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次なる目標

「大きな目標って?」


 シャルドネの問いに一息ついてから、強く、そして真剣に答えます。ん、少し喉に埃でも入りましたか?


「神を、たおガフッ!」


 ……むせてしまいました。


 いや、唐突なギャグはいらないと指摘があるかもしれません。

 でも言わせて下さい。実際人間世界では結婚という場でも緊張して言葉が出なかったり、感動の一面では思わず泣いて言葉を失う場面もあるよね! そんな感じ!

 と誰に言ってるかわかりませんが、ボクのこの心境を受信できた人は挙手してほしいくらい恥ずかしいです。


「なるほど、ニュアンスは……伝わったわ」

「やめてください! なんかその気遣いが心をえぐってきます!」

「いいのよ。忘れていたけどあなたは精霊よね。もしかしたら言葉も本当は私に合わせてくれているのよね? うん。そうに違いないわ」

「なんなのですか! 絶対理解してそう言ってますよね!」


 とりあえず一通りボクが突っ込み終え、ひと段落しました。


「……大きな目標があります」

「……え、そこからやり直すの!」


 涙目のボク。やり直す必要はありませんが、無かったことにしたかったのです。


「え、えっと、大きな目標って?」


「神を、倒す、事、です」


 慎重になりすぎて、逆に不自然になってしまいました。つらいです。


「ふふ、えっと、ぷふー、その、神をって、あの伝承の神?」


 すごく笑いを堪えているシャルドネにいらっとしたので、とりあえず手から石を顕現し、飛ばします。


「いたっ! だって、話し方が変なんですもの」

「とはいえ、限度はあります。ボクも怒ります」

「はいはい。真面目に……いえ、最初から真面目には聞いていたわ」

「そう……ですか」


 改めて、ボクの目標を話します。

 気に入らないものは全て壊し、気に入らない精霊や神を消滅させる。そんな無茶苦茶な意見がなぜか通る神々の住む世界をボクは正したい。そう思いました。


 最初の一歩として仲間を招集……という面倒な部分を省いて、最初から最後のボスである頂点の神に歯向かったわけです。


「えっとね。ゴルド。一つ言っていい?」

「はい」

「バカでしょ?」

「……はい」


 もちろん反省はしています。

 ボクのせいで、鉱石の神が代わりに戦い、今は無事かどうかすら不明。生存していても、かなり弱っている可能性が高いでしょう。


「順序は飛ばしたけど、そのおかげでこの世界に来て、私に出会った。まあ、失敗してどん底に落ちたら、あとは上がるだけよね」

「どういう事でしょうか?」

「神との戦い。面白そうじゃない。私が付き合ってあげる」

「……シャルドネ。バカでしょうか?」


 スパアアン!


 叩かれました。

 ですが、反射的に叩かれる寸前その場所に金の板を顕現させたため、ボクは痛くないのですが、シャルドネは右手を真っ赤にして、目には涙を浮かべています。なんかごめんなさい。


「ふん、バカかどうかは今後の課題として、とにかくしばらく一緒に行動して。場合によってはゴルドの目標に付き合うわ。ぐすん」

「危険な旅になると思うけど、良いのですか?」

「ええ。私を誰だと思っているの?」

「冒険者のシャルドネ」

「わかっているじゃない。ついでに言うなら、世界は一度巡っているわ。道案内くらいなら任せなさい」


 想像以上です。

 最初に出会った人間が凄く強いです。

 そして世界を一度巡っているということは、世界の事情が分かるということです。


 頂点の神を倒すには、まずボクの力の復活が必須。そして確実に倒すためにも、何か弱点がないか調べる必要もあります。

 神を倒す研究とまではいかないけれど、魔術を研究している地域はあるのでしょうか。


「魔術を研究している地域へ先に行きたいです」

「魔術に詳しい土地かー」


 ん?

 なぜか先程までテンションが高かったのに、一気に下がった気がします。


「あそこ、寒いのよね」

「……行きましょう。精霊術で『多少』暖かくしますから」

「よし行こう」


 人間というのはわがままです。

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