第12話
「「「うまーい!」」」
「よかったー」
チャーハンというリクエストだったが、作るには材料が足りなかったので結局夕食はカレーになった。カレーは何回も自分で作ったことがあったので、問題なく出来た。
「普通にお店で売っていいレベルよ。これならあたし800円は出せるわ」
「そうね、家のシェフにも負けてないわよ。悠斗は料理うまいのね」
「おおげさだよ。料理は毎日してるからこれくらい普通だよ」
「いや、お前の料理はホントにうまいぞ。今日はえらく張り切ってたな」
「だって、翼以外に今まで作ったことなかったから…。大丈夫かなーって思って頑張りました」
「大丈夫!すごくおいしいわ。毎日作ってもらいたいくらい」
「私も。悠斗を専属のシェフにしたいくらいよ」
「あはは、ありがとう。よかった」
夕食も食べ終わり、再び翼の部屋に戻った。そして、椅子に座っていた翼がこっちを向いて突然喋り始めた。
「しかし、悠斗に彼女ができたらその彼女は幸せだなー。こんなおいしいご飯が毎日食べられるんだし。でも、悠斗も彼女は料理ができたほうがいいよな?」
「「!?」」
「僕はどっちでもいいかな。できないなら僕がカバーできるし」
「でもできたほうが嬉しいだろう。彼女の手料理は食べてみたいと思わない?バレンタインにチョコとかさ」
「あぁー、チョコは嬉しいかも。お菓子とか好きだから嬉しいね」
「「(クッキーすら作れないかも…)」」
「お、そろそろ帰ったほうがよくないか?もうこんな時間だぞ」
「私は車を呼ぶからいいわ。悠斗、ご飯ごちそうさま。それじゃあ、また明日」
そういうと、ルイスは荷物をまとめて早々帰ってしまった。まぁ、僕も帰るか。
「んじゃあ、悠斗は彩音を家の近くまで送って行けよ。夜道を女の子が一人じゃ危ないだろう」
「そうだね。それじゃあ、帰ろうか彩音」
「う、うん」
なんだろう、翼がこっちを見ながらいい笑顔で親指を立ててグッとしてる。それを見て、彩音をそれを返してる。…僕は見なかったことにしよう。
彩音の家は僕のマンションからそんなに離れてはいない。彩音の親とも面識があってよくご飯をごちそうになったりしていた。そういえば、最近会ってないな。
「ねぇ、今度クッキーの作り方教えてくれない?」
「いいけど、彩音って料理できるの?」
「それとは関係ないの!あたしだってその気になればクッキーくらい作れるんだから…」
「わかった。テストが終われば夏休みだからね。その時に教えるよ。誰かにあげるの?」
「そ、そんなの、……にきまってるじゃない……」
「え?よく聞こえなかったけど…。でも、食べてみたいな。彩音が作ったクッキー」
「ホント!!ホントに食べてみたい!?」
「う、うん」
「そっか……じゃあ頑張らないと。あ、ここでいいわ。また、明日ね!」
「あ、うん。また明日」
そう言って手を振りながら別れた。さて、もうすぐテストがあって、それが終わると夏休みか…。今年の夏休みは…バイトかな…。遊べるなら遊びたいよね。