第24話
「おやすみなさい……」
僕は、落ち着いた佐倉さんをベットに運んで寝かせた。泣き疲れたのか、それともスッキリしたのか、ぐっすりと眠っている。とりあえず一安心した。
「悠斗! 佐倉は!?」
ルイスが慌てて部屋に入ってきた。僕はベットを指差し、それを見たルイスが力が抜けたのか、床に座り込んだ。
「よかった……、ぐす、本当に…っ、よかった…」
「もう大丈夫だと思う。まだ心の整理ができてないと思うけど、時間をかければ大丈夫だと思うよ」
「あ、ありが…とう。悠斗…、ありがとう」
「ううん。気にしないで」
「っ! 悠斗、その手どうしたの!? まさか、佐倉が?」
「え、いや、大丈夫だよ。大したことないから」
「何言ってんのよ! さっきから血が止まってないじゃない! 今、手当てするから」
そう言って、ルイスは救急箱を持ってきて、僕の手を手当てしてくれた。包帯を巻かれ、左手を動かしづらくなる。
「これでよし…、ごめんなさい、佐倉がやったのね」
「これは自分でやったようなものだよ。だから佐倉さんは悪くないんだ」
「佐倉は休ませたほうがいいわね。帰るのは明日のなっても構わないかしら?」
「僕はいいよ。翼と彩音はわからないけど……」
「聞いてくるわ、佐倉のことも説明したいし。悠斗は悪いんだけど、佐倉を見ててくれる?」
「いいよ、いってらっしゃい」
満足そうにうなずくと、ルイスは部屋を出て行った。隣を見るとぐっすり寝てる佐倉さんがいる。今までずっと一人でやってきたんだろうな……。僕は佐倉さんの頭を優しく撫でた。
「彩音と七海さんは明日用事があるらしいから帰るって。上条君は大丈夫らしいわ」
「ごめん、明日の部活はどうしても出ないとダメなんだ」「私もです。すいません」
「そっか、ならしょうがないよ。とりあえず、夕食は僕が用意するね。佐倉さんも起きたらおなか減ってるだろうし、軽く何か作っておくよ」
「ありがとう、お願い」
「悠斗ー、今日も悠子ちゃんでやって」
「あれ、お鍋どこだろう?」
「メイドでいいからさー」
「これは火を通しすぎないように…」
「…写メって一気に何枚送れるんだっけ?」
「あーー、もう、ヤダからね! 絶対にメイドの格好なんてしないから! そこ、カメラの準備しないで!」
「「「そんなー」」」
「しょうがない…。とりあえず、俺は洗濯とかしておくから。飯ができたら呼んでくれ」
「わかった、お願い」
「それと、悠斗は左手怪我してんだろ、皿出すくらいは誰か手伝ってやれよ」
「「「!?」」」
「あ、うん、誰かお願い」
「じゃあ、私が手伝うわ」「都住先輩、私が手伝います!」「あ、あたしが手伝うから」
「えっと、一人でいいよ?」
「だから私が手伝うからいいわよ」「私がやりますよ、先輩は休んでて下さい」「あたしがやるわよ!」
「「「悠斗(先輩)は誰に手伝ってほしい!?」」」
「…えーっと、その…」
「キリがねぇな。ここは食器の場所がわかるルイスだ。他は、できたら運んだり、洗い物したりしろ」
「わかったわ」「それならしょうがないですねー」「洗い物なら任せなさいよ!」
「うん、お願い」
そうして、夕食作りを進めた。左手が使いずらいけどなんとかなった。ルイスたちも手伝ってくれたので思ったより早く出来た。七海さんに手伝ってもらって料理を運び、夕食にした。
「相変わらず都住先輩は料理うまいですねー、どれくらいレパートリーあるんですか?」
「んー、そんなにあるわけでもないよ」
「ホント、悠斗は弱点がないわよね……」
「弱点って…、でも僕だって苦手なものはあるよ。たとえば暗いところとか、暗所恐怖症っていうのかな。あと、ジェットコースターも苦手かな。あ、お化けも無理」
「「「「女の子か!」」」」
「別にそうゆうわけじゃないでしょ!」
「都住先輩…、可愛いですね」
「子供っぽいっていうか、身も心も子供なのね」
「悠斗…、そろそろジェットコースターは克服しようよ」
「苦手なんだからしょうがないじゃん、ルイスはさらっとひどい事言ってるし!」
「まぁ、悠斗の弱点だな。おっと、もうこんな時間か、女子から風呂行けよ。かたずけは俺らでやっとくから」
「わかったわ。じゃ、桐原さん、彩音、行こうか。お願いね」
「「了解」」
女子は風呂へと向かって行った。僕と翼で洗い物をしようとする。
「悠斗はその手じゃ洗い物は無理だろ。あのメイドさんになんか持って行ってやれ。そろそろ起きるんじゃないか?」
「そうだね、じゃあ行ってくる」
僕はおにぎりを作って持っていくことにした。まだ寝てるのかな、と思い僕はノックをして部屋に入った。