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ゴルド達 対 死神グリム

 ボロボロの黒いマントに身を包み、顔は頭蓋骨がそのまま外に出ていて、真っ黒の影のような右手には鎌を持っている死神が目の前に立っていました。


「あなたは……死神のグリム……様ですね」

『我を知ってるか。面白いな』

「ええ、ボクも別世界に住んでいたので、知識としては……です」

『ほう。で、ここへは何故?」


 当たってたー!

 死神様の名前が当たってて良かったと、これほどホッとしたことはありません!


「……錬金術師さん、その……緊張感を持って貰って良い?」

「こほん。取り乱しました。質問しに来ました」

『質問?』

「何故、最近ここへ来た人間を殺したのですか?」


 ボクの質問に、死神グリムは口を開きます。


『この世界で生きる為だ』


 ……どういう……事でしょうか。


「意味がわかりません。死神は使者の魂を運ぶ役割を持っているはずです。無差別に殺すなど……」

『この世界では、冥界が存在しない』

「冥界が?」


『そうだ。冥界があればそこで魔力を回復し、下界に降りて死を待つ人間の魂を狩る。それが本来死神としての役目だ』

「なら尚更、死を迎えることが決まった人間を選べば!」

『我が魔力は下位精霊とは違う。選り好みする時間は今は無い』


「ですが、世界にも魔力は存在しています。何もしなければ、魔力は貯まるはずでは?」


『神と下位精霊を一緒にするな! 愚か者があああ!』


「あぶなっ!」


 一瞬の出来事に、身動きが取れませんでした。

 あの大きな鎌。

 それを簡単に持ち上げ、それを一瞬で横になぎ払っていました。


 しかし、ボクに当たることは無く、瞬時にシャルドネがボクを押し倒して、難を逃れました。 


「あはは、助かりました。シャルドネ」

「お礼は後よ……それよりも……」


 そう言ってシャルドネは死神グリムに問いかけます。


「母さんを返して欲しい」

『貴様は……ほう、育ったな』

「知ってるの?」

『我の中に眠る人間の魂の記憶は、全て我の物になる。そして貴様の事も知っている』

「……魂を出せば、母さんは帰ってくるの?」


『無理だな』


 その瞬間、シャルドネは、死神グリムに殴りかかりました。

 しかし、シャルドネの腕が死神グリムに埋まったまま、身動きが取れない状態となりました。


『人間の技など、神には届かぬ。そう、神にはな』

「なっ、動けない!」


 ゆっくりと鎌を持ち上げる。

 鎌を振り下ろそうとした瞬間、何故か動きが止まりました。


『……紫の髪を持つ娘よ。何故貴様は我の心を読める!』


 死神グリムの目線の先にはマリーが立っていました。マリーはじっと死神グリムを見ています。


「ワタクシが強いだけよ。久しぶりね、鎌を持った幽霊さん」

『貴様、あの時の!』


 死神グリムは焦っていました。


「シャルドネ! そいつの本体は顔よ! 腹部は魔力だけ!」

「分かったわ!」


 そう言ってシャルドネは右腕が腹部に入ったままジャンプし体を捻って、死神グリムの顔に蹴りを入れました。


『ぬう、貴様……』


 怯んだと同時に腕が腹部から抜けました。これはチャンスです!


「シャルドネ! こちらに腕を!」

「こう?」


 シャルドネの腕に、鉱石で出来たグローブを生成します。


「何これ、少し重い!」

「精霊産の特殊グローブです! ボクが近くにいないと崩れますが、これで殴れます!」

「分かった!」

『フン! 顔を守れば良い!』


 死神グリムは影のような真っ黒な右手を使ってシャルドネの拳を防ごうとします。先程同様に腕を体内に埋まらせて、動きを封じようとしているのでしょう。ですが……。


「もう一度言いますね。これで殴れます」


 ぱあん! と、音を立てて、影のような真っ黒な右腕は弾かれました。同時に死神グリムは右腕を抑えながらその場にしゃがみ込みました。


『ぐっ、ぐあああああ! うでがあああああ! 何故だ、何故だあああああ!』


 ボクは少し前から気がついていました。

 初めて神に抗ったとき、瞬時に出した金の板で神の攻撃を防いだ事に。

 ボクの鉱石には、神に抗う何か力を持っているのだと思いました。そして今日、それが証明された気がします。


 残念ながら、ボクの身体能力はそれほど高くは無い……というか、シャルドネの方が凄いので、武器の生成はボク。それを使うのはシャルドネ。揺動はマリーという感じで考えていました。


「母さんの、母さんの敵!」


 二発。三発とシャルドネは、屈んでいる死神グリムに何度も殴りかかっています。


『があ! があああ! 待て、がああああ!』


「待つわけ無いでしょ! あの日から、私は、私は一人だったんだからああああああ!」


 最後に顔へ思いっきり殴り、死神グリムは吹っ飛び、壁にぶつかり、その場で倒れました。

 ボクは近づき、再度問いかけます。


「神とも言うべき存在が、ずいぶんと弱いですね」

『下位精霊が……がはっ」

「何故、悪魔の薬を作っているか、教えてください」

『ふふふ、例の薬は……我では無い』

「え?」

「錬金術師さん! その死神に何か攻撃を! 早く!」


 マリーが叫びました。何か心を読んだのでしょうか。とっさに精霊術を使おうとしましたが、間に合いませんでした。


『確かに力を欲する人間と接触し、悪魔の血を飲ませたのは我だ。悪魔に支配された人間は魂が抜け、人間は力を得る。だがな、その薬とやらは我の行為では……無い!』


 黒い光が死神グリムから放たれました。これは……。


「があああ!」

「きゃああ!」


 恐怖という感情がまるで心の底から爆発し、感情がおかしくなりました。マリーも同じくその場で屈んで苦しんでいます。


『人間や精霊は脆い。精神を壊せばその場で身動きが取れなくなり、最後は鎌で切るだけだ。精霊の魂とやらがどれほどの物かは知らぬが、味わおうではないか』


 そう言って、死神グリムは鎌を持ち、ボクとマリーに向かって鎌を構える。


『……待て、一人……娘が……』



「待つわけ無いって、言ってるでしょおおおおお!」



 涙を流しながら左手から放たれた拳は死神グリムの顔面に強打しました。

 その拳につけられた金色のグローブは粉々に粉砕し、周囲に金色の砂がまき散らされました。


 その代わりに死神グリムの顔にはヒビが入りました。


『なぜだああ、なぜ貴様は精神を保てる!』


「すでにあなたに、壊されたからよ!」


 そして今度は右腕から拳が放たれ、再度金色のグローブが粉砕する。


『がああああ! 馬鹿な、魔力が、神として保つべき魔力ガアアア!』


「消えてしまえええええええええ!」


 そして、最後に素手で放たれた右腕で、死神グリムは姿を保てなくなり。


 この世界から、死神グリムは消滅しました。

 今回はそれほど複雑な戦闘を入れずに、シリアスな戦闘を意識しました。補足ですが、シャルドネ一同は別に最強ではありません。ギリギリの戦闘を毎回行っていると思っていただければ幸いです。

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