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第16話

「海だーーーーー!」


五人を乗せた車の窓の横には、綺麗な砂浜、青く透き通った海が広がっていた。


「とりえず、荷物を置かないといけないからコテージに行くわよ。海から少し離れた場所だけど、広いし、とてもキレイなの」


「じゃあ、着いたらすぐに水着に着替えて海に行こうぜ!」


「「「「賛成!」」」」


そして、砂浜から少し離れた所に車は進んでいった。


「…わあ……」


車から降りた僕は、思わずそんな声を漏らした。木々がまばらに並ぶ林の中、粒々になった太陽の光を浴びて立つ真っ白なコテージ。その後ろ、林の切れ目からは海が見える。


「めちゃくちゃキレイだし、大きいな」


「キレイなコテージですね! これ、ルイス先輩の家の所有物なんですか?」


「そうね。けど、たまにしか使わないんだけどね。えっと、部屋は二階が女子で、男子は一階の部屋を使って。あと、私の専属のメイドが中に一人だけ居るからわからなくなったら彼女に聞いて」


ルイスは自分の荷物を持って、コテージに入って行った。あとを僕たちがついて行くと中に一人のメイドさんが居た。


「はじめまして、私はルイスお嬢様の専属メイドをしております、佐倉さくら夏希なつきと申します。なにかございましたら、私に申し付け下さい」


「「「「は、はい」」」」


「では、お部屋を案内しますので、都住様と上条様はこちらへ」


案内された部屋はとてもキレイで、日当たりのよい部屋だった。まるで、どこかの高級ホテル部屋みたいだった。


「なにかございましたらこちらのベルでお呼びださい。些細なことでも構いません」


「わかりました。……あの、佐倉さん?」


「なんでしょうか? 都住様」


「もしかして、体の調子が良くないんですか? とても、疲れたように見えますけど」


「……いえ、そんなことありません。では、失礼いたします」


佐倉さんはぺこりと頭を下げて部屋を出て行った。隣で、翼が不思議そうな顔で僕に聞く。


「どうした? あの人そんなに調子悪そうに見えたか?」


「うん……。そんな感じに見えた」


「気にし過ぎだろ。ほら、着替えて海行くぞ!」


「あ、ちょっと待ってよー」


とっくに着替えた翼が部屋を出て行く。僕もそれに続くように部屋を後にした。



「よっと…、こんなもんか。悠斗、下に荷物置いていいぞ」


「わかった」


僕と翼でパラソルを建て、下にビニールシートをひいて荷物を置く。女の子はまだ誰も来ていない。


「相変わらず悠斗は背が低いなー。しかも、めちゃ腕とか細いし。ちゃんとご飯食べてるのかよ?」


「うるさいなぁ。ちゃんと食べてるし、背だってまだ伸びてるよ」


「いや、お前もう背は伸びないだろう…。165センチはいってるのか?」


「そ、それくらいはあるよ! ……きっと」


「はははっ。でも、あんまり気にするな。それでもお前はモテるんだから。…ちょっと、泳いでくるから荷物番よろしくな」


「あ、ちょっと翼! 勝手だなー。…僕がモテることなんてないと思うけどな」


「どうしたの?」


「え?」


声がして振り返ると、そこには水色のビキニを着たルイスが立っていた。肩まで伸びていた金色の髪はポニーテイルにされていた。


「その、どう…かな?」


「え、えっと、その…、とても似合ってると思います…」


僕は思わず下を向いてしまった。普段気の強いルイスが、水着で金色の髪をポニーテイルにして少し顔を赤くしている。それを見て、とてもかわいいと思ったと同時に、なんか恥ずかしくなったのでまともにルイスの顔が見れなかった。


「あは、ありがとう。それで、上条君は?」


「翼は泳ぎに行っちゃった。僕は荷物番だよ。後の二人は?」


「もうすぐ来るはずよ。……ほら来た」


「早いですよ、ルイス先輩! あ、都住先輩お待たせしました!」「ま、待って。あたしも」


そういうと、二人が来た。七海さんは写メで見たとうりの白のビキニ、彩音は全体がピンクのワンピースだった。どっちも似合っていて眩しいくらいだった。


「どうですか先輩! 似合ってますか!?」「ゆ、悠斗、あたしも似合ってる?」


「うん…とっても似合ってます」


「どうしたんですか? 先輩、顔が赤いですよ」


「なんでもないよ! ほ、ほら、僕が荷物番してるから行ってきていいよ」


「荷物番は佐倉がするからいいわ。お願いね、佐倉」


「かしこまりました、お嬢様」


いつの間にかルイスの後ろに立っていた佐倉さんが頷く。…こんな暑い中、メイド服で大丈夫なのかな。


「あの、暑くないですか。大丈夫なんですか……」


「大丈夫です。それよりも、先ほどから桐原様が呼んでおりますので行った方が良いかと思います」


「ほら、先輩早くーー。海、気持ちいいですよ」


「今行くーーーー。……佐倉さん、あまり無理しないでくださいね」


佐倉さんが首を縦に振るのを確認して、僕は海へと向かった。

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