ミッドとの出会い
ミッドの両親は、この辺りの地域では規模の大きい武器屋として有名でした。
それ故にミッドの両親を狙う盗賊もそれなりに多かったため、各地から傭兵を雇うことが多かったそうです。
幼いころから入れ違いに厳つい顔をした大人が来て、店の裏で待機し、騒ぎがあれば駆けつけるとの事。
基本は腕自慢が揃っているため見た目はとても恐ろしかったそうです。しかし報酬は先に支払われていたため、ミッドに危害を加える傭兵は一人もいなかったそうです。
しかし、幼いミッドにしてみれば、見た目の印象から恐怖に感じ、基本的には傭兵と関わらなかったとか。
そんな中、数日間だけ傭兵が雇えない時期があったらしく、両親が傭兵を探している中で出会ったのがシャルドネとマリーだったそうです。
シャルドネとマリーも宿探しに困っていたため、偶然とはいえちょうど良かったとか。
厳つい傭兵から一変して、少し年上のまだ子供とも思える少女が傭兵ということで、別の不安があったそうです。そしてミッドは思いました。
これでは何かがあったときに家を守れるわけが無いと。
そんな事を思っている中、盗賊が現れたそうです。
しかし、現れた瞬間というべきでしょうか。すでに盗賊は倒れていたそうです。
今までの傭兵とは違う。この人は強い。そう思ったミッドはシャルドネに毎日頭を下げ、最終的に身を守る術のみ学び、今の強さになったそうです。
☆
「ミッドはなかなかの観察眼の持ち主ですね」
シャルドネから話を聞いて、素直にそんな感想が出てきました。
ボクと最初に出会ったときは、理由があったとはいえ気絶しましたからね。
「ミッドの両親は、商人としての交渉術は凄まじかったわ。武器を作る技も持っている。代わりに戦う術は無いのよ」
「でも、それで得た報酬で傭兵を雇っています。自分の特技を最大限に利用した結果ですね」
「だからこそ、子供のミッドには当時の親の考えがわからなかったのよね」
傭兵がいれば大丈夫。そんな過信が生んだ今回の悪魔の薬の事件。誰もが予想できない状況に、両親も頭を悩ませたでしょう。
当然、ミッドの両親以外の町の住人も現在進行形で頭を悩ませ、唯一シャルドネから体術を教わっていたミッドに頼るしかなかったのでしょう。
「何かあった時に家を守るのは誰か。それを真っ先にミッドは自分と考えた優しい心を失わせないためにも、身を守る以上の術は教えたくないのよね」
シャルドネは心をほぼ失い、相手を簡単に傷つける事が出来ます。
しかし僅かな心が揺れて、ミッドには身を守る術だけを教えるという事になったのでしょう。
「やはりシャルドネの心は完全に失っていませんね」
「マリーの存在があったからね」
「マリーがですか?」
「少なくとも私だけだったらミッドとも出会ってなかったろうし、マリーの心を読む能力でミッドの心を読んで教えてくれたのよ」
優しい心の持ち主だと。そう言って、シャルドネは空を眺めました。
心をほとんど失ったシャルドネにとって、ミッドは眩しい存在だったのでしょう。この町のことを第一に考え、この家を第一に考え、この家族を第一に考えたミッドの心は、誰よりも強かったに違いありません。
そんな会話をしている最中でした。
突如外から、何かが破壊された、大きな音が聞こえました。
そして地響きも鳴り、これは何かの攻撃を受けたという事でしょう。
「……ゴルド」
「そうですね。拠点を失うのはまずいです。行きましょう」
心休まる日はいつになるのでしょう。




