悪魔の薬の調査
しばらくミッドは部屋から出てきませんでした。
なんとなく予想はつきますが、シャルドネの足手まといになったことに、ショックを受けたのでしょう。
「というか、シャルドネが強すぎです」
「私に文句を言わないでよ。命を守る側としては最善を尽くした結果よ?」
まあ、そうです。
訓練でしたら、ある程度新人に教育と称して戦わせて、一定時間過ぎたら休憩。もしくは手本を見せるなどの事はできますが、今回は悪魔の薬を使った人たちの集団です。
確実に相手は殺しにかかって来ていました。そこには練習という優しい言葉はありません。
「ところで、全員『気絶』させてたけど、調べは終わったの?」
「……もう驚きません」
そしてシャルドネは全員を気絶させていました。
捕まった人間が多いと言われている中、もしかしたら町の住人がいるかもしれないということで、全員気絶させたとか。
シャルドネの心の修復は案外早いのかもしれませんね。
「ええ、悪魔の薬を使っていました。ただし、住人ではありません」
そして、現在ボクの体には悪魔の魔力がいたずらしています。今ものすごく腰が痛いです。
「そう。まあそれだけでも収穫と思いましょう。光の球を放つと灰になるんだっけ?」
「あ、それもやってみました」
「……案外ゴルドも容赦無いのね」
「悪魔は嫌いなので」
誰かがいればどっちもどっちと言われる場面でしょう。とはいえ、これに関しては朗報です。
「悪魔の薬を服用してから時間が浅かったのか、灰にはなりませんでした。今では全員ぐっすり寝ています」
「となると、時間も無いとも言えるわね」
「そうです。早く本体もしくは悪魔の薬をばらまいている本人を見つけて倒さない限りはこの事態を防げないかと」
そして、聞き出すのです。
人間と神がどのように契約をしたのかを。
ある程度話がまとまったところでミリアムが小屋に入ってきました。
「シャルドネさん。ゴルドさん。ミッドがご迷惑をかけまして、すみません」
「なんでミリアムが謝るのよ」
「その……友達なので」
「ふーん、まあいいわ。別に怒っていないわよ」
「ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げて、話を続けるミリアム。
「ところで、ミッドは?」
「へ? 部屋にはいなかったの?」
「はい。心配になって行ってみたらいなかったので、こっちにいるのかと」
おかしいですね。部屋の中に魔力反応もさっきまではあったのですが……さっきまでは。
少し嫌な予感がします。
走ってミッドの家の前で『魔力探知』を使ったところ、反応は無し。
そして、悪魔の薬から回復に向かっていた人たちは、数人外に出て空気を吸っていました。
「ミッドは見なかった!」
「は、え? みっど?」
「その、小さい子供よ!」
「ああ、ダガーを持って走って出て行った子かな。えっと、あそこの髭を生やした男に悪魔の薬をばらまいている人の住処を聞いていたからね」
「あのばかあああ!」
頭の切れる少年というのは、時に恐ろしいほどの行動力を発揮する物です。
丸腰とは言いませんが、ダガーだけで本陣に突っ込むとは。
「ゴルド! 行くわよ!」
「はい、ミリアムはここで待機を。それと……はあ!」
数体ゴーレムを召喚しました。
「……ふう、良いですかゴーレム。ミリアムの命令を聞いてください」
「ガアアア」
「気休め程度にゴーレムを配置します。何かあったらゴーレムに戦わせてください!」
「ひゃい!」
未だにゴーレムが怖いのか、返事に若干の違和感もありましたが、とりあえず出発です!




