精霊としてのお仕事。そして……
復活です!
雪の土地に到着し、ミルダの母親のゲイルドの紹介で一時的に借りた小屋で一眠りをしたら、魔力がみなぎってきました。
どうやらこの雪の地は魔力が濃く、ボクとの相性が良いみたいです。本当に雪の精霊とやらが居るかもしれませんね!
「ということで『認識阻害!』」
周囲から気配を遮断する神術を使い、その場で息を潜める。
「ゴルド。入るわよ。うん。元気みたいね」
「……シャルドネは人間を辞めたのですか?」
パシッ!
今度はきちんとシャルドネの攻撃を両手で受け止めました。
偉いボク。そしてこの土地さすがです!
「失礼な事言わないでよ。気配を消したのかもしれないけど、それくらいじゃ足りないわよ」
「神が使っていたと言われている術を使っても気配が分かるのは、シャルドネくらいですよ」
「それよりも、早くこの寒さをなんとかしてくれないかしら? 凍えて体が鈍いのよ」
「……全力では無かったのですね」
「何のことよ」
両手で受け止めたこの腕は、全力では無く雪の地の寒さによるハンデがあっての攻撃だったのですね。何かくやしいです。
とはいえ、約束は約束。ここへ最初に来るという提案をしたのはボクですし、魔力も回復しています。協力しますか。
「そういえば魔術を研究している地というのはこの辺りなのですか?」
「ここから北ね。そこには大きな研究所があって、私も一度行ったことがあるわ」
「寒がりなのにですか?」
「その時はきちんと着込んだわよ。ここに来るのは予定してなかったの!」
「そうでしたか」
シャルドネは一度世界を巡っているので、この辺も来たことがあるのでしょうか。だとすれば知り合いはいないのでしょうか?
「この港には知り合いは居ないのですか?」
「見に行ったけど居なかったわ。どうやら連れ去られた見たいね」
「そう……でしたか」
聞いてはまずかったでしょうか。しかし、シャルドネはボクの顔色を伺ってか話し始めました。
「別に気にはしていないわ。獣退治の依頼をしただけよ。それよりもいい加減その握った腕を放してくれる?」
「いえ、こう雑談をしつつも、きちんと約束は守ろうと作業をしています」
ふふふ、雑談にでも思えたのでしょう。
先ほど攻撃してきた腕は、まだ両手で握ったまま。それには深い理由がありました。
「……ん? 少し暖かくなった?」
「シャルドネの体内の魔力に少し細工しました。完全な防寒ではありませんが、これくらいがちょうど良いと思います」
「へえ。ありがと。少し動きやすくなったわ」
魔力は誰にでも流れています。シャルドネは魔術を使う事はできませんが、それでも魔力はあります。それを逆手にとって、普段使わない魔力に細工をし、体を温める呪いをかけました。
「あ、呪いなのでうっかり呪術師の勧誘に乗らないでくださいね。解呪されたら寒くなります」
「え! 呪いなの!」
「ええ。って、左手を向けないでください! 大丈夫です! 呪いでも人体に影響が無い呪いはあります!」
「そう……なのね」
神術の『心情読破』で少しシャルドネの心を読み、何故動揺しているのかが少し分かった。
なるほど。人間にとって呪いは負のイメージしかないのですね。
「さて、ゴルドも元気になったことだし、そろそろ行こうかしら」
「そうですね。まずは研究施設にー」
そういった瞬間、
大きな地響きが鳴り、外からは悲鳴が聞こえてきました。




