第4話
ルイスが転校してきて、1週間が経った。ルイスは相変わらず誰とも話さず一人でいた。
本人はそれを望んでいるし、みんなは話しかけようとするが、諦めてしまう。
僕は少しそれが気になってしまった。ルイスは一人で平気なのだろうか?僕に何かできないだろうか?
授業の内容も身に入らず、お昼になってしまった。
少し一人で考えたいので、僕の秘密の場所に向かうことにした。お弁当を持って教室を出る。
僕の秘密の場所、それは屋上だった。普段はカギがかかっているので、誰も屋上に出ることはできない。
だが、僕は一番は時の窓はカギが壊れているので、そこから屋上に出れる。それは僕しか知らない。
「今日はいい天気だな」
空を見上げれば雲一つない、透き通るような蒼い空だった。
お弁当も食べ終え、ボーっとしていた。
あー、難しい事考えないでお昼寝したいなー。
「ホントね」
「え?」
後ろを振り返ると、そこにはルイスが立っていた。
「どうしてここが?」
「あなたが教室から出て行くのを後ろからついてきたのよ。気づかなかった?」
「全然わからなかった……」
「静かね、ここ。教室はうるさいからここにずっといようかしら」
「なんで?どうして、誰とも話さないの?友達は作らないの?」
「他人なんて信用してどうなるの?どうせ裏切られるだけじゃない。みんな離れて行ってしまうなら、はじめからそんな関係ないほうがいいわ」
「けど、一人は心細いよ。みんなといた方が楽しいじゃん!」
「あんたに私の何がわかるの!?あんただってどうせ離れていくんでしょ!だったらもう私は一人でいい」
「僕は離れないよ。ルイスの隣に居る」
「なんで?同情ならいらないわよ!」
「同情じゃない。ルイスを一人にしたくないだけだよ」
「そこまで言うなら、信用できるのよね。なら、まず10分以内にバレー部からバレーボールを一つ持ってきなさい」
「なんで、そんな?」
「悠斗が信用できるって証明してほしいのよ。それともできないのかしら?」
「それでルイスは友達を作ってくれるの?」
「いいわよ。友達を作ることを約束するわ」
「わかった。すぐに持ってくる」
僕は走って屋上から出た。そしてまっすぐ体育館へ向かった。体育館では別のクラスが使って、バレーをしていた。
先生に気付かれないようにバレーボールを一つ持って走った。
「持ってきた!」
「そう、じゃあ次は私の鞄を持ってきてもらおうかしら。もちろん、10分以内に」
「わかった」
バレーボールを置いて、僕は教室に走り出した。
教室に入ると授業をしていた。先生がびっくりしてこちらを見ている。
「こら、悠斗じゃないか!?どこに行ってたんだ?もう授業は始ってるんだぞ!」
「すいません、事情はあとでいくらでも説明しますので、今は見逃してください!」
「おい!?」
それだけ言うと、僕はルイスの鞄をつかんで廊下に出た。この先生は説教が長いからな……。今日はバイトじゃなくてよかった。
余計なことを考えながら走っていたので、思わず転んでしまった。制服が汚れているのも気にせずに屋上へ走った。
「持ってきたよ!」
「それじゃあ、次はグランドの隅に生えてるタンポポを15こ教室に摘んできて」
「教室?屋上じゃなくて?」
「そうよ、その次で最後だから」
「わかった」
なかなか小説を書くのは難しいですね。