年は自分の力のなさを悔いた。


 立ち上がる瞬間が遅かったことを悔いた。


 そして、お姫様を虐げた敵国の者達に復讐する事を誓った。


 自分にも優しくしてくれたお姫様。


 他の人にも平等に笑顔をみせていたお姫様。


 その存在は少年の光だった。


 光を奪われたなら、あとは闇に包まれるしかない。






 少年は生き残った国の者達を集めて、お姫様を虐めた国を攻撃した。


 一人で何百人分の働きをした少年は、生きた戦の神と呼ばれた。


 戦場に出るたびに、多くの者達を血まつりにあげていく。


 しかし、それだけでは国を潰す事などできない。


 だから少年は、次の手をうった。


 暗殺者の技術を身に着けて、直接要人達を殺す事にしたのだ。


 そうすると国を動かす者達が少なくなるため、敵国は次第にまわらなくなっていった。


 後は、国の内部に多くのスパイを送り込んで、内部で破壊活動を行った。


 敵国の治安は一気に悪くなり、内部からゆっくりと瓦解していった。


 生き残った王族達は、自分達だけで脱出しようとしたが、少年はそれを許さなかった。


 彼等を生け捕りにした少年は、お姫様がされた仕打ちと同じように拷問を行った。


 水責めをしたり、火であぶったり、電気で感電させたり。


 生き物にかじらせたり、猛毒をあおらせたり。


 やがて狂った王族達は死んでいった。


 少年は復讐を完遂した。


 上に立つ者がいなくなった、その国は自然と滅亡していった。

 民達は路頭に迷い、国を復興することなく、他の場所へと流れていった。





 復讐をやりとげた少年は無力感につつまれたが、そこに奇跡が起こった。


 闇に包まれていた少年の心に光が差し込んだのだった。


 心を病んでいたお姫様が、奇跡的に正気を取り戻したのだ。


 その後、お姫様の国は復興し、多くの人々が喜んだ。


 少年は、その国を守るために尽力し、お姫様がもう二度と苦しい目にあわないために、死ぬまで頑張り続けていた。


 そして、少年はその思いをお姫様に伝える事は、生涯なかった。


 お姫様は、優しいどこかの王子様と一緒になって、幸せに余生をすごしていた。



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