お墓参り
テツヤの家にて、テーブルを挟んでボクとテツヤは話をしていました。
「シャルドネはお前に渡さぬ!」
腕を組んでシャルドネの師匠のテツヤはボクに話しかけました。その黒髪はまるで染めたような色をしています。地毛でしょうか。
「えっと、ボクは別にシャルドネとはそういう関係では」
「知っている。言ってみただけだ! ははは」
目が笑っていません!
完全にゴーレム求婚の刑を恨んでいます!
「とはいえ、シャルドネがあそこまで笑うようになったのはゴルドのおかげだろうな。俺ではあそこまで笑顔にできなかった」
「ですが、テツヤは力加減を失ったシャルドネに武術を教えて、守りました。素晴らしいかと思います」
「はは、武術ね。俺が幼いときに習っていた『カラテ』が役に立つとは思わなかったけどな」
聞いたことが無い武術ですが、やはりマリーと同じく別の世界の人間なのでしょうか。
「何男二人で楽しく話してるの? 混ぜなさいよ」
シャルドネの声が聞こえました。
よく見ると服装が変わっていました。白いワンピースに花の形をした装飾があります。女の子って感じです。
「二人を待っていたのです。準備はできたのですか?」
「ええ、この姿は動きにくいのだけれど」
「ダメよシャルドネ。お母さんに会うのだから」
そう言って、後ろからセイラが来ました。
「お母さんに会う……お墓があるのですか?」
「ええ、この村の北に集合墓地があるの。悪いんだけど付き合ってくれるかしら?」
「わかりました」
☆
「……ただいま」
そう言ってシャルドネはお墓の前に花を置き、何かを念じました。
「無名の星の神カンパネ様。どうか母さんを正しい道に導いてください」
言葉を発し、深呼吸して、閉じていた目を開けました。カンパネという神も何かが分かっていませんね。
「テツヤはシャルドネの母親と会ったことはあるのですか?」
「いや、俺が来たときは既に……。目の前に死神のような悪魔がいて、マリーが追い払ったんだ。面識があるのはセイラだな」
「はい。シャムロエさんにはお世話になりましたから」
シャムロエ……それが母親の名前なのでしょうか。そういえば初めて聞く名前でした。
「母さんは何でも教えてくれたわ。料理の仕方。洗濯の仕方。生き方とかね……」
「そうなんですか……」
色々思い出しながら語ったのか、話し方に少し重みを感じます。
「ごめんね。暗くなって。母さんはこんなことを望んでないだろうし、笑って帰らないと!」
「そうですね。せめてもの挨拶にボクもお供えをさせてください」
「え?」
ボクはシャルドネの母親の墓石に手を当て念じます。
「お墓に赤い石が……」
「『ルビー』です。どこかの世界では大切な人に渡す石でもあるそうです」
若干テツヤがルビーという言葉に反応しましたが、このシリアスな雰囲気にゴーレム求婚の刑は今だけ忘れてください。
「ふふ、ありがとうゴルド。母さんもきっと喜んでいると思うわ」
「当然です。ボクが渡した最強のルビーですから」
そして、一礼してその場を去りました。




