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森の地

 森の地編となります!

 新章といいつつ、新しい感じの始まりでは無いのは、ご了承いただければと……。

 森の地は一度行ったことがある場所。と言いたいところですが、実際は入口部分しか足を踏み入れていないそうです。


 森の地には複数の集落があり、シャルドネの故郷からエルフの集落は距離が近く、エルフの集落から別の森の地内の集落の方が遠いそうです。

 そこでフーリエは提案し、エルフの集落のみ管轄内にしたらしいです。と言っても、管轄内にするには相当な努力が必要で、まずエルフを説得するのが大変だったとか。


「ということで、ワタチは見事エルフの方々と交流を持つことに成功したのです」

「マリーに相談はしなかったの? 来てもらうとか」

「マリー様には『できるならやってほしいけど、危険ならあきらめて』と言われ、ワタチだけでやりました」


 人使いは荒いですが、安全が一番です。


「ということで、到着です。あ、鈴を鳴らしますね」


 エルフの集落には強力な『認識阻害』がありますが、フーリエの持つ鈴はそれを一時的に抑える事が可能な優れ物です。何の材料か気になりますね。

 鈴がリーンと鳴り響くと、『認識阻害』が徐々に薄れて風景が……風景が……おや?


「……あまり変わらないですね」


 ただ鈴が鳴っただけのように思えます。


「ゴルド様、念のため申しますと、前回は焼け野原でした。本来のエルフの集落はこんな感じです」


 ……ああー、完全に焼け野原を想像していました。って。


「え! 森が焼けてからまだ数日ですよ! 超森じゃないですか!」


 そう驚くと、木陰から人影です。あの金髪は以前にも見覚えがあります。


「ゴルド殿。シャルドネ殿。そしてフーリエ殿。よくぞいらっしゃった!」


 すごく綺麗な声なのに、どこか癇に障るこの爽やかな声は、エルフの集落代表の息子のエヴァですね。相変わらずイケメンです。


「それにしても、鈴を鳴らす前からずっとシャルドネ殿に見られていた気がしたのですが」

「話がまたこじれるので、中に入っても良いですか?」


 同じ話題を二回もやるほど、ボクは優しくありません。少なくともこのエヴァとはあまり会話をしたくないのです。


「ゴルド……実はエヴァの事苦手?」

「まったく苦手ではありません!」


 何故か強く否定してしまいました。何故でしょう。


 ☆


 エルヴィンの家に到着し、一つのテーブルに四つの椅子。そこに腰かけました。


 のは良いのですが。


「……あの、フーリエ? どうしてボクの膝の上なんですか?」

「椅子が足りないので」

「だからって、別にボクでは無くシャルドネでも」

「椅子が強そうだったので」


「……微笑ましいですな。ゴルド殿」


 何でしょう、この気恥ずかしい感じは!


「こ、コホン。まずは、エルフの集落の復活おめでとうございますと言って良いのですか?」

「ありがとうございます。ガランの件につきまして、支援できなかった分、集落の修繕に力を入れる事ができました」

「それは良かったわ。それと、一応謝罪させてもらうわ。私の父が迷惑をかけてしまって」


 ぺこりと頭を下げるシャルドネ。それに対してエルヴィンの反応は予想より冷静でした。


「フーリエ殿から話を聞いています。色々複雑な状況や過去もあったのでしょう。ここはスッパリと忘れましょう」

「ありがとう」


 そう言って、シャルドネは頭を上げます。実際その謝罪には心がこもっていないとはいえ、やる事に意味があるのでしょう。


「さて、今回ゴルド殿に来てもらったのは理由があります。まずはこちらを」


 そう言って、一枚の紙を見せてきました。これは森の地の地図でしょうか。


「ここに、私たちエルフ以外の精霊、土の精霊ノームが住んでいます。ゴルド殿は鉱石の精霊と言っていたので、もしかしたらノームなら何か良い相性の魔術について知っているかもしれません」

「ノームがいるのですか!」


 驚いて声を出してしまいました。それに驚いたフーリエが膝から落ちてしまいました。

 拾って再度膝に乗せて頭を撫でながらノームについて質問をします。


「まさかノームがこの世界にいるとは思いませんでした(なでなで)」

「残っていた書物を漁っていたのですが、ノームの精霊術とゴルド殿の精霊術には近いものがあると思いまして」

「確かにそうです。それで、ノームとは(なでなで)」

「ええ、すでに連絡を取っております」


 これは嬉しい情報です。ですが、何故エルフがここまで協力的なのでしょう。


「もちろん、ただとは言いません」


 あ、何か交換条件を持ち出してきました。一体なんでしょう。


「実は私の息子エヴァ、そろそろ嫁を探しております」

「はあ」

「そこで、是非ともシャルドネ殿と結婚をと思いまして」

「ちょっと待ちなさいよ!」


 シャルドネの大声に、フーリエが再度ボクの膝から落ちました。さっきから涙目が止まらないです。

 拾ってもう一度頭を撫でる作業を再開します。


「というか、人間とエルフの間に子供とか作って大丈夫なのですか?」

「ちょっとゴルド!」

「さほど問題ではありません。むしろ増える事は良きことです」

「エルヴィンも何言ってるの!」

「実は一目見てその金髪と容姿、華麗な姿に一目ぼれをしてしまいました」


 あ、今のエヴァの発言はちょっとイラッとしました。


「ただ、シャルドネ殿の意思もあります。そこで、ここはひとつ『手合せ』で決めませんか?」

「手合せ?」

「はい、息子エヴァとシャルドネ殿が手合せして、決めていただきたいのです。エヴァの強さを知っていただければと思いまして」

「ゴルド殿には遅れを取りましたが、あれから鍛錬を行いました。是非シャルドネ殿にはその実力を見てもらいたいです!」


 ……まあ、大丈夫でしょう。


 だって、シャルドネに今『心情読破』を使っても、全く心が読めない状態ですもの。

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