第31話
遅くなって申し訳ないです!もっと早く次を出せるように努力します。
「さて、今日は部活に出ようかな」
夏休み前に七海さんと約束したから行かないわけにはいかない。今日はバイトもないし、ラケットも持ってきたから行こう。そう決めて、僕は卓球場へと向かった。
「あ、都住先輩だー! 来てくれたんですねー♪」
「今日はバイトも何も無いからね。早速やろうかな」
「先に先生のとこに行ってきてください。来たら顔出すように言ってましたよ」
「そっか。わかった」
僕は先生の所に向かった。先生は厳しそうな目で練習している生徒たちを見ていた。確かこの先生になってからこの卓球部は強くなってきて、今では強豪校として有名である。
「西山先生、こんにちは」
「おぉ、都住か…。これから部活に少しずつ出るんだって? お前、平気なのか?」
「はい。約束してしまったので断るわけにもいきませんし…」
「まぁ、お前が言うなら大丈夫か。まず、突然だがお前にはほかの生徒の練習を見てもらいたい、悪いところがあれば直してやるように。それから最後の練習試合にはお前も参加するように」
「僕がほかの練習を見るんですか!? そんな、僕なんかが……」
「お前の実力は誰もが認めてるよ。練習指導なら俺よりもお前の方が適任くらいだ。それに…俺はタバコが吸いたい」
「校内では禁煙ですよ」
「わかってるよ。だから、わざわざ外まで出ないといけないんだろーが。俺がいない間はお前が監督だからな」
「いやいやいや、何言ってんですか!」
「じゃ、よろしく~」
「えぇ!? 本気ですか!?」
あっさりと西山先生は居なくなってしまった。西山先生は確かに指導は的確で、二年連続全国出場をさせていることもあるが、とにかく自由な人で気付いたら居なくなってたというのはいつものことだった。
「さて、練習しましょう! 都住先輩、指導よろしくお願いしまーす!」
「「「「よろしくお願いします!」」」」
「……わかりました」
そうして、卓球部の練習が始まった。各自、練習をしていく。それを僕は見て回って、悪いところは指摘して直してもらう。この繰り返しだ。
「……だから、こんな感じでやってみて」
「なるほど、ありがとうございます!」
「君はもう少し腕の振りを……」
「はい、わかりました」
「都住先輩ー、見てもらえますか?」
「七海さん、いいよ」
七海さんがラリーを始める。うん、腕も振れてるしいい感じだ。今年の一年生はみんな上手い、これなら大会に出ても上に行けるだろう。
「うん、いい感じだよ」
「えへへ、ありがとうございます」
「じゃあ、ここで10分休憩にしよう。休憩終わったら試合形式で練習します」
「「「「はい」」」」
僕は壁にもたれかかって座る。久しぶりだからあまり体が付いていかないな。もっと練習しないと。
「都住先輩! こんなとこにいたんですかー。お疲れ様でーす」
「七海さんもお疲れ。どうしたの?」
「どうしたって、先輩にお礼言いたくて」
「お礼?」
「はい、バイトで忙しいなかわざわざ部活に出てもらってありがとうございます。みんなも喜んでました」
「そんな、大袈裟だよ」
「まぁ、一番喜んでるのは私なんですけどね」
「へ、それってどういう意味…?」
「あー! 先輩、休憩終わりですよ。さ、練習しましょう、練習」
「わ、ホントだ」
僕は練習に戻る。先生が戻ってきていたので、先生が指導をする。それにしても、さっきの七海さんが言ったのはどういう意味だったんだろう? 七海さんの顔が赤くなってることしかわからなかった。
「「「「ありがとうございました!」」」」
今日の練習も終わってみんなでかたずけをする。僕はピンポン玉を集めていると七海さんが寄ってきて話しかけてくる。
「先輩、このあと暇ですか? よかったらこのあと私ちょっと買い物に行こうかと思ってるんですけど一緒に行きませんか?」
「うん、いいよ。僕も夕飯の材料買わないといけなかったから」
「それじゃあ、着替たら昇降口で待ち合わせでお願いします!」
「わかった、じゃあ後でね」
それだけ言うと、七海さんはピンポン玉を箱に戻して卓球場を出て行った。僕もかたずけ終わったし着替えないと、そう思い更衣室に入った。
「今日の晩御飯はどうしようかな…」
昨日は卵が余ってたからオムライスにして食べたのを思い出して、今日は中華がいいなぁ、と考えながら一人で昇降口に立っていた。
「すいません、お待たせしました!」
小走り気味で七海さんが現れる。少し息を切らしているところを考えると急いできたのがわかる。
「僕もさっき来たとこだよ。それに考え事してたし」
「なんか悩み事ですか?」
「いや、今日の晩御飯のこと。何にしようかなーと思ってね。それより行こうか」
「はい。…やっぱり、毎日自分で作ってるんですか?」
「そうだよ。たまに、外で食べたりもするけど…やっぱり自分で作る方が安くなるし、楽しいしね」
「でも、大変じゃないですか? 勉強して、バイトして、ご飯も自分で作って…」
「うーん、はじめは大変だったけど、もう慣れたかな。今は楽しいし」
あはは、と僕は笑いながら歩いて行く。それをどこか悲しそうに、辛そうに七海さんは見ていた。でも、すぐ明るい笑顔で僕に並んで歩く。そして、近くのデパートへと着いた。
「七海さんは何を買うの?」
「私は本を買いにです。今日新刊が出るので」
そう言って、一冊の小説を手にとってレジに持って行った。僕は夕食の材料を選んで買ってきた。二人とも買い物が終わり、帰ることにした。