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ゴルドの魔術教室(雑学編)

「『アイスニードル』!」


 ゴーレムの一件もあり、シャルドネは周囲の見回りに行き、ミッドはシャルドネについていく言って出かけていきました。

 ボクの方は修理もほぼ終わりかけていて、のんびりしていたところにミリアムが「魔術を教えてください!」と言ってきたので、練習に付き合うこととなりました。


 精霊は魔力を吸収し、自身の魔力の許容範囲を広げる事で強くなれますが、人間は違うのでしょうか。ミリアムはひたすらボクが作った砂壁に氷属性の魔術を放っています。


「ふむ、威力に変化がありません……ミリアム、ちょっと陣を見せてくれませんか?」

「へ、陣ですか?」


 ミリアムが何やら混乱しつつ、その場で構えます。


 ……しばらく待っても陣を出してくれません。


「どうしました? 早く陣を見せてください」

「えっと、この状態でですか?」

「そうです。じゃないと陣が見れません」

「だ、大丈夫なのですか?」

「何がです?」


 ボクはミリアムの前に立っています。いや、こうしないと魔術を使用する際に出てくる陣が見えないじゃないですか。

 とりあえず話が進まないので、肯定しておきましょうか。


「大丈夫です。ほら、早く出してください」

「は、はい」


 ようやく陣を出してくれました。


「良いですか、この陣では(ニュッ)氷の針というよりも針の形をした氷という(バシュッ!)解釈であぶなああああ!」


 顔面に氷の針が飛んできました。瞬時にアメジストを顔付近に生成して氷の針を散らしました。

 シャルドネ以外の人間でしたら刺さってましたよ!


「何で起動させたのですか!」

「ええ! その、『陣を出したら魔術が出るのは常識では?』」


 ふむ、これは興味深いですね。マリーもこの解釈で魔術を使っているのでしょうか。


「陣を描いて魔術を発動させる流れには法則があります。今の魔術はただの暗記した術でしかありません!」

「なっ!」


 ショックを受けたのか、その場で膝をつき落ち込むミリアム。え、そんなにショックでしたか!


「ワタシは色々な魔術書を読んで、それを信じて今までこのように何かに向かって魔術を放って練習をしました。でも、それが無駄だったのですかあ!」


 ボロボロと涙を流すミリアム。あれ、なんかボク、周りから見たら女の子を泣かせている男の子って感じじゃないですか!


「いやいや、無駄ではありません。実際『魔力探知』で見た限りでは魔力の許容量は増えているので、あとは魔術についてもう少し理解すれば強くなれます!」

「ほ、本当ですか?」


 泣きながらも訴えかける少女の姿に『多分』という言葉を発する事が出来ません!

 だって人間が放つ魔術なんて精霊にはわかりませんもの!


 とりあえず魔力の量に関しては周囲の大人よりは大きいので、それだけを信じて話しました。


「はあ、ではお手本を見せれば良いのですね。まず陣については……」


 ☆


「『アイス・ニードル』!」


 放った氷の針はボクの生成した『砂壁』を軽々と三つ突き破り、その奥の木に刺さりました。


「はあ、はあ、凄いです。魔術について理解をした上で放つとここまで威力が変わるのですね」

「そうです。まずは初歩的な部分ですので忘れないように」

「はい! ゴルド先生!」


 良かったです! 本当に良かったです!


 ついでにボクの呼び方が変わってますが、この際気にしません。


「さて、次はイメージです。魔術について理解を深めた後は、その人の精神力や想像力が魔術にそのまま反映します」

「イメージですか?」

「例えば、ゴーレムを前に氷の壁を以前作っていましたが、ボクの見る限りではあの氷の壁は脆いです」

「うっ」


 自覚はしていたそうです。実際あの氷の壁は周囲の人間に若干の安心感をもたらす程度の役割しかありませんでした。

 実際はちょっと叩けば崩れるほどのもろさもあります。

「その不安や恐怖などは魔術に影響します。悪魔はそこを狙ってきたりもします」

「強い心ですか……でも、先日の大きなゴーレムなどが現れたときは足がすくんでしまうのは仕方が無いと思うのですが」

「その時は冷静に相手の弱点でも探れば、少しは心の余裕を持てると思いますよ」


 そう言って、ボクは少し唱えました。


「えっと、ゴルド先生。一体何を?」

「簡単です」


 そして、ボクはまたしても苦手な術の一つ。

『召喚術』を唱えました。


「ゴーレムと戦ってみるのですよ」

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