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出会い
君がいる世界はこんなにも美しい。
僕は君がいないと生きていけない。
そんなありきたりでロマンチックなこと、面と向かって言えてたら
君は溶けなかったんだろうか。
「なぁ~一緒に行かな~い?」
独特の抑揚と伸ばし棒のある声で、話し掛けてきた人物を特定した藍は、顔をあげるのを躊躇った。だが、目と耳が様々な情報を察知。渋々顔をあげると、案の定、長方形の紙をペラペラしている筋哉がいた。
めんどくせぇ。
藍は顔を歪めるのを我慢して口を開いた。
「どうしたんすか」
「ちょっと~今日冷たくな~い?」
うざったい絡みは置いといて。
手に持っている紙っぺらを指差して本日二度目の。
「どうしたんすか」
「それがさ~彼女と別れちゃって~これ行く予定だったんだけど~。俺が好きな写真家の展示会。」
わかるよな~って顔。
めんどくせぇ。
仕方なく口を開いた。
「一緒にいけってことですか?」
「さすが~俺の物分かりがいい後輩~!」
父親がボディービルダーの筋肉好きというだけで筋哉と名付けられ、全くもって筋肉好きではない人が抱きついてきた。
めんどくせぇ。