[手合わせ] 錬金術師ゴルド 対 見習い魔術師フーリエ
テツヤが救出した少女が完全回復したということで、タプラの家に到着しました。
「あ、ま、魔術師様! この度はお助けいただき感謝感激であります!」
……あれ、凄く小さいですね。声も凄く高いです。
「申し遅れました! ワタチはフーリエです! ミリアムの妹です!」
「か……」
確かに、ミリアムに少し似ている用にも見えます。小さいですが青い髪が腰まであり、目がくりっとしていて、その幼い顔は絵本から出たような感じです。
「姉から鳥が来て、お出迎えをしようと村を出たら、魔獣に襲われてしまい、テツヤさんに助けてもらいました!」
「か……」
「テツヤさんにも感謝しておりますが、何より重傷のワタチを助けたのは魔術師様だと聞いております! 本当に」
「可愛いわね!」
珍しくシャルドネが目を輝かせています。何故でしょう、多分今なら『心情読破』を使ってシャルドネの心も読めるし、『認識阻害』でシャルドネから逃げれる気もしますよ。
「ちょっと落ち着いて貰って良いですか?」
「くう」
「あ、ありがとうございます。でもシャルドネ様も可愛らしいと思います! 尊敬しています!」
「何なのこの子!」
砂壁を出そうか考えましたが、家の中なので無理ですね。肝心の砂がありません。悔しいです。
「それよりもボクの本業は錬金術師です。これが証拠なのですが」
そう言ってマリーから渡されたメダルを見せると、フーリエは驚き声を上げました。
「こ、これはマリー様の紋章じゃないですか! 雪の地でしたらマリー様の次に権力を持てますよ!」
マリーって何者なんですか!
そもそもここの世界出身じゃ無いのに、どうやってそんな地位にたどり着いたのでしょう。
「これは認識を改めないと行けませんね。失礼しました錬金術師様」
「いえ、本当は名前で呼んで欲しいのですが」
「ではゴルド様。失礼を承知で一つお願いを聞いて欲しいのですが」
「何ですか?」
「というわけで、開始!」
「だから、この世界ってそれほど戦いに飢えているのですか!」
ボクは今、村から少し離れている広場の中心に立っていました。正面にはフーリエがいます。
そして何故か観客が多いです。こんなに人がいたのですかと言うくらい観客が多いです。というか仕事はどうしたのですか村の方々!
「この村は年に一度、力自慢大会があるから、皆好きなのよ」
「じゃあシャルドネが相手してくださいよ!」
「ワンピースが……汚れるわ」
絶対思ってないですよね!
「良いじゃない。未来の魔術師育成も大人の義務よ」
「大人って……まあ」
百年より先は数えていません。年齢だけで言えば相当年上ですが、その辺は考えないようにしましょう。
「とりあえずさっさと終わらせますよ。フーリエ、来てください」
「もう、詠唱は終わってます! 実力を見せて貰うのはゴルド様です」
……ん?
一瞬フーリエの目が赤く光りました?
そして、テツヤが大声でボクにとんでもないことを言いました。
「前回の力自慢大会、優勝者はフーリエだぞー」
「それを先に言ってくださいよ! 『アメジスト』!」
どおおおおおおおおおおおおおおん!
そんな音がボクを中心に鳴り響きました。
ボクの立っていた場所を中心に大きな穴が空き、観客の場所までは爆炎は行かなかったとはいえ、凄まじい風に全員が言葉を失いました。
「いやいや、やりすぎでしょ……」
そんなシャルドネの声も聞こえました。
「いえ、これくらいやらないと、本気を出してくれませんよね? ゴルド様」
そんなフーリエの声も聞こえました。
そうです。ボクは自分で生成したアメジストの中に閉じこもり、無傷状態です。
「さすがにやり過ぎだと思いますよ!」
「いえ、『魔力探知』で既にゴルド様の能力は知っています。正直今のも余裕かと」
「……侮れませんね」
このフーリエは、見た目に反して強すぎます。どうしてシャルドネの周辺は皆強い人ばかりいるんですか。
「というか、テツヤも負けたのですか。その力自慢大会に」
「さすがに、魔術師相手では無理だそうです。棄権したのですよ」
「なるほど、ところで今の大きな一発の次は無いのですか?」
ボクの問いにフーリエは驚きましたが、再度構えました。
「『火球』!」
「『土壁』!」
小さい火の球が飛んで来るも、土壁で防ぐ攻防が続きました。そろそろでしょうか。
「はあ、はあ」
「やはり人間は魔力管理が下手ですね」
「人……?」
「いえ、何でもありません。そろそろ行きますね!『砂壁』!」
シャルドネ以外の人間なら今のところ負け無しのくすぐりの刑。それにもがき苦しむが……おや?
「ゴルド様。どうしたのですか?」
「……これは、どういうことですか?」
砂壁に埋まったのは、ボクでした。
「『魔力反射』! それズルです!」
「正当な神術です! これで終わりですよ!」
身動きが取れません!……が。
「……かはっ!」
完全に敗北と思っていました。
ですが、フーリエはその場で地に膝をつけ、呼吸を荒くしています。
当然と言えば当然です。『魔力反射』は、相手の魔術を自分の魔術に変換させて跳ね返す神術です。
ボクの純正精霊魔力を変換となると、膨大な魔力が必要です。
『魔術反射』という名前が正しいのではとも思えますが、それだと魔術のみ反射とかで法則性に欠けるらしいです。
「はあ、はあ、負けました。立てません」
「諦めが早いですね」
「いえ、ここまで魔力が無くなるのは初めてです。手も動きません」
魔力の扱いが下手だと思っていましたが、裏を取られたのはボクでした。
まさかそういう演技をしていたなんて。
唯一救われたのは、ボクの砂壁の魔力が大きかったのが計算外だったのでしょう。純粋な精霊術は人間には大きすぎたのです。
ですが初めて思いました。
試合には勝ちましたが、納得の勝利ではなかったです




