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シャルドネの思い

 砂煙が舞っている場所に駆けつけると、家が一つ破壊されていました。近くにはミリアムが氷の壁を作っていて、防壁を作っています。


「ミリアム、何事ですか?」

「ゴルドさん! シャルドネさん! ミッドが、ミッドが!」


 心情読破でミリアムの心を読みました。どうやらミッドが破壊された家の中にいるそうですね。


「わかりました。シャル……早いですね」


 すでにシャルドネは破壊された家に向かって走っていました。

 こういうときの判断力は凄いと思いますが、場合によっては無鉄砲にも思えますよ?


 ボクも破壊された家に走り、ある場面に遭遇しました。


 大人が隅で震え、その前にはミッドが構えています。


 ミッドの正面には、全身土で覆われた巨大な人型人形。まさしく『ゴーレム』ですね。これまた古典的な魔術……いえ、召喚術ですね。

 なぜゴーレムがここに来たのかはわかりませんが、なんとなく澱んだ魔力から察するに悪魔の薬を利用した魔術師からの刺客でしょう。


「去れ! 闇の力を持つ者!」

「ガアアアア!」

「ひ、ひい!」


 ミッドは震えながらも逃げようとしません。後ろに住民という守るべき人がいるからでしょうか。それとも単純に恐ろしいのでしょうか。


「ミッド、これくらいで怖がってたら、守れるものも守れないわよ」

「シャルドネ姉ちゃん! う、うるさい!」

「そっ。あ、とりあえずこの土の人形が三匹ほど周囲にいたけど、倒しておいたわ。残りはそいつだけよ」

「……」


 いや、流石のボクも引きますよ。さらっと何言っちゃってるんですか。


「ボクだって、攻撃する術を持っていれば、こんな土人形くらい!」

「ガアアアアア!」

「ひい!」


 ゴーレムの大きな拳がミッドに向かって飛んでいきました。もしもこのままボクが動かなければ、ミッドは確実に危険でしょう。

 ですが、ボクはシャルドネの動きも見ていたので、そこは心配していませんでした。


 シャルドネはゴーレムの拳を両手で掴み、攻撃を防ぎます。


「まずは身を守る術を完璧にしなさい。じゃないと死ぬわよ」

「そのあとは教えてくれるの?」

「……今は答えられないわね」

「なんで!」


 ミッドは叫びながら質問し、シャルドネは苦い顔をします。その間ゴーレムは掴まれた腕を振り払おうと必死に抵抗していますが、シャルドネから逃れることはできていません。

 シャルドネはため息をついてミッドに話しかけます。


「……はあ、ミッドには相手を傷つける術を持って欲しくないのよ」

「攻撃の術が無ければ、相手はいつでも襲ってくるよ!」

「そんなことないわ……よっ!」


 その瞬間、シャルドネはゴーレムを少し投げました。あの巨体を投げれる人間はシャルドネ以外にいるのでしょうか。

 ですが、ゴーレムは怯みつつも再度拳を振り、今度はシャルドネに向かって攻撃します。


「せえい!」


 掛け声とともにシャルドネの拳がゴーレムの拳に当たり、ゴーレムの拳は砕けました。

 やはり土人形です。辺り一面に土が飛び散ります。


「守りは時々攻撃にもなるわ。そして大体ここまですれば人間なら引き下がるわ」

「……すごい」


 そしてシャルドネは深呼吸をします。


「でもね、攻撃の術はこういうのなの」


 一瞬、シャルドネは悲しい顔を浮かべました。その感情は読み取れません。ですが、きっと教えたくないという気持ちを持ちながらも仕方が無く行動するのでしょう。


 見えない速さでゴーレムの腹部を強打。後に体をひねって顔面にけりを入れてそのまま今度は足にけりを入れて転ばせて、最後はかかとを落としてゴーレムを粉砕しました。


「なっ……ゴーレムが」

「そう、これが人間だったら確実に死ぬわ。ミッドには人を殺すことを覚えて欲しくないのよ」

「……」


 ペタンと膝をつくミッド。それを見たシャルドネは、少し悲しい表情を浮かべてその場を去りました。

 相変わらずの強さに若干慣れたとはいえ、やはりシャルドネは強いですね。


 ミッドもこれを見て、まずは自分のできる範囲の事をするでしょう。

 結果は予想できますが、念のためミッドの心を読んでみますか。


『シャルドネ姉ちゃん……かっこいいー』


 ダメです。逆効果でした!

 心をほぼ失ったシャルドネでも、僅かに残った部分が生きている。そういう場面となります。

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