手がかり調査
そもそも鎌を持った悪魔というのを、ボクはあまり聞いたことはありません。
ボクの住んでいた世界で悪魔はいませんでしたが、知識としては知っています。
そして鎌を持つ。つまり武器を持っているという部分に少し違和感を覚えます。
魔術研究所の図書館で本を探しつつ、ボクは奥の机を眺めます。そこには若干呼吸を荒くしているシャルドネの姿がありました。
「はあ、はあ」
隣にはマリーも座っていて、事情を知っているからこそ背中をさすっています。
ボクは、その鎌の悪魔と呼ばれる物体について、何かヒントが無いか探しているのですが……。
「ボクの世界に住んでいる精霊で鎌……心当たりがありませんね」
そもそも神々が住む世界にいないので、知識の中から探すしか……。
神々が住む世界?
「マリー、何かこう、神々が書いてある書物はありませんか?」
「突然ね……でも、何か心当たりでも?」
「一人というべきでしょうか、少し心当たりがあります」
そしてマリーは、一直線に本棚に向かい、目の前の本を取り出します。
「これね。複写物だけど、これには様々な神が書いてあるわ」
「ありがとうございます」
書物の名前は『カミノセカイ名鑑』という安っぽいタイトルでした。しかし、複写物なのに魔力が少し感じられます。
「……ありました」
机に戻り、シャルドネにボクの見つけたページを見せます。
そこは『死神』と書かれたページです。
「死……神?」
「はい。鎌を持つ悪魔は心当たりが無いのですが、鎌を持つ神は心当たりがあります。ボクの予想では、雪の地北部に現れたのは死神グリムと思われます」
本来、死神は無差別に人を殺したりしない。
何故この様な現象になったのかも調べる必要があります。
何より、その死神は悪魔の血を使った薬を人間に布教し、何かを企んでいるのでしょうか。
「変な話ね。その本の内容だと、死神は無差別に殺さないのでしょう?」
「ええ。ボクも知識として知っている死神グリムはそのはずです。だから……」
シャルドネの目を見て話します。
「その死神に話を聞きましょう。何故、シャルドネの母親を殺したのか」
しばらく沈黙が続き、やがてシャルドネは口を開く。
「神は殴れるの?」
シャルドネは以前言っていました。殴れない存在は怖いと。つまり、殴れれば別に怖くない。もしくはその恐怖が少しでも和らぐのでしょう。
「普通は殴れません」
「……そう」
「でも、ボクがいます」
「え?」
そうなのです。
ボクは皆さん忘れているかもしれません。
錬金術師っぽい事をしていないからただの魔術師だと思っているかもしれませんが。
「ボクは今は錬金術師ですが、元々は神に抗い生き残った唯一の精霊ですよ?」
少し暗めのお話が二話ほど続きましたが、次回からは登場した神様との衝突です!




