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第29話

文化祭で忙しかったです・・・

「さて、今日はどうしようか…」


夏休みも中盤、しかし、することがない。バイトは夕方からだし、宿題は終わってるし、やらなければならないこともない。ちなみに、今は午前10時だ。


「どうしようかな……、とりあえず掃除と洗濯でもしようかな」


そう決めて、僕は洗濯物をまとめ始めた。その時、「コン、コン」と玄関の扉から音がした。誰だろう? 僕は玄関に向かう。


「はい。あれ、夏希さんじゃないですか。どうして家に?」


「こんにちは、悠斗くん。お昼作ってあげようと思って。おじゃましていいかな?」


「はい、どうぞ」


夏希さんはいつものメイド服ではなく、私服で両手に買い物袋を提げて入ってきた。部屋にあまり女の人を入れないので少しドキドキする。


「へぇ?、キレイにしてあるんだね。男の子の部屋ってもっとごっちゃりしてるのかと思ってた」


「そうゆうわけでもないですよ。あ、適当に座って下さい。今日はルイスの付き添いはしなくてよかったんですか?」


「今日はお休みにしてもらった。私だってたまに休まないと疲れちゃうからね。今日は何かするつもりだったの?」


「いえ、特にないんで掃除と洗濯でもバイトの前にしておこうと思って。今日は6時からバイトです」


「掃除と洗濯ならやってあげるよ。悠斗くんは休んでて!」


「いや、そんなわけにもいかないですよ。夏希さんこそ、今日は休みなんですからのんびりしてて下さい」


「いいの、わたしがやりたいの。それに、悠斗くんが掃除とか洗濯してたらわたしは暇でしょ。いいから任せて」


「じゃ、じゃあ、洗濯は僕がやるんで、掃除をお願いしてもいいですか?」


「任せて!」


夏希さんは箒を奪うと、丁寧に床を掃き始めた。まぁ、ここは任せて僕は洗濯を終わらせちゃおう。僕は洗濯物をまとめて洗濯機に放り込んだ。


「夏希さん、終わりました? 狭い部屋だから早く終わると思うんですけど……」


「悠斗くん…、これ、両親?」


夏希さんは机の上に置いてある写真たてに入った写真を見ていた。そこには三人で笑いながら並んで撮られていた。


「…はい。そうですね」


「二人とも優しそうだね…。どちらかというと、お母さん似?」


「そうですね、昔から僕は母親にだって言われてきましたから。性格は父親だって言ってましたけど」


「性格はお父さんなんだ。あはは、なんとなく想像できるなぁ。あ、そろそろお昼にしようか」


「そうですね、じゃあ、お願いします」


「台所借りるね」


エプロンをつけて夏希さんが台所に立つ。僕はその後ろ姿を見て、母さんのことを思い出した。思わず涙がこみ上げてくる。


「悠斗くんは味付けは薄い方が好き? それともこい方がいい? どうしたの、悠斗くん?」


「え、あの、薄味で」


僕はとっさに背を向けた。泣きそうな顔なんて、かっこ悪くて見せられない。


「これでよしっと、はい、できたよ。運ぶの手伝ってもらっていい?」


「はい。食器はどれでもいいので使ってください」


テーブルには、ほかほかのごはんとお味噌汁と肉じゃがが置かれていて、とてもいい匂いがする。


「じゃあ、いただきます」


「どうぞ、召し上がれ」


早速、僕は肉じゃがに箸を伸ばしてじゃがいもを口に運んだ。心配そうに夏希さんが僕を見ている。


「うん、うまいですよ! この味付けは僕好きです」


「そ、そうかな。よかった、どんどん食べてね」


あっという間に昼食を食べ終え、食器などをかたずける。そういえば、誰かの手料理を食べるのも、誰かと昼食を食べるのも久しぶりだった。


「ねぇ、午後暇ならさ、買い物に付き合ってくれるかな?」


「いいですよ。駅周辺ですか?」


「そうだね。じゃあ、行こう」


夏希さんと二人で外へ出る。駅近くのデパートまではそんなに遠くはなかった。


「それで何を買うんですか?」


「服とか雑貨とかかな。そうだ、悠斗くんもなんかアクセサリーとか買ってみたら? ネックレスとかさ」


「そんなの僕には似合わないですよ」


「大丈夫だって、ほら、見に行こう」


「うわ、ちょっと、引っ張らないでくださいよ!」


夏希さんに腕を引っ張られながら、デパートの中へと入って行く。周りの人の目線が厳しかった…。夏希さんは雑貨のお店にまっすぐ入って行った。そこでいろいろ見て行く。


「これとかどうかな? こっちでもいいかも」


夏希さんがあれこれ手に取って悩んでいく。僕は、それを隣で、女の子ってホントにお買いものって好きだよね…、と思いながら眺めていた。


「悠斗くんはどんなのがいい?」


「よくわかんないですけど…、僕はシンプルなのが好きですね」


「そっか…、じゃあこれとかどうかな?」


夏希さんはそう言って、シンプルなプレートの付いたネックレスを選んだ。


「いいと思います。夏希さんに似あってますよ」


「そうかな? じゃあ、買おっと」


そういうと、夏希さんはネックレスを2つ持ってレジに向かった。お会計を済まして戻ってくる。そして、袋からネックレスを取り出して僕に渡した。


「これ、付けてくれる? 私不器用だから付けられなくて…」


「いいですよ」


僕は手渡されたネックレスを夏希さんの首につける。ふわりと、いい香りがしてドキドキした。


「ありがとう。そして、こっちが悠斗くんのやつだから付けてあげるね」


「僕のもなんて、いいんですか?」


「いいんだよ! ほら、後ろ向いて!」


僕は夏希さんにネックレスを付けてもらう。そして、正面から夏希さんが僕を見て、うん、うん、と頷く。


「似あってる! 大切にしてね。私も大切にするから」


「はい、ありがとうございます」


その後も、夏希さんと服を見にいたり、雑貨を探してみたりした。途中、休憩しながらデパートを歩き回った。

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