薬に侵されたミッド
「『投石』! なんですか、これは!」
「知らないわよ! ミッド、ちょっと落ち着きなさい!」
「ギャアアアアアア!」
まるで言葉にならない声を上げながら、ミッドはボク達を襲ってきていました。
「数倍の魔力の反応があります。多分悪魔の薬を飲んでいます!」
「ミッドが?」
「使わされた可能性も考慮しましょう! 『投石』!」
「てえい!」
普段ならシャルドネの一撃で倒せる相手も、今回は二発、三発と打撃を加えてもミッドは怯むことなく襲ってきました。
「『こうきゅう』は……まずいかしら?」
「ええ、この魔力量は、完全に飲まれています!」
「まずは気絶ね! てえい!」
「がああああ!」
シャルドネの速度がさらに上がりました。
しかし、それでも何度打撃を与えても倒せません。
「シャルドネ! ここは一発腕を強く狙ってください! サポートはします!」
「わ、分かった!」
投石で威嚇をして隙を作ります。そして。
「今、てええええい!」
ぱああん!
そんな良い音が響きました。
ボクの予想では、ミッドには申し訳ありませんが、腕の一本は使えなくなるでしょう。
……が、ミッドはシャルドネの腕を掴んで、攻撃を防いでいました。
「しゃ、しゃる……?」
「ガアアアア!」
ミッドの叫びとともに強い蹴りがシャルドネに直撃しました。
「がはっ!」
吹き飛ばされるシャルドネ、これはまずいです。
「シャルドネ! 力加減でもしたのですか!」
「仕方が無いじゃない!」
……え、今、何と?
「力が、出ないのよ! 頭に考えが浮かんだ途端、力が抜けるのよ!」
……なるほど。
今までは、心が欠けた状態で戦っていた為、力加減を失っていた状態でしたが、現在は治ってきているとマリーから言われてから気にするべきでした。
シャルドネは、以前の力は出せないのだと。
「早く気がつくべきでした。人間の感情はボクにはわかりませんから」
「はあ、はあ、いえ、ゴルドの所為では無いわ。ただ、出来ると思って言わなかっただけ」
「どうするんですか、あのミッド、完全に正気を失って未だにボク達を倒そうとしてますよ?」
「良い手は……」
そう話し合っていたら、魔力反応を感じました。場所はミッドの後ろ。男女二人の魔力?
「奥に二つの魔力反応です。新手ですか?」
「……信じられないわ」
シャルドネはその二人の気配に気がつきました。
そして同時に、叫びました。
「ミッドの両親がどうしてここにいるのよ!」




