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第8話

後ろの扉をアルトさんが丁寧に開けてくれた。緊張しながら中に入ると、中も負けじと豪華になっていた。すごいとしか言いようがありません。

そして、アルトさんの丁寧な運転で10分後、屋敷に着いた。ルイスの後に着いて行くと中は開放的になっており、とても広かった。

パーティなので、それなりの格好に着替えることになった。男子と女子に別れて、メイドさんに案内される。すでに準備された一着のスーツと共に更衣室に入れられた。あんまりスーツは似合わないと思うけどなー。

着替え終え、翼と会場に向かった。扉を開けて中に入ると、これから結婚式でもやるんですか?と思うほどの人と料理が用意されていた。


「すごいな…」


「そうだね、翼」


「あ、いたいた。遅いよー、二人とも」


振り返るとドレス姿の彩音とルイスがいた。


「うわぁー、二人ともドレス似合ってるね」


「そ、そうかしら。悠斗達だってスーツ似合ってるよ」


「そうかな、でもありがとう」


「それじゃあ、悠斗。パパのところに行きましょうか。二人はこちらで楽しんでください」


「え、ちょっと何それ!」


「まぁ、いいじゃないか。ほら彩音、お前の好きな肉があるぞ。あっち行こうなー」


「翼、はなして!こらー」


翼に腕をとられて彩音が連れていかれた。翼が振り返って僕に親指をぐっと立てた。なんだろう。


「こっち。行くよ」


そう言うと、ルイスが僕の腕にぴったりとくっついてきた。びっくりしてルイスの顔を見ると赤くなっていた。


「ちょ、ちょっとルイス!?歩きずら行って」


「こ、こうゆうものよ。パーティではこれが当たり前なの!」


そう言われて周りを見ると、確かに腕を組んだ男女がちらほら見える。でも、僕たちはただの友達だぞ。


「いいから、早く行くわよ!」


「うわぁ、引っ張らないでよ。わかったから」


ルイスに引っ張られる感じで、会場から出た。そして、別の部屋の扉の前まで来た。ルイスがノックをしてから入る。


「パパ?ルイスよ。悠斗を連れてきたわ」


「入りなさい」


扉を開けて中に入ると、見た目は20代後半くらいに見える、若くてかっこいい男性がいた。身長も180センチくらいあるだろうか?僕より全然大きい。


「君が都住悠斗君だね。はじめまして、私はルイスの父親の、ユリウス=C=ソフィアだ。娘がお世話になったようだね」


「そんなことないです。ルイスには僕の方が迷惑をかけているくらいです」


「ははっ、とてもしっかりしているね。ルイスからいろいろ話は聞いてるよ。娘がわがまま言って迷惑をかけたみたいで。その時はすまなかった」


「とんでもないです!頭を上げてください。その時のルイスの気持ちは自分もわかりますし、あれはしょうがなかったと思います」


「それでも君は娘をなんとかしてくれた。ホントは親である私の仕事なのにね。君には一生をかけても返せない借りを作ってしまった。本当にありがとう」


「いえ、あの…どういたしまして…」


「今日来てもらったのはほかでもない、お礼がしたかったからさ。聞くところによると、君は今一人暮らしらしいじゃないか。ほとんどを自分でやっているみたいだね」


「はい。そうです」


「家に来るというのはどうだろう?君一人ならずっとでも養っていける。お金の心配はしなくてもいい、広い一人部屋も用意しよう、食事も毎日豪華なものを約束しよう。ルイスはどうだ?悠斗君が家来るのは反対か?」


「ううん、悠斗が来てくれるなら私は賛成だよ」


「娘もああ言ってる。悠斗君はどうだい?」


「……」


「すぐにではなくていいよ。パーティが終わるころにもう一度聞くからその時にでも……」


「待って下さい。答えは出ました」


「早いね。それでどうだい?」


「大変魅力的なお誘いですが、お断りさせてもらおうと思います。勝手ですいません」


「……そうか、残念だ。できれば理由を教えてくれるかい?」


「…僕には豪華な生活よりも庶民的な生活の方が合っています。それに、すべてを頼って生きていくのは自分で許せませんから」


「ははっ、わかった。だが、君ならいつでも来てくれても構わないよ。話は変わるが……少し、二人きりで話したいからルイスは席をはずしなさい。盗み聞きはダメだぞ」


「わかってるわよ。じゃあ後で来てよ、悠斗」


「わかった」


それだけ言い残すと、ルイスは部屋から出て行った。残ったのは僕とルイスのお父さんだけ。するとユリウスさんが語り始める。


「昔のルイスは……本当に誰とも話をしようとしなかった。親の私でさえも、無視されることが多かったんだ。だが最近になっての…君が頑張ってくれてからのルイスは家でも楽しそうに話してくれるようになった。まぁ、大体が君のことなんだけどな」


「えぇ!?ルイスは何を話しているんですか?」


「初めて話したのは、「今日、ある人にとても迷惑をかけた。怪我もさせてしまった。それでも私の為に怒ってくれた。私の間違いを正してくれた。嬉しかった」だったな。私もびっくりしたよ。突然、泣きながら話しかけてきたからね。それからは毎日嬉しそうに教えてくれる。あんな娘の嬉しそうな顔を久しぶりに見たよ」


「そうですか。よかったです。ルイスが元気になってくれたみたいで」


「君は本当にすごいな。私の親としての立場が台無しだ。ホントに君には感謝している。そして、これからも娘をよろしく頼む」


「わかりました。僕に何ができるかわかりませんが、精一杯頑張ろうと思います」


「時に、君は彼女はいるのかな?」


「か、彼女ですか?いるわけないですよ」


「ふむ、そうか。ありがとう。では、娘のところへ行ってあげてくれ」


「はい、失礼します」



サボってすいません・・・。今回は少し長めになりしました。

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