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第22話

「あはは、私の勝ちですね。では、都住先輩、………今度はメイドの格好でお願いします」


「あ、それいいわね。佐倉、メイド服貸してあげて」


「かしこまりました。都住様、どうぞこちらへ」


「やーーーだーーー」


佐倉に連行されて行った。それにしても、楽しいなぁ。彩音と桐原さんは携帯の写メを用意してる。あ、上条君もだ。それにしても……


「案外気づかないものなのね。悠斗には悪いけど、ずっと負けてもらいましょう」


「悠斗は真面目だからな。まさか、この四人が結託してるなんてわからないだろうな」


「悠子ちゃん可愛いですねー。この写メは永久保存ですよ」


「もう、悠子ちゃんになっちゃえばいいのにね」


「…思ったんだけどさ、悠子ちゃんになったら、この中の誰よりも女の子らしいんじゃね? 料理、洗濯、掃除は完ぺきだし。そしてあの可愛さ」


「「「………」」」


「お前ら三人合わせても悠子ちゃんに勝てないな……。男なのがもったいない、ホントに女の子だったら俺は惚れていたな」


「(なんか…複雑)」


「(確かに、悠子ちゃんだったら勝てる気がしないです…)」


「(悠子ちゃん…恐るべき!)」


「お、お待たせしました」


「あ、佐倉。今回はどう?」


「ま、負けました…」


「「「「ま、負けた!?」」」」


「はい……都住様、どうぞ」


ガチャ


「………もう、勘弁して下さい」


僕は部屋に入った。…メイド服で。なんか、ヒラヒラしたスカートとか無理だ。さっきよりも少しスカートが短いし、カチューシャとか付けてるし。もう泣きそうだ……。


パシャ、パシャ、パシャ


「無言で撮らないでよ! なんか怖い」


「悠子ちゃん……、なんで男なんだ! 性別を間違えて生まれてきてるぞ!」


「うるさぁい! 僕は男だ!」


「悠子ちゃん……、お願い、「おかえりなさいませ、お嬢様」って言ってほしいわ」


「ぜっっっったいにヤダからね!」


「いいじゃないですか、悠子ちゃん」


「僕、先輩だよね!?」


「お願い! 悠子ちゃん、ムービーで保存するから」


「さらに酷いから!」


「悠子ちゃん、ここにさっき撮った制服バージョンの悠子ちゃんがある。言ってくれないと、うっかりクラスの全員に送信してしまいそうだ。あ、俺は「おかえりなさいませ、ご主人様」でお願い」


「あ、私も」「私も、卓球部の全員に見せてしまいそうです」「あたしはお母さんに見せようかな〜」


四人が脅迫まがいなことを言ってる。多分、言わなかったら本当に送るだろうな。四人とも、もうカメラの準備してるし。でも、こんな姿をクラスの人達にさらすくらいなら…。


「お、おかえり、なさい、ませ、ご主人様…、お嬢様……」


「「「「………」」」」


「……ぐすっ」


「ぐは! 悠子ちゃん、それは反則だ…」


「悠子ちゃん……、女の私でもあなたは可愛いって言いきれるわよ」


「もう何も言えないです……」


「か、かわいい…」


パシャ、パシャ、パシャ


「佐倉さんは無言で撮り続けないでください!」


「し、失礼いたしました。つい……」


「はぁ…、もうヤダ……。なんで僕がこんな……」


「いいじゃねぇか、可愛いんだし。もう、女の子になれば?」


「ヤダよ……」


「それしても、似あってますねー。一回悠子ちゃんで学校行きませんか?」


「何言ってんの!?」


「悠子ちゃん悠子ちゃん、はい、ピース」


「恥ずかしいからやめて」


「そろそろお昼にしましょうか。おなか減ったし。佐倉、お願いね。あ、悠子ちゃんにも手伝ってもらう?」


「そうですね。よろしいでしょうか?」


「あのね、「よろしいでしょうか?」じゃないですよ! 手伝ってもいいけど、着替えさせてください」


「それじゃあ、意味がないだろう〜。いいのか、悠子ちゃん? うっかりクラス全員に写メが飛んでくぞ」


「その脅し、反則」


「都住様、お願いいたします。手伝っていただけたら助かります。……その恰好で…ふふ」


「はぁ、わかりましたよ。手伝いますよ」


「よし! 写真は任せろ! この1200万画素のデジカメでばっちり撮るからな!」


「じゃあ、あたしはムービーで撮るわ!」


「私は写メで撮りますね。あとで、みんなの携帯に送信しておきます」


「頑張って、悠子ちゃん」


「その妙なチームプレイはやめて!」


そうして、大量のフラッシュを浴びながら僕は佐倉さんと昼食を作った。メイド服が動きずらい、シャッター音がうるさい、フラッシュが眩しい、どれも今までにない体験だった。昼食を作り終わって、ようやく僕はメイド服から解放された……。

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